2018年12月30日日曜日

粗読講座:霊枢雑病二十六 経脈名は明示されているがそのどこを取ればよいかわからない

江口さん,
こういうときは,黄龍祥先生が唱えている「経脈穴」説も,考えてみましょう。
「経脈穴」説とは,
むかしむかしのこと,あるところを刺激すると,遠いところの疼痛・疾病がよくなった。
その時,確実に認識されたのは,ツボと疾病・疼痛部の二カ所のみでした。
その刺激部位=ツボと疾病・疼痛部を線で結んでみた。
これが経脈です。
刺激部位=ツボは,手足の三陰三陽で命名された。
ツボが先,経脈は後と考えます。経脈は,仮想の線です。

 一般に,馬王堆から出土した十一脈(『足臂十一脈』『陰陽十一脈』)には経脈名しかないので,経脈が先,後から経穴が発見された,と考えられていますが。

黄龍祥説によれば,初期の経脈名=治療穴名で,その場所は原穴付近にある。

そこで,『鍼灸甲乙経』に掲載されている原穴付近の穴と,『霊枢』雑病(26)に書いてある,各経脈名にある疾病・病名を比較する。

ぜひ『霊枢』雑病(26)と『鍼灸甲乙経』に掲載されている原穴の主治病証の対応表を作成して,研究なさってください。

それでこれに類似性が見いだせるのであれば,経脈名=経脈穴=各経の原穴説に根拠があることになります。

というより,『鍼灸甲乙経』の三部を構成している,その一部である『明堂経』の著者が『霊枢』雑病(26)を参考にして,経穴の主治症を書いているか否かが,わかります。

結果の発表を楽しみにしています。

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本書の一番最後にある論文「術数的思考と中国医学」は,『内経』1996年3月号(No.87)に掲載された,20年以上も前に書かれたモノ。
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この『内経』誌の前号,No.86には,石田秀実先生の「伝統医学の形成期をどうとらえなおすか」が掲載されている。

そのまた前の号No.85には,『現代語訳 黄帝内経』の訳者のひとりでもある藤山和子先生の「『黄帝内經素問』の寸口診について」が掲載されている。

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ということで,入手閲読可能です。

季刊内經 No.213 2018年冬号

季刊内經No.213を発行、発送しました。届いていない方は、事務局までご連絡ください。
過去号の索引を今回の最新号まで更新しましたので、そちらもご利用ください。

季刊内經 No.213 2018年冬号
項目題名執筆者
21302巻頭言古典とのつきあい方天満博
21305翻訳老官山漢墓から出土した鍼処方簡の解読黄龍祥
21366合宿発表兵法書と内経(資料・前編)土山絵里佳
21377連載受講の折々⑦ 『霊枢』天年篇 第五十四大八木剛夫
21382コラム過去から未来へ黛奈奈
21387告知最近のWebの活用について小宮山乃輔
21388末言みんなでやること神麹斎

2018年12月16日日曜日

粗読講座 霊枢雑病二十六(担当:江口)

・経脈名は明示されているがそのどこを取ればよいかわからない。
・その経脈を選んだ根拠もよくわからない
・甲乙との表記ゆれが致命的
・渋江氏の『霊枢講義』は大変参考になった
・神麹斎『霊枢概要』がおもしろかった