2016年5月15日日曜日

肘後備急方校注の補足注記(1)

南京の訪問において『肘後備急方校注』(人民衛生出版社、2016年1月初版、沈じゅ農 校注)を沈先生から頂いた。
この場を借りて感謝申し上げます。
著書を読んで気がついたところを発言するのが、沈先生への最大の感謝の気持ちと思い投稿いたします。
まずお断りしておきますが、あくまで鍼灸師としての読み込みであり、湯液関係は未着手です。

p.18、15行目
■卷一 救卒中惡死方第一 
又方:灸鼻人中,三壯也。

『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
 「灸鼻下人中七壯」
 「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒可加壯數也」
『外台秘要方』(巻第28・卒死方)
 「灸鼻下人中三壯」
とあり、「鼻人中」は「鼻下人中」(鼻の下の人中=水溝(GV26))に校注したほうが良いと考えます。
参考までに、
p.23の
■卷一 救卒死尸蹶方第二
 「又方:灸鼻人中,七壯,又灸陰囊下,去下部一寸,百壯。若婦人,灸兩乳中間」

『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
 「灸鼻下人中七壯、灸陰囊下、去大孔一寸百壯,若婦人者灸兩乳之中間」

p.27の
■卷一 治卒得鬼擊方第四
 「灸鼻下人中一壯,立愈。不瘥,可加數壯」
 * ここでは「鼻下人中

『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
 「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒 可加壯數也」

とあるように、「鼻下人中」が取穴部位の説明としては正しく考えます。


p.32の
■卷一 治卒中五尸方第六
 「又方:以四指尖其痛處,下灸指下際數壯,令人痛,上爪其鼻人中,又爪其心下一寸,多其壯,取瘥」
も同じく、「鼻人中」を「鼻下人中」と校注したい。


なお、
p.27の
■卷一 治卒得鬼擊方第四
 「灸鼻下人中一壯,立愈。不瘥,可加數壯

『医心方』(巻第14・治卒死方第一)では、
 「灸鼻下人中一壯,立癒。不癒 可加壯數也」

「可加數壯」は、『医心方』の「可加壯數」のほうが臨床的だと思います。

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