今回は、対校資料の比較文に、空きスペース無しで作っています。
前回のと較べ、どちらが見やすいかはわかりませんが、表示してみます。
カッコ 「 」 も外しました。 85ページから99ページまで。
矢印、黄色のマーカーが、肘後備急方の経文。
p.85
■卷二 治瘴氣疫癘温毒諸方第十五
→ 又方,密以艾灸病人床四角,各一壯,不得令知之,佳也。
『医心方』(卷第十四・避傷寒病方第廿五)
又方:密以艾灸病人床四角各一丸,勿 令病人知之。
* 病人の寝ている床の四隅にお灸するのであれば、大きな塊を艾で作り、燃やす。
であれば、各一壯ではなく、各一丸であろう。
p.92
■卷三 治卒發癲狂病方第十七
→ 灸陰莖上宛宛中三壯,得小便通,則愈。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
卒癲、灸陰莖上宛宛中三壯、得小便通、即差(千金翼云、當尿孔上是穴)、
→ 又方 灸陰莖上三壯,囊下縫二七壯。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
又 灸陰莖頭三壯、……又灸囊下縫二七壯、
→ 又方 灸兩乳頭三壯,又灸足大指本聚毛中七壯,灸足小指本節七壯。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
又灸兩乳頭三壯・・・・・、又灸足大指上聚毛中七壯、
*足大指本聚毛中 →足大指上聚毛中
p.93
→ 針其足大拇指爪甲下入少許,即止。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
卒狂鬼語、鍼其足大拇指爪甲下、入少許即止、
→ 又方 以甑帶急合縛兩手,火灸左右脇,握肘頭文倶起,七壯,須臾,鬼語自道姓名,乞去,徐徐詰問,乃解手耳。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
卒狂言鬼語、以甑帶急合縛兩手大指、便灸左右脇下、對屈肋頭、兩處火倶起、各七壯、須臾鬼自道姓名、乞去、徐徐問之、乃解其手焉、
『千金翼方』(卷第二十七・小腸病第四)
卒發狂言鬼語法、以甑帶急合縛兩手大指、便灸左右脇胸、當對屈肘頭兩處火、倶下各七壯、須臾、鬼語自道姓名乞去、徐徐語問、乃解其手、
『外台』(第二十八卷・卒死方)
崔氏云︰療卒狂鬼語方,以甑帶急令縛兩手大指,便灸左右脇下屈肘頭尖各七壯,須臾鬼語,自道姓名,乞去,徐詰問,乃解其手。
『医心方』(卷第三・治中風狂病方第廿三)
以甑帶急合縛兩手父指,便灸左右下對屈肘頭,兩火倶起,灸七壯。須臾鬼語,自云姓名,乞得去。徐徐誥問,乃解其手也
* 「左右脇,握肘頭文倶起」は検討必要
「握肘」は「屈肘」であろう。「頭文」は「頭尖」か?
参考までに千金方の「對屈肋頭」は「對屈肘頭」であろう。
「屈肘頭尖」とは、肘を曲げ、肘頭の尖端部分が脇腹に当たるところ、章門、大包あたりか?
『鍼灸甲乙経』では、
●章門、脾募也、一名長平一名脇髎、在大横外、直臍、季肋端、足厥陰、少陽之會。側臥屈上足、伸下足
●大包、脉出淵腋下三寸、脾之大絡、布胸脇中九肋間及季肋端、別絡諸陰者。
p.96
■卷三 治卒得驚邪恍惚方第十八
→ 灸鼻下人中及兩手足大指爪甲本,令艾丸在穴上各七壯。不止,至十四壯,愈,此事本在雜治中。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
卒中邪魅恍惚振噤、灸鼻下人中及兩手足大指爪甲本、令艾丸半在爪上、半在肉上、各七壯、不止、十四壯、炷如雀矢大、
『外台』(第十三卷・鬼魅精魅方)
灸鼻下人中,及兩手足大指爪甲本,令艾丸,半在爪上,半在肉上,各七壯,不止至十四壯,便愈。
* 「艾丸在穴上」は、「艾丸、半在爪上、半在肉上」にすべきであろう。
p.97
→ 欲因杖針刺鼻下人中近孔内側,空停針,兩耳根前宛宛動中停針,又刺鼻直上,入髮際一寸,横針,又刺鼻直上入,乃具詰問,怜怜醒悟,則乃止矣。
*沈先生の校注p.98 指摘通り、「杖」は「抜」の形近の誤りであろう。
p.98
■卷三 治中風諸急方第十九
→ 灸兩足大指下横文中,隨年壯。
『千金方』(卷第八・諸風第二)
扁鵲云、治卒中惡風、心悶煩毒欲死、急灸足大指下横文、隨年壯、立愈、
→ 若毒急不得行者,内筋急者,灸内踝;外筋急者,灸外踝上,二十壯。
『千金方』(卷第八・諸風第二)
若筋急不能行者、内踝筋急、灸内踝上四十壮、外踝筋急、灸外踝上三十壮、立愈、
『千金翼方』(卷第二十六・諸風第七)
若筋急不能行者、若内筋急、灸内踝上三十壯、外筋急、灸外踝上三十壯、愈、
* 「若毒急」 は 「若筋急」
「灸内踝」 は 「灸内踝上」
→ 若眼上睛垂者。灸目兩眥後三壯。
『千金方』(卷第八・諸風第二)
若眼戴精上插、灸目兩眥後二七壯、
→ 若不識人者。灸季脇頭各七壯。
『千金方』(卷第八・諸風第二)
若不識人、灸季肋頭七壯、
→ 此脇小肋屈頭也。
『外台』(第二十八卷・卒魘方)
便灸左右脇下屈肘頭尖、各七壯,
* 「脇小」は「脇下」 か?
