2018年5月14日月曜日

とりあえず揣

『漢語大辞典』に拠ればですが、揣には chuaiという音で估量、忖度、放在衣服裏といった義があり、tuanという音で古くは團と同じで聚集の様子あるいは捶撃の義があります。
ところで耑を声符とすると思われる漢字には端や瑞などがあり、『説文』を見ると確かに耑声と載っている。ところが端はduan、 瑞は ruiです。どうしたことでしょう。
ちなみに耑はduan、zhuan。
耑の上部の山は小篆では右に傾き、楚系の文字では山は横向きでヨ、どのみち手の象形。下の而は頬ひげらしい。

4 件のコメント:

  1. 耑の山が右に傾いているどころか,ほとんど逆さになっている様な字「𦓔」が,例の弾踝診法のところに,『太素』では登場します。もつともこれは,『素問』三部九候論では「蠕」になっているんで,声符需の問題であって,耑とはとりあえず関係ない。

    耑の異体字の中に,爪に而というのは無いかと探したけれど,見つからない。『説文』の言い分に従えば,より相応しいと思うんだが。

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  2. 『太素』巻14人迎脈口診に「外揣言渾束為一」云々とあり,楊上善注に「揣,初委反,度也」という。つまり,こちらは音はシで,義は度(はかる)で,辻褄はあっている。

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  3. 『太素』巻14真蔵脈形に「真腎脈至,揣而絕,如循彈石辟辟然,其色黃黑不澤,毛折乃死。」とあって,楊上善の注に「揣,初委反,動也。」という。これはどうも音・義ともに誤っているらしい。
    というのは揣には丁果切という音もあって,それなら『広雅』に「動也」とある。動という義なら初委反ではない。
    巻15五蔵脈診「心脈揣堅而長」云々の下にも楊上善は「揣,動也。」と言っている。しかし,後に「肝脈揣堅而長,色不青……,若耎而散者,其色澤……」とあるのだから,堅←→耎(やわらか)であり,揣←→散であるはずだろう。つまり,揣は摶の異形同字で義は聚の貌。

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    1. 訂正
      『広韻』には,初委切に度也,量也だが,又丁果切ともあり,丁果切に揺也だが,又初委切ともあるらしい。何が何だかわからなくなった。

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