2016年5月19日木曜日

治す(る) ふたつにわかれる。

自動詞:病気がなおる。いえる。この場合の「ヂせず」=なおラない。
他動詞:病気をなおす。いやす。この場合の「ヂせず」=なおサない(治療しない)。

どちらの意味かは、前後関係から決定される。
自動詞・他動詞ともにサ行変格活用:せ・し・す・する・すれ・せよ。

したがって「ヂさず」とはならない。
「治さず」と書いてあったら、「ヂさず」ではなく「ナオさず」とよみましょう。

5 件のコメント:

  1. 考えてみると,『素問』『霊枢』の「不治」は,「なおラない」なのか「なおセない」なのか。同じようなものと言っていいのか,微妙に違うと言うべきか。

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  2. また旺文社『古語辞典』レヴェルですが、

    「なおす」の歴史的仮名遣いは「なほす」だそうです。
    ただ問題なことに、「なほす」にあたる漢字は「直す」だけで、「治す」はありませんでした。しかも病が癒えたり病を癒したりする意味も「なおす」にはありませんでした。

    病系統の動詞として、「をさむ」「をさめる」がありましたが、病の治癒の場合は「治む」「治める」とできるそうです。
    「いゆ」「いえる」は「癒ゆ」「癒える」です。

    まぁあくまで『古語辞典』レベルでして、全体の用例というわけではありませんが。

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  3. いえね,扁鵲の六不治なんかは,患者を「お前の態度が悪いんだ」と罵っているみたいだし,九針十二原の「不可治者,未得其術也」なんかは,医者が「お前は薮だ」と貶されているみたいでね。

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  4.  似たような内容を、昨年11月に「岐黄会はなそうかいブログ」に投稿しましたので、ご覧ください。
    不治已病、治未病
    http://kikoukai-hanasoukai.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html
     十元さんのコメントを見て、そういうことなのか、と思ったしだいです。

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    1.  表記が不親切なため、一部誤解を招いてしまったようで、すみません。
       十元さんのコメントとは、岐黄会ブログの「不治已病、治未病」に対するコメントのことで、
       “治未乱は、未乱の状態の時に調整する、ならば「未乱に治ちす」であって「未乱を」ではないでしょう。不治已乱は、已乱の状態になったならば調整しない、ならば「已乱に治ちせず」であって「已乱を」ではないでしょう。”を指しています。

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