「肋屈頭」は「肘屈頭」か? 肘を曲げて肘頭部分を指すか
p.99
→ 不能語者。灸第二槌或第五槌上五十壯。
『千金方』(卷第八・諸風第二)
若不能語、灸第三椎上百壯、
→ 若眼反口噤,腹中切痛者。
『千金方』(卷第八・諸風第二)
若眼反口噤、腹中切痛、
→ 灸陰囊下第一横理十四壯。
『千金方』(卷第八・諸風第二)
灸陰囊下第一横理十四壯、灸卒死、亦良、
→ 若狂走,欲斫刺人,或欲自殺,罵詈不息,稱鬼語者。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
狂走刺人、或欲自死、罵詈不息、稱神鬼語、
『千金翼方』(卷第二十七・小腸病第四)
狂走刺人、或欲自死、罵詈不息、稱鬼神語、
→ 灸兩口吻頭赤肉際各一壯。又灸兩肘屈中五壯。又灸背胛中間三壯。三日報灸三。
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
灸口吻頭赤白際一壯、又灸兩肘内屈中五壯、又灸背胛中間三壯、報灸之、
* 「報灸三」は「報灸之」であろう。
→ 倉公秘法,又應灸陰囊下縫三十壯
『千金方』(卷第十四・風癲第五)
倉公法神効、又灸陰囊縫三十壯、令人立、以筆正注、當下已臥核卵上灸之、勿令近前中卵核、恐害陽氣也、
2016年5月30日月曜日
2016年5月29日日曜日
肘後備急方校注の補足注記(3)
p.39から53まで
矢印 → が肘後備急方の経文
千金方、千金翼方、外台秘要方、医心方の類似した文をその下段に書き込み比較対照できるようにした。
本文も引用した文も、スペースを空け、比較し易くした(等幅フォントが、この画面で使えないので、ズレはあるが、少しは見やすくしたつもりである。
沈先生の校注部分は、江戸期の藍川慎の意見も取り入れてあり、大いに参考になった。
また医心方を見る機会があまり無かった(不勉強で)ので、これを期に医心方の鍼灸条文を
整理したくなった。
p.39
■卷一 治卒心痛方第八
→「又方 横度病人口 折之,以度心厭下, 灸度 頭三壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)では
「以物 横度病人口中屈之,從 心鳩尾度以下,灸度下頭五壯,横度左右,復灸五壯」
→「又方 灸心鳩尾下一寸,名巨闕,及左右 一寸,並百壯」
『医心方』(卷第十・治諸疝方第二)でも同じく
「又方 灸心鳩尾下一寸,名巨闕,及左右各一寸,并百壯。
p.48
■卷一 治卒心腹煩滿方第十一
→「灸乳下一寸,七壯,即愈」
『医心方』(卷第六・治心腹脹滿方第六)でも同じく
「灸乳下一寸,七壯」
p.48
→「又方 灸兩手大拇指内邊爪後第一文頭各一壯,又灸兩手中央長指爪下一壯,愈」
『外台』(卷第七・卒心腹脹滿方六首)でも同じく
「又方 灸兩手大拇指内邊爪後第一文頭各一壯,又灸兩手中央長指爪下一壯 愈」
p.51
■卷二 治卒霍亂諸急方第十二
→「衣藉之,冷復易。亦可以熨斗貯火著腹上」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)では
「衣藉之,冷復易湯。可以熨斗盛火著腹上」
→「如此而不淨者,便急灸之, 但明案次第,莫為亂灸。須有其病,乃隨病灸之」
『医心方』前の続き
「 而不靜者,便急灸之。灸之但明按次第,莫為亂灸。須有其病,乃隨病灸之」
→「灸霍亂,艾丸苦不大,壯數亦不多,本方言七壯,為可四五十,無不 便火下得活」
『医心方』前の続き
「灸霍亂,艾丸若不大,壯數若不多,本方言七壯 為可四五壯 無不活;便火下得眠」
* 医心方に従うのが良いのでは。
p.51
→「卒得霍亂,先腹痛者。 灸臍上, 十四壯,名太倉, 在心厭下四寸, 更度之」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)
「卒得霍亂 先腹痛者方:灸臍上一夫十四壮,名太倉」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「若 先腹痛者、 灸 太倉二七壮、穴在心厭下四寸臍上一夫、不止、更灸如前数」
* 「灸臍上,十四壯」「一夫」が脱字、「灸臍上一夫,十四壯」とすべき。
p.52
→「 先洞下者, 灸臍邊一寸」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療先洞下者法。灸臍邊二寸」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)
「又云:先洞下者,灸臍辺一寸」
→「男左女右,十四壯,甚者至三十 四十壯。名大腸募。洞者,宜瀉」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「男左女右,十四壯,甚者至三十、四十壯,名大腸募也」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)
「男左女右,十四壮。又云吐而下不止者,臍下一夫約中七壮」
→「先手足逆冷者, 灸兩足内踝上一尖骨是也,兩足各七壯,不愈加數」
『医心方』(卷第十一・治霍亂手足冷方第十一)
「先手足逆冷者方:灸 足内踝上一夫, 兩足各七壯」
→「 轉筋者, 灸蹶心當拇指大聚筋上,六七壯,名涌泉。又,灸足大指下約中 一壯,神驗。
