2019年1月22日火曜日

2019.01.20粗読講座「五味第五十六」担当:こみやま

( )内はこみやまの意訳

①穀気の生理学

黄帝曰.願聞穀氣有五味.其入五藏分別奈何.
(黄帝が尋ねた。「聞きたいことがある。穀気には五つの味があるけれど、それは五蔵にどうのように分別されて入るの?」)

伯高曰.胃者.五藏六府之海也.水穀皆入于胃.五藏六府.皆稟氣于胃.五味各其所喜.
穀味酸先走肝.穀味苦先走心.穀味甘先走脾.穀味辛先走肺.穀味鹹先走腎.
穀氣津液已行.營衞大通.乃化糟粕.以次傳下.
(伯高はこれに答える。「胃は五蔵六府の海です。食事(水穀)はすべて胃に入ります。五藏六府は胃から気をもらい受けることになります。その際、気は五つの味に分かれそれぞれ行きたい所へ向かうのです。
食べ物の味が酸っぱいのは肝へ、苦いのは心へ、甘いのは脾へ、辛いのは肺へ、塩辛い(鹹)のは腎へ向かいます。
穀気の津液は、ほどなく営衛として体全体をめぐり、やがて糟粕と変化して、大小便として出ていきます。」)
※「走」は「ゆく」くらいの意味ならば「之」や「往」や「行」などとの違いがあるのだろうか。早足で向かう意味が含まれているのだろうか。
※突然現れた「津液」がわからない。「津液」というキーワードはこの時代では、またはこの文章を書いた人にとって常識だったのか。ただ単に栄養のような解釈で良いのだろうか。



黄帝曰.營衞之行奈何.
(これを受け黄帝は「營衞のめぐりとはどのようなものか?」と尋ねた。)

伯高曰.穀始入于胃.其精微者.先出于胃.之兩焦.以漑五藏.別出兩行營衞之道.
大氣之搏而不行者.積于胸中.命曰氣海.出于肺.循喉咽.故呼則出.吸則入.
天地之精氣.其大數常出三入一.故穀不入半日則氣衰.一日則氣少矣.
(伯高はこう答えた。「穀はとりあえず胃に入り、その精微なものは、まず胃から両焦(上焦と中焦)へ行き、五蔵を潤します。それとは別ルートとして営と衛の二つの道をゆきます。
その気の多くはあつまりめぐらずに、胸中に積もります。それを気海と呼びます。気海は肺から出てのどをめぐるので、呼吸と共に出入りすることになります。
天地の精気はそのおおまかな規則として「出三入一」があります。それ故に半日食事をしないと気は衰え、丸一日食事をしないと気は不足してしまいます。)
  ※「両焦」は上焦と中焦のことなのか。林先生の発表に沿うならば、成立年代は新しいということか。また、上記の「走其所喜」と「之兩焦」の「ゆき方の違い」はあるのだろうか。
※胸中に積もり気海と名付けられる「大気」とは五蔵を潤した精微なるものなのか?
※「出三入一」という規則は何を指すのか。食事として入り、大小便と汗の出る三つ?呼吸法として呼3吸1のタイミング?

②五味の配当

黄帝曰.穀之五味.可得聞乎.
(さらに皇帝がのたまう。「穀の五味のこともう少し詳しく教えてほしい。」)

伯高曰.請盡言之.
五穀.秔米甘.麻酸.大豆鹹.麥苦.黄黍辛.
五菓.棗甘.李酸.栗鹹.杏苦.桃辛.
五畜.牛甘.犬酸.猪鹹.羊苦.雞辛.
五菜.葵甘.韭酸.藿鹹.薤苦.葱辛.
(伯高がいう。「詳しく話させて頂きます。
五穀の五味は、うるち米は甘、ゴマは酸、大豆は鹹、麦は苦、きびは辛です。
五果の五味は、棗は甘、すももは酸、栗は鹹、あんずは苦、桃は辛です。
五畜の五味は、牛肉は甘、犬肉は酸、豚肉は鹹、羊肉は苦、鶏肉は辛です。
五菜の五味は、葵の味は甘、韭は酸、豆の葉は鹹、薤は苦で、葱は辛です。)

