〇黄帝と岐伯の問答の辞から始まる2段落とする。前の段落は九針の篇で「どう刺すか」,後の段落は十二原の篇で「どこへ刺すか」。
〇微針を以て経脈を通じることによる治療を確立したい。そのために先ず『針経』を成立させる。
〇補写の3様:
➀小針の要:刺の微は速遅に在る。つまり刺すべきときに刺し,抜くべきときに抜く。タイミング。
➁大要:徐刺速抜と速刺徐抜。手技のスピード。
➂写曰迎之,補曰随之:術者の責任か,患者の身体の反応次第か。
漏らすつもりであれば,術者が積極的に奪いにいくべきである。保つつもりであれば,じっくりと聚まるのを待つしか無い。術者の思惑通りにはいかない。
〇此処に施術しても彼処に何の反応も無いとしたら,その間に障碍物が有るはずであり,血絡として横居しているのであろうから,それを取り除く。
〇上記のような状態を解決するには,針術がもっとも有効である。そこで様々な針の形状と用途を説く。いずれも針の尖端を病処に届かせる。どうして遠隔操作的な針術を記述しないのか。
〇陥脈,中脈は刺針の深度の問題。ごく浅く刺して陽邪を散じ,やや深く刺して陰邪を漏らす。さらに深くして分肉の間に届けば精気が至る。
〇病によって在る処はそれぞれであるから,用いるべき針はそれぞれであるべきで,相応しくない針の使用,過剰な施術は危険をまねく。
〇針の施術が有効であるのは,患者の身体が反応したからであり,闇雲に刺しさえすればいいとというわけにはいかない。刺の道は,気至らざればその数を問うこと勿れ,気至れば乃ちこれを去り,また針すること勿れ。
〇針術は極めて微妙なものであるが,曖昧というわけものではない。きちんと施術すれば明確な反応が現れるはずである。
〇経脈には神気の遊行出入するポイント=本輸がある。
〇経脈の一端に本輸があり,他の一端に蔵府がある。
〇五蔵の気は,内の掖・膺と外の四末で,絶したり実したりしている。内が絶したときに,外を実せしめてはならぬ。外が絶したときに,内を実せしめてはならぬ。腋膺か四末か。刺すところによって,経脈に傾斜が生じる。
〇施術量は必要充分であるべきで,過剰になったりすることが特にいけない。
〇腕踝の関節の原穴が,五蔵の診断兼治療点である。
〇鬲肓の原は府の病を分担する。脹満と飱泄である。
〇五蔵の疾の類型は,たとえば刺・汚・結・閉のごとし。
〇瀉は熱に対する散針,補は寒に対する留針をもととする。
〇腹中に熱症があれば,三里で下す。
〇脹満には鬲の原,(胃)大腸の下合穴,さらに陽陵泉。飱泄には肓の原,小腸の原,さらに陰陵泉。