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療轉筋者法。灸脚心下, 名湧泉。又灸當足大母指聚筋上六七壯,神驗。
『医心方』(卷第十一・治霍亂轉筋方第十)
「霍亂轉筋者方:灸蹠心下五六壯,名湧泉」
→「又方,灸 大指上爪甲際,七壯」
『医心方』(卷第十一・治霍亂轉筋方第十)
「又方 灸 大指上爪甲際,七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又 灸足大指下約中一壯(《千金》及《翼》同)」
→「轉筋入腹痛者,令四人捉手足,灸臍左二寸,十四, 灸股中大筋上,去陰一寸」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「転筋入腹痛欲死、四人持手足、灸臍上一寸 十四壮、自不動、勿復持之、又灸股裏大筋 去陰一寸、(霍乱第六)」
『千金方』(第十一・筋極第四)
「腹脹、転筋、 灸臍上一寸二十壮」
*「灸臍左二寸」は「灸臍上一寸」にすべき。
→「若 啘者,灸手腕第一約理中,七壯,名心主,當中指」
『医心方』(卷第十一・治霍亂嘔噦(於越反)方第七)
「《葛氏方》:霍乱若口@宛者,灸手腕第一約理中 七壮,名心主,當中指也」
→「 下利不止者, 灸足大指本節内側,寸 白肉際,左右各七壯,名大都」
『医心方』(卷第十一・治霍亂下利不止方第五)
「《葛氏方》治霍亂下利不止者方,灸足大指本節内 一寸側白肉際,左右各七壯,名大都」
『医心方』(卷第六・治筋病方第廿三)
「 灸大都。大都在足拇指大節内側, 白肉際 七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「 灸足大指本節内側一寸白肉際,左右七壯,名大都」
→「 乾嘔者, 灸手腕後三寸 兩筋間是,左右各七壯,名間使。若正厥嘔絶,灸之便通」
『医心方』(卷第十一・治霍亂乾嘔方第八)
「《葛氏方》霍乱乾嘔者方:灸手腕後三指(寸) 大両筋間, 左右各七壮,名間使」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「 若乾嘔者、 灸間使 各七壮、在手腕後三寸両筋間、不差更灸如前数」
→「 吐且下利者, 灸兩乳,連黒外近腹白肉際,各七壯,亦可至二七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療吐且下痢者法。灸兩乳邊連黒外近腋白肉際 各七壯, 可至二七壯」
『医心方』(卷第十一・治霍亂下利不止方第五)
「 灸兩乳邊(注),裏外近腑白肉際 各七壯」
(注)札記:仁和寺本“邊”下有“運”字,《外臺》引《肘後》“邊”下有“連”。
*「連黒外近腹白肉際」は検討必要
p.53
→「 若吐止而 利不止者,灸臍一夫 納中,七壯,又云臍下一寸,二七壯」
『外台』(第三十八卷・石發後變霍亂及轉筋方)
「又若吐止而下痢不止方。灸臍下趺約上二七壯」
→「 若煩悶湊滿者,灸心厭下三寸,七壯,名胃管」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療苦煩悶急滿法。灸心厭下三寸 七壯,名胃管(文仲同)」
→「又方,以鹽内臍中,上灸 二七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「 以鹽内臍中, 灸上二七壯(文仲、《千金翼》同)」
『千金翼』(卷第二十七・膀胱病第十)
「治霍亂法、……凡霍亂灸之、……、内鹽臍中灸二七壯、并主脹滿」
→「 若遶臍痛急者, 灸臍下三寸三七壯,名關元,良」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療苦繞臍痛急者法。灸臍下三寸三七壯,名關元 良。文仲同」
→「治 霍亂神秘起死灸法,以物横度病人人中,屈之 從心鳩尾飛度以下 灸」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療霍亂神秘起死灸法。以物橫度病人口中屈之,從心鳩尾度以下,灸度下頭五壯,橫度左右,複灸五壯」
→「又灸脊上,以物圍,令正當心厭。又夾脊左右一寸,各七壯,是腹背各灸三處也」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又灸脊上 以物圍 令正當心厭,又夾脊左右一寸 各七壯,是腹背各灸三處(崔氏、文仲同)」
→「 華佗治霍亂已死,上屋喚魂, 又以諸治皆至,而猶不差者」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又華佗療霍亂已死,上屋喚魂者,又以諸療皆至,而猶不差者法」
→「捧病人腹臥之,伸臂對,以繩度兩頭肘尖頭,依繩下夾背脊大骨穴中,去脊各一寸,灸之百壯。 不治者,可 灸肘椎。 已試數百人,皆灸畢即起坐。佗以此術傳 子孫,代代皆秘之」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「捧病人覆臥之,伸臂對以繩度兩 肘尖頭,依繩下夾背脊大骨空中,去脊各一寸,灸之百壯,無不活者。所謂灸肘椎,空囊歸。已試數百人,皆灸畢即起坐,佗以此術傳其子孫,世世皆秘之不傳(《千金》、崔氏、《備急》同。並出第一卷中)」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「霍亂轉筋、令病人合面正臥、申兩手著身、以繩横量兩肘尖頭、依繩下俠脊骨兩邊相去各一寸半、灸一百壯、無不差(肘後云、此華佗法)」
