2016年5月17日火曜日

「不治」の訓読

 「不治」というフレーズの訓読を、「ちせず」とすることが普通だと思います。
なぜ「ちさず」ではなく「ちせず」なのか疑問になり、旺文社『古語辞典』をひいたところ、「治す」はサ行変格活用の動詞なので、「ちさず」とはならず「ちせず」なのだそうです。これは納得しました。
 ところが、よく見ると「治す」のルビが「ぢす」とありました。そうなると、「不治」も「ぢせず」が正しいことになります。
 果たして本当に「ぢせず」とすべきなのか、旺文社『古語辞典』を参考にすべきではなく「ちせず」なのか、はたまたこんなことはどちらでもよいのか、ご意見をお聞かせください
 

5 件のコメント:

  1. 手近に在った『支那文を讀む爲の漢字典』には:

    呈怡切音持支韻の下に:●之を理するなり。「治國」の如し。●慾處なり。「治罪」の如し。
    直肄切音稚寘韻の下に:●理なり。「長治久安」と言ふが如し。……

    ジかチかは,こんなところから発しているのかな。よくわかりませんが。

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    1. 国を治める、罪を治める(裁判して処理する)なら「ジ」、長く治まっていて久しく安らかなら「チ」ということですか。してみると、「病を治めることができない」なら、「ジせず」ですかね。

      セイジとチアン?
      こんなの呉音と漢音の、日本人の勝手な都合かと思ったけど、そうでもないのかねえ。

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    2. 残念ながら,この字典の拠り所が何なのか,分かりません。

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  2. 江戸時代は、濁って読むカナでも、濁点がかならずつくとは限りません。
    しかしながら、「治」字に関しては、いままで目睹していたなかでは、「ぢす」の方がかなり多い印象があります。「ちす」はすくない。

    国会図書館デジタルコレクション
    http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2557341?tocOpened=1
    『仮名読十四経治方』
    コマ番号2。真ん中に書名「(鍼灸)假名讀(かなよみ)十四經治方(けいぢはう)」とあり、その右下の三行目に「平(ひら)かなにて書(かき)しるし諸病(しよひやう)を治(ぢ)することをしらしむ」とあります。
    「病」は「ひやう」とあり、「び」と濁点を打っていません。
    表記が一定でないのは、となりの頁のタイトルが「治法(ちほう)」と濁っていないのを見てもわかると思います。
    「治法」と「治方」で、どっちが正しい題名なのかと悩むし、「方」「法」のふりがなはこれでいいのか、とか、いろいろツッコミどころがあります。

    ところで、「不治の病」を「ふち」と発音しますか、それとも「ふじ」ですか?

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  3. 話題の筋からは外れるけど、「治さず」だと「治療しない」、「治せず」だと「治らない」あるいは「治せない」ということは無いですか。

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