2011年12月3日土曜日

『醫説』鍼灸 關聯史料集成 4 鍼蒭愈鬼 その9

『南史』卷三十二
又春月出南籬門戲,聞笪屋中有呻吟聲。【校勘:「南籬門」各本作「南籬間」,據南齊書、太平御覽七二三。/引齊書改。「吟」字各本無,據南齊書補。】 嗣伯曰:「此病甚重,更二日不療必死。」乃往視,見一老姥稱體痛,而處處有𪒠黑無數。嗣伯還煑斗餘湯送令服之,服訖痛勢愈甚,跳投床者無數。須臾所𪒠處 皆拔出釘,長寸許。以膏塗諸瘡口,三日而復,云「此名釘疽也」。

【訓讀】
又た春月に南籬門を出でて戲る。笪屋の中に呻吟の聲有るを聞く。嗣伯曰く:「〔この聲から判斷すれば〕此の病甚だ重し。更に二日して療せずんば必ず死せん。」乃ち往って視れば,一老姥の體の痛みを稱(とな)うるを見る。而して處處 𪒠黑有ること無數。嗣伯〔家に〕還って斗餘りの湯を煮,送って之を服せしむ。服し訖(お)えれば痛みの勢い愈いよ甚だし。床を跳投すること無數。須臾にして𪒠(くろ)き處の所 皆な釘拔き出づること,長さ寸許(ばか)り。膏を以て諸もろの瘡口に塗り,三日にして復す。「此の名 釘疽なり」と云う。

【注釋】
○南籬門:『太平御覽』卷一九七『南朝宮苑記』曰:「建康籬門,舊南北両岸,籬門五十六所,蓋京邑之郊門也,如長安東都門,亦周之郊門,江左初立,並用籬爲之,故曰籬門,南籬門……。」南籬門は秦淮南岸の越城南にあった(中村圭爾「六朝建康の伝統と革新」,『大阪市立大学東洋史論叢』特集号,21世紀COEプログラム「都市文化創造のための人文科学的研究」国際シンポジウム「中国都市の時空世界」 2005年3月)。 ○笪屋:竹で編んだむしろで蔽われた建物。 ○姥:老婦。 ○處處:いたるところ。各處。 ○𪒠:深い黑。 ○斗餘:『南齊書』は「升餘」。 ○跳投:とびはねる。 ○須臾:やがて。まもなく。しばらくして。 ○釘疽:

2 件のコメント:

  1. 諸病源候論卷第三十二・癰疽諸病上凡一十六門のうち疽候に,
    釘疽發兩髆,此起有所逐,惡血結留內外,榮衛不通,發爲釘疽。三日身腫,痛甚,口噤如痙狀。十一日可刺。不治,二十日死。疽起於肉上,如丁蓋,下有脚至骨,名釘疽也。
    ここには,釘と名付けるような理由が無い。本当は丁疽というべきに過ぎないという可能性は如何。

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  2. 唐辺睦さま,
    ありがとうございます。
    どうも,あとで調べようと思って,忘れていたようです。

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