つづく
矢印 → が肘後備急方の経文
千金方、千金翼方、外台秘要方、医心方の類似した文をその下段に書き込み比較対照できるようにした。
本文も引用した文も、スペースを空け、比較し易くした(等幅フォントが、この画面で使えないので、ズレはあるが、少しは見やすくしたつもりである。
沈先生の校注部分は、江戸期の藍川慎の意見も取り入れてあり、大いに参考になった。
また医心方を見る機会があまり無かった(不勉強で)ので、これを期に医心方の鍼灸条文を
整理したくなった。
p.39
■卷一 治卒心痛方第八
→「又方 横度病人口 折之,以度心厭下, 灸度 頭三壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)では
「以物 横度病人口中屈之,從 心鳩尾度以下,灸度下頭五壯,横度左右,復灸五壯」
→「又方 灸心鳩尾下一寸,名巨闕,及左右 一寸,並百壯」
『医心方』(卷第十・治諸疝方第二)でも同じく
「又方 灸心鳩尾下一寸,名巨闕,及左右各一寸,并百壯。
p.48
■卷一 治卒心腹煩滿方第十一
→「灸乳下一寸,七壯,即愈」
『医心方』(卷第六・治心腹脹滿方第六)でも同じく
「灸乳下一寸,七壯」
p.48
→「又方 灸兩手大拇指内邊爪後第一文頭各一壯,又灸兩手中央長指爪下一壯,愈」
『外台』(卷第七・卒心腹脹滿方六首)でも同じく
「又方 灸兩手大拇指内邊爪後第一文頭各一壯,又灸兩手中央長指爪下一壯 愈」
p.51
■卷二 治卒霍亂諸急方第十二
→「衣藉之,冷復易。亦可以熨斗貯火著腹上」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)では
「衣藉之,冷復易湯。可以熨斗盛火著腹上」
→「如此而不淨者,便急灸之, 但明案次第,莫為亂灸。須有其病,乃隨病灸之」
『医心方』前の続き
「 而不靜者,便急灸之。灸之但明按次第,莫為亂灸。須有其病,乃隨病灸之」
→「灸霍亂,艾丸苦不大,壯數亦不多,本方言七壯,為可四五十,無不 便火下得活」
『医心方』前の続き
「灸霍亂,艾丸若不大,壯數若不多,本方言七壯 為可四五壯 無不活;便火下得眠」
* 医心方に従うのが良いのでは。
p.51
→「卒得霍亂,先腹痛者。 灸臍上, 十四壯,名太倉, 在心厭下四寸, 更度之」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)
「卒得霍亂 先腹痛者方:灸臍上一夫十四壮,名太倉」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「若 先腹痛者、 灸 太倉二七壮、穴在心厭下四寸臍上一夫、不止、更灸如前数」
* 「灸臍上,十四壯」「一夫」が脱字、「灸臍上一夫,十四壯」とすべき。
p.52
→「 先洞下者, 灸臍邊一寸」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療先洞下者法。灸臍邊二寸」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)
「又云:先洞下者,灸臍辺一寸」
→「男左女右,十四壯,甚者至三十 四十壯。名大腸募。洞者,宜瀉」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「男左女右,十四壯,甚者至三十、四十壯,名大腸募也」
『医心方』(卷第十一・治霍亂方第一)
「男左女右,十四壮。又云吐而下不止者,臍下一夫約中七壮」
→「先手足逆冷者, 灸兩足内踝上一尖骨是也,兩足各七壯,不愈加數」
『医心方』(卷第十一・治霍亂手足冷方第十一)
「先手足逆冷者方:灸 足内踝上一夫, 兩足各七壯」
→「 轉筋者, 灸蹶心當拇指大聚筋上,六七壯,名涌泉。又,灸足大指下約中 一壯,神驗。
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療轉筋者法。灸脚心下, 名湧泉。又灸當足大母指聚筋上六七壯,神驗。
『医心方』(卷第十一・治霍亂轉筋方第十)
「霍亂轉筋者方:灸蹠心下五六壯,名湧泉」
→「又方,灸 大指上爪甲際,七壯」
『医心方』(卷第十一・治霍亂轉筋方第十)
「又方 灸 大指上爪甲際,七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又 灸足大指下約中一壯(《千金》及《翼》同)」
→「轉筋入腹痛者,令四人捉手足,灸臍左二寸,十四, 灸股中大筋上,去陰一寸」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「転筋入腹痛欲死、四人持手足、灸臍上一寸 十四壮、自不動、勿復持之、又灸股裏大筋 去陰一寸、(霍乱第六)」
『千金方』(第十一・筋極第四)
「腹脹、転筋、 灸臍上一寸二十壮」
*「灸臍左二寸」は「灸臍上一寸」にすべき。
→「若 啘者,灸手腕第一約理中,七壯,名心主,當中指」
『医心方』(卷第十一・治霍亂嘔噦(於越反)方第七)