③五味と病(顔色)の関係

五色.黄色宜甘.青色宜酸.黒色宜鹹.赤色宜苦.白色宜辛.
凡此五者.各有所宜.所言五色(宜)者. 
脾病者.食秔米飯牛肉棗葵.
心病者.食麥羊肉杏薤.
腎病者.食大豆黄卷猪肉栗藿.
肝病者.食麻犬肉李韭.
肺病者.食黄黍雞肉桃葱.
五禁.肝病禁辛.心病禁鹹.脾病禁酸.腎病禁甘.肺病禁苦.
(顔色と味の関係は、顔色が黄色っぽい人は甘いものを好み、青色っぽい人は酸っぱいものを好み、黒色っぽい人は塩辛いものを好み、赤色っぽい人は苦いものを好み、白色っぽい人は辛いものを好みます。
この顔色と味の五つの関係は、各々の好み(宜)ということなので、五宜と呼ばれています。 
脾を病むものはうるち米、牛肉、なつめ、葵を食するのを好む。(甘)
心を病むものは麦、羊肉、あんず、薤を食するのを好む。(苦)
腎を病むものは大豆の芽、豚肉、栗、藿を食するのを好む。 (鹹)
肝を病むものはゴマ、犬肉、すもも、韭を食するのを好む。(酸)
肺を病むものはきび、鶏肉、桃、葱を食するのを好む。(辛)
また、五蔵の病には五味に対してそれぞれ禁忌があります。
肝病には辛、心病には鹹、脾病には酸、腎病には甘、肺病には苦が禁忌となります。)
※「宜」は妥当であることや、適切であることと捉えるならば、「脾病にはうるち米、牛肉、なつめ、葵を食するのがよい。」ともとれる。
※最後の五禁は「金克木」の相剋関係でまとまっている。


④別伝!五蔵と五味の関係

肝色青.食甘.秔米飯牛肉棗葵皆甘.
心色赤.食酸.犬肉麻李韭皆酸.
脾色黄.食鹹.大豆豕肉栗藿皆鹹.
肺色白.食苦.麥羊肉杏薤皆苦.
腎色黒.食辛.黄黍雞肉桃葱皆辛.
(肝は青色を主っているので、甘を食するのがよいです。うるち米、牛肉、なつめ、葵などはすべて甘です。
心は赤色を主っているので、酸を食するのがよいです。犬肉、ゴマ、すもも、李などはすべて酸です。
脾は黄色を主っているので、鹹を食するのがよいです。大豆、豚肉、栗、藿 (豆の葉)などはすべて鹹です。
肺は白色を主っているので、苦を食するのがよいです。麦、羊肉、あんず、薤 (のびる)などはすべて苦です。 腎は黒色を主っているので、辛を食するのがよいです。きび、鶏肉、桃、葱などはすべて辛です。」)
※ここの意訳はどうしてよいのかわからなかったため、現代語訳の本からそのまま採用している。ここでの「宜」は適切であるという意味で捉えているようだ。
※ここでの関係は相生や相剋ではない。五行を円上に配置すると色と味の関係線がごちゃごちゃするが、土を中心に置くとすっきりする。『素問』と『霊枢』の五行が相剋に当てはまらない文章をこの形に変形してまとめて分類するとどういう結果がでるのだろうか。

2019年1月2日水曜日

成城生活

 12月31日に、成城に往診。お宅はさほど広くはないのですが、ところどころに、自分の家とは違うなと感動しました。

 居間は何畳かわかりません。12畳くらいでしょうか。ぼくは畳の枚数でしか広さを確認できないので、お手上げです。おそらく、設計屋さんは、日本の人では無いかもしれません。

 セントラルヒーティングです。居間も、キッチンも、廊下も、トイレも、暖かいのです。ストーブの姿はありません。我が家のように、石油を補給するとか、石油が高くなって嘆くとかは無いのです。

 母娘でおせち料理を作っていました。お正月の準備に忙しそうです。年中行事やしきたりを守って、伝統を受け継いでいる様子でした。こういう筋の通し方をするお宅を目の前にして、自分の筋の無さを自覚しました。

 おそらく、多分、このようなお宅にうかがうには、それなりのマナーがあるのだと思うのです。手土産、行く時間、帰る時間、靴の脱ぎ方など、そういうふうに躾られていないので、おそらく、多分、だいぶ失礼なことをしているんだろうなあと思います。


 

富士山と男体山

 武蔵野線で西に向かい、荒川の鉄橋を渡るとき、左に富士山、右に男体山がみえました。両方同時に見えたのは初めてで、ひとりで感動しました。

 そもそも男体山が見えるのは、1年の中でもそんなに多くない。今年は、12月下旬になってようやく見えました。二つの山が見えたからどうなんだ、と言われそうですが、いつも二つの山を意識していることが、小さな幸せなのです。日本のあちこちに、地元富士があるのと、おなじような気分なのかもしれません。

 関東平野から浅間山も見えますが、冠雪したすがたは富士山によく似ています。