2020年9月13日日曜日

2020.9.13. 粗読講座 『霊枢』脹論篇 第三十五 (担当:土山)

 

本日の粗読講座のまとめです。

疑問点は1回持ち帰って頂いて、またの機会に勉強させて頂きたいと思います。


・丸山先生は栞のなかで、脹論篇の治療法は明確性を欠いているとしており、補足として甲乙経の治法を挙げている。前半は「虚実に関係なく、脹病に対しては足三里の瀉法を行え」とあったのにも関わらず、中盤では「虚実を間違えないようよくよく診断できるのが良い治療家」とあることから、この補足を加えたと思われる。

・上記のように、統一感が度々失われていることから、それぞれの理論が固まった時代ごとに数人の作者がいると思われる。

・『素問』水熱穴論や評熱病論、『霊枢』水脹篇、衛気失常篇に浮腫の各論があり、本編は脹病の総論を述べた篇だと思われる。

・脹病の大きな原因は衛気の流通障害であり、臨床における衛気の大切さをあらためて実感したことから、もう一度衛気について深い追及をしたいところである。

・浮腫みに悩まされる患者は多いが、単に湿邪だけのせいとは考えにくい。日本人の浮腫みに多いのは水分過多な浮腫みではなく、衛気失調の浮腫みか?→その場合、水分を出すだけの治療ではなく、汗を止めたり、飲食物に気を使ったり、季節に応じた生活や睡眠を正すことで衛気失調から回復し、浮腫みなどの脹病が治療できると考える。

・錯簡と思われる条文が数か所ある一方、比喩表現も多彩であることから文化的な発展があった時代のものも含まれるか?


内経に時たま現れる素朴な比喩表現と臨床にも使える実用的な条文が混在しており、粗読するには単純に面白いと感じる一篇でした。季節は秋になりましたが、残暑がきつく、最近も汗が止まらない人が多い印象ですが、中には足冷えが始まっている人がいます。足三里をうまく使えば今の時期にふさわしい治療ができるのではないかと、少し期待もできた粗読でした。

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