「《葛氏方》:霍乱若口@宛者,灸手腕第一約理中 七壮,名心主,當中指也」
→「 下利不止者, 灸足大指本節内側,寸 白肉際,左右各七壯,名大都」
『医心方』(卷第十一・治霍亂下利不止方第五)
「《葛氏方》治霍亂下利不止者方,灸足大指本節内 一寸側白肉際,左右各七壯,名大都」
『医心方』(卷第六・治筋病方第廿三)
「 灸大都。大都在足拇指大節内側, 白肉際 七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「 灸足大指本節内側一寸白肉際,左右七壯,名大都」
→「 乾嘔者, 灸手腕後三寸 兩筋間是,左右各七壯,名間使。若正厥嘔絶,灸之便通」
『医心方』(卷第十一・治霍亂乾嘔方第八)
「《葛氏方》霍乱乾嘔者方:灸手腕後三指(寸) 大両筋間, 左右各七壮,名間使」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「 若乾嘔者、 灸間使 各七壮、在手腕後三寸両筋間、不差更灸如前数」
→「 吐且下利者, 灸兩乳,連黒外近腹白肉際,各七壯,亦可至二七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療吐且下痢者法。灸兩乳邊連黒外近腋白肉際 各七壯, 可至二七壯」
『医心方』(卷第十一・治霍亂下利不止方第五)
「 灸兩乳邊(注),裏外近腑白肉際 各七壯」
(注)札記:仁和寺本“邊”下有“運”字,《外臺》引《肘後》“邊”下有“連”。
*「連黒外近腹白肉際」は検討必要
p.53
→「 若吐止而 利不止者,灸臍一夫 納中,七壯,又云臍下一寸,二七壯」
『外台』(第三十八卷・石發後變霍亂及轉筋方)
「又若吐止而下痢不止方。灸臍下趺約上二七壯」
→「 若煩悶湊滿者,灸心厭下三寸,七壯,名胃管」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療苦煩悶急滿法。灸心厭下三寸 七壯,名胃管(文仲同)」
→「又方,以鹽内臍中,上灸 二七壯」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「 以鹽内臍中, 灸上二七壯(文仲、《千金翼》同)」
『千金翼』(卷第二十七・膀胱病第十)
「治霍亂法、……凡霍亂灸之、……、内鹽臍中灸二七壯、并主脹滿」
→「 若遶臍痛急者, 灸臍下三寸三七壯,名關元,良」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療苦繞臍痛急者法。灸臍下三寸三七壯,名關元 良。文仲同」
→「治 霍亂神秘起死灸法,以物横度病人人中,屈之 從心鳩尾飛度以下 灸」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又療霍亂神秘起死灸法。以物橫度病人口中屈之,從心鳩尾度以下,灸度下頭五壯,橫度左右,複灸五壯」
→「又灸脊上,以物圍,令正當心厭。又夾脊左右一寸,各七壯,是腹背各灸三處也」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又灸脊上 以物圍 令正當心厭,又夾脊左右一寸 各七壯,是腹背各灸三處(崔氏、文仲同)」
→「 華佗治霍亂已死,上屋喚魂, 又以諸治皆至,而猶不差者」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「又華佗療霍亂已死,上屋喚魂者,又以諸療皆至,而猶不差者法」
→「捧病人腹臥之,伸臂對,以繩度兩頭肘尖頭,依繩下夾背脊大骨穴中,去脊各一寸,灸之百壯。 不治者,可 灸肘椎。 已試數百人,皆灸畢即起坐。佗以此術傳 子孫,代代皆秘之」
『外台』(卷第六・霍亂雜灸法)
「捧病人覆臥之,伸臂對以繩度兩 肘尖頭,依繩下夾背脊大骨空中,去脊各一寸,灸之百壯,無不活者。所謂灸肘椎,空囊歸。已試數百人,皆灸畢即起坐,佗以此術傳其子孫,世世皆秘之不傳(《千金》、崔氏、《備急》同。並出第一卷中)」
『千金方』(巻第二十・霍乱第六)
「霍亂轉筋、令病人合面正臥、申兩手著身、以繩横量兩肘尖頭、依繩下俠脊骨兩邊相去各一寸半、灸一百壯、無不差(肘後云、此華佗法)」
つづく
2016年5月20日金曜日
なおる・なおす 日本語と漢字の対応
小学館『古語大辞典』から
なほ・す【直す】
②元の状態にする。元どおりにする。「汝は医師(くすし)ぢゃといふ程に、この腰を――いてく
れい」〈虎明本狂言・雷〉。
なほ・る【直る】
②元どおりになる。回復する。「二、三日過ぎぬれば、たれもたれも心地――りにたり」〈宇治拾
遺・三・一六〉。
この用例をみて、漢字をあてるとしたら、「直」以外は不可といえるでしょうか。
で、「なおる」「なおす」に相当する漢字ですが、もちろん「直」だけではありません。
『日本国語大辞典』には
「堪(ナホルコト)難し」
「貴郎とのお間(なか)も和熟(ナホ)る様に骨を折りませう」
「機嫌が復(ナホ)らんのは」
「天運(しあわせ)の順還(ナヲル)事があれば」
「其の枉(まか)れるを矯(ナホサム)として」
「体に瘢の跡無く由(ナヲシ)脹壊せ未」(※最後の「未」は「ず」と読むのかも)
など、いろいろな「なおる・なおす」がでています。「直」ばかりでなく。
