十一月八日の粗読講座のまとめです。
・通天篇全体の内容は、
黄帝が問い少師が答える形で
①陰人と陽人の違いは?
→陰陽に、さらに五がある
②その概略は?
→人に五つの態がある
③その違いは?
→太陰、少陰、太陽、少陽、陰陽和平の五態で、それぞれの人の性格が違う
④その治療法は?
→五態ごとに陰と陽を診て、それに応じて、虚、実、補、写、をする
⑤初対面の人の五態の見分け方?
→顔色や立ち振る舞いを見て判断する
となっています。
・黄帝の問答相手の少師について考えました。
少師は、中国古代の高官の職名でした。
朝鮮の王朝でも、少師の職名がありました。
・篇名の通天について考えました。
通天の語は、『霊枢』では、通天篇の篇名のみに使われ、
『素問』では、生気通天論篇の篇名及び文中に、病能論篇、六元正紀大論篇の文中に使われています。
また、中国古典に通天の語のあるものは意外と少なく、
『荘子』知北遊篇、『韓詩外伝』巻八第八章、などがあります。
この両書の当該篇では、どちらも黄帝と他者との問答が記されて点に注目しました。
・「口」について考えました。
通天篇の「口弗能遍明也」(口ではなかなか申しにくい)と、
『荘子』知北遊篇の「夫知者不言」(そもそも知者は物を言わない)との相似に注目しました。
・通天篇の文中の陰陽和平の人を説明する語の顒顒然について考えました。
『韓詩外伝』巻八第八章は、君子について論じていますが、
そこに引用される詩句は『詩経』大雅・巻阿篇で、
この巻阿篇に顒顒の語があります。
なお、この『詩経』巻阿篇は君子の姿を詠っています。
・通天篇の著者の真意を考えました。
通天篇では、結語的に陰陽和平の人が君子だ、としていますので、
人を君子に導く治療が理想だとする意(君子論)が、この通天篇の著者の眼目であるかもしれない、と考えました。
以上です。
この篇に関連する『素問』『霊枢』の他篇の読み込みが必要と感じました。
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