2020年5月18日月曜日

2020.5.17. 粗読講座 『霊枢』海論 第三十三 (担当:中野)

人の営衛血気が流れ集まるものとして、胃・衝脈・膻中(胸中)、脳を挙げ、それぞれ自然界の四海になぞらえて水穀・血・気・髄の海と定める。
四海それぞれの診断点と有余不足の症状を説明し、治療原則を示す。

以下、あがった疑問に対して話した内容です。
(いろいろ話はしましたが結論は出ていません。各自持ち帰り、考えたい人は考える。)
「四」はどこから来た?
・『山海経』では4つの海と表現されている
・「四海」には「世界」の意味がある
・『論語』顔淵第十二の五に「四海」を「世の中」という意味で使われている
・「7つの海」という表現はどこから?→ヨーロッパ圏の影響だと思われる
・ギリシャの四元素説(ガレノスの四体液説につながる)からインドの四大説、そこからの仏教やインド医学、チベット医学の影響があるのではないか
・主流の医学として残っていない、モンゴルや少数民族の世界観や医学からの影響もあるかもしれない

「衝脈」って結局なに?
・「血の海」ということから大動脈を指しているのではないか
・衝脈の「十二経之海」という表現は、海論の他に素問霊枢では動輸(63)にある
他に『素問』で痿論(44)に「経脈之海」、『霊枢』で逆順肥痩(38)に「五蔵六府之海」、五音五味(65)に任脈と併せて「経絡之海」とある(「血の海」という表現はどこから来てる?)
・任脈、督脈の深いところが衝脈という解釈がある
・『素問』上古天真論(1)で女子十四歳の説明で「任脈通太衝脈盛」とあり、王冰注に「衝為血海」とある
・女性の生理・病理に関する記述に衝脈が出てくるが、男性の衝脈はどのように考えられているのか