『大漢和辭典』凡例:字義の解說は先づ訓義を簡單にゴシック體で示し、更に明朝體を用ひて細說した。
・治:をさめる(ゴシック)。その下分類チ.なほす。療治する。(以上、明朝体)
さて、『大漢和辭典』の字訓索引を引くと、「なおる」という項目がありません。
「なおす」はたった一字だけで、今まで一度もお目にかかったことのない漢字です。
なぜなのでしょう。
なほ・す【直す】
②元の状態にする。元どおりにする。「汝は医師(くすし)ぢゃといふ程に、この腰を――いてく
れい」〈虎明本狂言・雷〉。
なほ・る【直る】
②元どおりになる。回復する。「二、三日過ぎぬれば、たれもたれも心地――りにたり」〈宇治拾
遺・三・一六〉。
この用例をみて、漢字をあてるとしたら、「直」以外は不可といえるでしょうか。
で、「なおる」「なおす」に相当する漢字ですが、もちろん「直」だけではありません。
『日本国語大辞典』には
「堪(ナホルコト)難し」
「貴郎とのお間(なか)も和熟(ナホ)る様に骨を折りませう」
「機嫌が復(ナホ)らんのは」
「天運(しあわせ)の順還(ナヲル)事があれば」
「其の枉(まか)れるを矯(ナホサム)として」
「体に瘢の跡無く由(ナヲシ)脹壊せ未」(※最後の「未」は「ず」と読むのかも)
など、いろいろな「なおる・なおす」がでています。「直」ばかりでなく。
『大漢和辭典』凡例:字義の解說は先づ訓義を簡單にゴシック體で示し、更に明朝體を用ひて細說した。
・治:をさめる(ゴシック)。その下分類チ.なほす。療治する。(以上、明朝体)
さて、『大漢和辭典』の字訓索引を引くと、「なおる」という項目がありません。
「なおす」はたった一字だけで、今まで一度もお目にかかったことのない漢字です。
なぜなのでしょう。
2016年5月19日木曜日
治す(る) ふたつにわかれる。
自動詞:病気がなおる。いえる。この場合の「ヂせず」=なおラない。
他動詞:病気をなおす。いやす。この場合の「ヂせず」=なおサない(治療しない)。
どちらの意味かは、前後関係から決定される。
自動詞・他動詞ともにサ行変格活用:せ・し・す・する・すれ・せよ。
したがって「ヂさず」とはならない。
「治さず」と書いてあったら、「ヂさず」ではなく「ナオさず」とよみましょう。
他動詞:病気をなおす。いやす。この場合の「ヂせず」=なおサない(治療しない)。
どちらの意味かは、前後関係から決定される。
自動詞・他動詞ともにサ行変格活用:せ・し・す・する・すれ・せよ。
したがって「ヂさず」とはならない。
「治さず」と書いてあったら、「ヂさず」ではなく「ナオさず」とよみましょう。
2016年5月17日火曜日
「不治」の訓読
「不治」というフレーズの訓読を、「ちせず」とすることが普通だと思います。
なぜ「ちさず」ではなく「ちせず」なのか疑問になり、旺文社『古語辞典』をひいたところ、「治す」はサ行変格活用の動詞なので、「ちさず」とはならず「ちせず」なのだそうです。これは納得しました。
ところが、よく見ると「治す」のルビが「ぢす」とありました。そうなると、「不治」も「ぢせず」が正しいことになります。
果たして本当に「ぢせず」とすべきなのか、旺文社『古語辞典』を参考にすべきではなく「ちせず」なのか、はたまたこんなことはどちらでもよいのか、ご意見をお聞かせください
なぜ「ちさず」ではなく「ちせず」なのか疑問になり、旺文社『古語辞典』をひいたところ、「治す」はサ行変格活用の動詞なので、「ちさず」とはならず「ちせず」なのだそうです。これは納得しました。
ところが、よく見ると「治す」のルビが「ぢす」とありました。そうなると、「不治」も「ぢせず」が正しいことになります。
果たして本当に「ぢせず」とすべきなのか、旺文社『古語辞典』を参考にすべきではなく「ちせず」なのか、はたまたこんなことはどちらでもよいのか、ご意見をお聞かせください
2016年5月16日月曜日
肘後備急方校注の補足注記(2)
p.23 最下行
■卷一 救卒死尸蹶方第二
「針足大指甲下肉側去甲三分,又針足中指甲上各三分,大指之内,去端韭葉,又針手少陰、鋭骨之端各一分」
『千金方』(卷第八・風懿第六)では、
「又刺足大指甲下内側去甲三分」
「肉側」は「内側」に正すべきであろう。
p.24 2行目
「又方 灸膻中穴二十八壯」
『医心方』(巻第十四・治卒死方第一)では
「又方 灸膻中穴二七壯」
灸の壯數の例であるが、千金方では「二七壯」の用例は多数あり、「二十八壯」の用例は無し。
「二十八」は「二七」の誤りであろう。
p.25 中程
■卷一 救卒客忤死方第三
「灸足兩拇指上甲後聚毛中,各十四壯,即愈」
『医心方』(卷第十四・治卒死方第一)では、上記に同じ
「灸足兩拇指上甲後叢毛中、各十四壮、即癒」
『外台』(第二十八卷・中惡方)では、
「灸兩足大拇指上甲後聚毛中,各灸二七壯,即愈。又法三七壯」
p.30 中程
■卷一 治卒魘寐不寤方第五
「灸足下大指聚毛中,二十一壯」
『千金方』(卷第二十二・卒死第一)では
「魘、灸兩足大指叢毛中、各二七壮」
『外台』(第二十八卷・卒魘方)では
「灸兩足大趾聚毛中、二十一壯」
p.30 中程
「又方 灸兩足大趾上聚毛中,灸二十壯」
『千金方』(卷第十四・風癲第五)では
「又 灸足大指上聚毛中,七壯」
「灸二十壯」は「各二十壯」であろう。
「二十」は「七」の誤りか?
p.32
■卷一 治卒中五尸方第六
「灸乳後三寸,十四壯,男左女右。不止,更加壯數,瘥」
『千金方』(卷第十七・飛尸鬼疰第八)では
「灸乳後三寸、男左女右、可二七壯、不止者多其壯、取愈止」
p.32
「又方 灸心下三寸,六十壯」
『千金方』(卷第十七・飛尸鬼疰第八)では
「又 灸心下三寸,十壯」
千金方では二十壯、三十壯、四十壯、五十壯、百壯などはあるが、六十壯は一例も用例が無い。
「六十壯」は「十壯」の誤りであろう。
■卷一 救卒死尸蹶方第二
「針足大指甲下肉側去甲三分,又針足中指甲上各三分,大指之内,去端韭葉,又針手少陰、鋭骨之端各一分」
『千金方』(卷第八・風懿第六)では、
「又刺足大指甲下内側去甲三分」
「肉側」は「内側」に正すべきであろう。
p.24 2行目
「又方 灸膻中穴二十八壯」
『医心方』(巻第十四・治卒死方第一)では
「又方 灸膻中穴二七壯」
灸の壯數の例であるが、千金方では「二七壯」の用例は多数あり、「二十八壯」の用例は無し。
「二十八」は「二七」の誤りであろう。
p.25 中程
■卷一 救卒客忤死方第三
「灸足兩拇指上甲後聚毛中,各十四壯,即愈」
『医心方』(卷第十四・治卒死方第一)では、上記に同じ
「灸足兩拇指上甲後叢毛中、各十四壮、即癒」
『外台』(第二十八卷・中惡方)では、
「灸兩足大拇指上甲後聚毛中,各灸二七壯,即愈。又法三七壯」
p.30 中程
■卷一 治卒魘寐不寤方第五
「灸足下大指聚毛中,二十一壯」
『千金方』(卷第二十二・卒死第一)では
「魘、灸兩足大指叢毛中、各二七壮」
『外台』(第二十八卷・卒魘方)では
「灸兩足大趾聚毛中、二十一壯」
p.30 中程
「又方 灸兩足大趾上聚毛中,灸二十壯」
『千金方』(卷第十四・風癲第五)では
「又 灸足大指上聚毛中,七壯」
「灸二十壯」は「各二十壯」であろう。
「二十」は「七」の誤りか?
p.32
■卷一 治卒中五尸方第六
「灸乳後三寸,十四壯,男左女右。不止,更加壯數,瘥」
『千金方』(卷第十七・飛尸鬼疰第八)では
「灸乳後三寸、男左女右、可二七壯、不止者多其壯、取愈止」
p.32
「又方 灸心下三寸,六十壯」
『千金方』(卷第十七・飛尸鬼疰第八)では
「又 灸心下三寸,十壯」
千金方では二十壯、三十壯、四十壯、五十壯、百壯などはあるが、六十壯は一例も用例が無い。
「六十壯」は「十壯」の誤りであろう。
2016年5月15日日曜日
肘後備急方校注の補足注記(1)
南京の訪問において『肘後備急方校注』(人民衛生出版社、2016年1月初版、沈じゅ農 校注)を沈先生から頂いた。
この場を借りて感謝申し上げます。
著書を読んで気がついたところを発言するのが、沈先生への最大の感謝の気持ちと思い投稿いたします。
まずお断りしておきますが、あくまで鍼灸師としての読み込みであり、湯液関係は未着手です。
p.18、15行目
■卷一 救卒中惡死方第一
又方:灸鼻人中,三壯也。
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中七壯」
「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒可加壯數也」
『外台秘要方』(巻第28・卒死方)
「灸鼻下人中三壯」
とあり、「鼻人中」は「鼻下人中」(鼻の下の人中=水溝(GV26))に校注したほうが良いと考えます。
参考までに、
p.23の
■卷一 救卒死尸蹶方第二
「又方:灸鼻人中,七壯,又灸陰囊下,去下部一寸,百壯。若婦人,灸兩乳中間」
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中七壯、灸陰囊下、去大孔一寸百壯,若婦人者灸兩乳之中間」
p.27の
■卷一 治卒得鬼擊方第四
「灸鼻下人中一壯,立愈。不瘥,可加數壯」
* ここでは「鼻下人中」
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒 可加壯數也」
とあるように、「鼻下人中」が取穴部位の説明としては正しく考えます。
p.32の
■卷一 治卒中五尸方第六
「又方:以四指尖其痛處,下灸指下際數壯,令人痛,上爪其鼻人中,又爪其心下一寸,多其壯,取瘥」
も同じく、「鼻人中」を「鼻下人中」と校注したい。
なお、
p.27の
■卷一 治卒得鬼擊方第四
「灸鼻下人中一壯,立愈。不瘥,可加數壯」
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒 可加壯數也」
「可加數壯」は、『医心方』の「可加壯數」のほうが臨床的だと思います。
この場を借りて感謝申し上げます。
著書を読んで気がついたところを発言するのが、沈先生への最大の感謝の気持ちと思い投稿いたします。
まずお断りしておきますが、あくまで鍼灸師としての読み込みであり、湯液関係は未着手です。
p.18、15行目
■卷一 救卒中惡死方第一
又方:灸鼻人中,三壯也。
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中七壯」
「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒可加壯數也」
『外台秘要方』(巻第28・卒死方)
「灸鼻下人中三壯」
とあり、「鼻人中」は「鼻下人中」(鼻の下の人中=水溝(GV26))に校注したほうが良いと考えます。
参考までに、
p.23の
■卷一 救卒死尸蹶方第二
「又方:灸鼻人中,七壯,又灸陰囊下,去下部一寸,百壯。若婦人,灸兩乳中間」
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中七壯、灸陰囊下、去大孔一寸百壯,若婦人者灸兩乳之中間」
p.27の
■卷一 治卒得鬼擊方第四
「灸鼻下人中一壯,立愈。不瘥,可加數壯」
* ここでは「鼻下人中」
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒 可加壯數也」
とあるように、「鼻下人中」が取穴部位の説明としては正しく考えます。
■卷一 治卒中五尸方第六
「又方:以四指尖其痛處,下灸指下際數壯,令人痛,上爪其鼻人中,又爪其心下一寸,多其壯,取瘥」
も同じく、「鼻人中」を「鼻下人中」と校注したい。
なお、
p.27の
■卷一 治卒得鬼擊方第四
「灸鼻下人中一壯,立愈。不瘥,可加數壯」
『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒 可加壯數也」
「可加數壯」は、『医心方』の「可加壯數」のほうが臨床的だと思います。
森鷗外の『渋江抽斎』を取り上げる本
『お言葉ですが… 別巻3漢字検定のアホらしさ (改訂版)』 高島 俊男 連合出版
若き和辻哲郎の期待と失望:抽斎がその生涯において心血を注いだのは『経籍訪古志』である。ところが……その抽斎の畢生の作の内容や価値についてふれるところがない。……それで『経籍訪古志』の話はちっともしないで,抽斎は角兵衛獅子が好きだったとかフロフキダイコンが好きだったとかいった話ばかりしている……。考証というのは碁将棋のようなもので,いくら脳髄をしぼっても国家民族の役には立たない。そのかわり当人にとっては無上におもしろい。やり出したらやめられない。「そんなことをやって何になる?」という問いとは無関係なのである。……
『ことばの散歩道4 甚ダシクハ解スルヲ求メズ』 上野 恵司 白帝社
2 鴎外『渋江抽斎』と『即興詩人』(渋江抽斎「不求甚解」を愛した先達/ 「不求甚解」とは言いながら/
わたくしはこの作品に中学生の頃に一度挑戦して,わずか数頁で投げ出した。……
上野さんによる「漢字検定」ならぬ「鷗外語彙検定」
①錶 ②火伴 ③汗衫 ④招牌 ⑤無花果 ⑥天鵞絨 ⑦打扮 ⑧強人 ⑨赤条々 ⑩早晩 ⑪許多 ⑫麪包 ⑬萊菔 ⑭光景 ⑮臥房
正解は,123頁にある。
若き和辻哲郎の期待と失望:抽斎がその生涯において心血を注いだのは『経籍訪古志』である。ところが……その抽斎の畢生の作の内容や価値についてふれるところがない。……それで『経籍訪古志』の話はちっともしないで,抽斎は角兵衛獅子が好きだったとかフロフキダイコンが好きだったとかいった話ばかりしている……。考証というのは碁将棋のようなもので,いくら脳髄をしぼっても国家民族の役には立たない。そのかわり当人にとっては無上におもしろい。やり出したらやめられない。「そんなことをやって何になる?」という問いとは無関係なのである。……
『ことばの散歩道4 甚ダシクハ解スルヲ求メズ』 上野 恵司 白帝社
2 鴎外『渋江抽斎』と『即興詩人』(渋江抽斎「不求甚解」を愛した先達/ 「不求甚解」とは言いながら/
わたくしはこの作品に中学生の頃に一度挑戦して,わずか数頁で投げ出した。……
上野さんによる「漢字検定」ならぬ「鷗外語彙検定」
①錶 ②火伴 ③汗衫 ④招牌 ⑤無花果 ⑥天鵞絨 ⑦打扮 ⑧強人 ⑨赤条々 ⑩早晩 ⑪許多 ⑫麪包 ⑬萊菔 ⑭光景 ⑮臥房
正解は,123頁にある。
2016年5月12日木曜日
2016年5月11日水曜日
緩風とか柔風とか
友人からの質問:
談話室活性化のサクラ的な意味も有って投稿しますが,こんな七面倒な質問では逆効果かも。変な質問!というコメントでも結構です。
『千金方』に,紀元前3世紀頃までは,足の病全般に,緩風、柔風という言葉が使われていると聞きました。下部は湿や寒だと思っていましたが,足みたいな下部にも風が関係したと考えられていたのでしょうか。考えてみれば,肩や腰の凝りにも寒湿は関係するのだから,上下関係と風、寒、湿は余り拘らない方が良いのでしょうか 。わたしの取り敢えずの応答:
緩風、柔風は穏やかな風の病と考えるのでしょうか。紀元前3世紀頃までの解釈が分かれば教えて下さい。
柔風と緩風,なんだかよくわかりません。『千金方』に確かに登場しますが,北方の高燥な土地から,南方の低湿な土地に逃れてきた人には脚気が多い,地面から湿を受けるからだ,というような文面です。なんで風という字を使って,柔風とか緩風とかと称するのか,その説明がまだ見つかりません。実のところよく分かりません。質問の文章も,やや手直ししましたので,そもそも誤解が混じっているかも知れない。どなたかもう少しましな返答(回答・解答)ができる人はいませんか。
紀元前3世紀頃云々もハテナです。柔風という詞は,そよ風というような意味でなら『管子』に出てくるようですが,そんなのこの際は関係ないでしょう。
談話室活性化のサクラ的な意味も有って投稿しますが,こんな七面倒な質問では逆効果かも。変な質問!というコメントでも結構です。
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