2026年10月10日土曜日

15-3 江戸時代鍼灸文献序跋集 腧穴圖鑑

 15-3 腧穴圖鑑  鈴木文彊撰

    京大富士川文庫所蔵(ユ/三)

     https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00005528

    訓点などで使われる「ナリ」をあらわす「也」の省略体は「なり」にかえた。一部、ルビをつけた。読点を打った。


腧穴圖鑑         東都  鈴木文彊甫圖

凡此圖画スル所ハ、諸家ノ説ヲ引キ、其骨郄分肉ト尺寸ト相符号スルヲ取テ、以折衷スル所なり、其據トスル説ハ、予ガ先ニ著ス兪穴便覧ニ詳ナレハ、是ヲ省ク、若シ便覧ト此圖鑑ト校見スル寸(時)ハ、兪穴ヲシテ掌中ヲ指(さす)カゴトクナランヤ、絡脉傳注交經ノ如キハ、引經スル所ニ非ス、只其直行ナル者ヲ分色シテ、兪穴ノ部位ヲ見得易カラシム、其絡脉交經交會ノ如キハ、滑氏十四經發揮ニ審也、熟覧スベシ


 【注釋】

 ○東都‥江戸 ○鈴木文彊‥『兪穴便覽』(『鍼灸便覽』)を著す。 ○甫‥男子の美称。 ○掌中ヲ指‥手のひらの筋目をゆびで指して他人に示す。容易なことの比喩。


凡そ此の圖画スル所ハ、諸家ノ説ヲ引キ、其の骨郄分肉ト尺寸ト相い符号スルヲ取っテ、以て折衷スル所𬻿(なり)、

 【意訳】ここに図にして描いてあるものすべては,多くの専門家の説を引用して,その骨の隙間や肉の分かれ目と尺寸の寸法が互いに一致するものを選び,採用したものである。

其の據(よりどころ)トスル説ハ、予ガ先ニ著ス兪穴便覧ニ詳らかナレハ、是れヲ省ク、

 【意訳】その根拠とした説については,わたくしがこれより先に著わした『兪穴便覧』で詳しく述べているので,ここでは省略する。

若シ便覧ト此の圖鑑ト校見スルときハ、兪穴ヲシテ掌中ヲ指さすカゴトクナランヤ、

 【意訳】もし『兪穴便覧』とこの『腧穴図鑑』を照らし合わせて見るならば,自分の手のひらを自分で指さすのと同じくらい腧穴の位置を容易に理解できるようになるだろう。

絡脉傳注交經ノ如キハ、引經スル所ニ非ス、

 【意訳】絡脈が伝わり注いで次の経脈に連絡する線や,経脈と経脈が交わる部位のようなものは,線引きしていない。

只だ其の直行ナル者ヲ分色シテ、兪穴ノ部位ヲ見得易カラシム、

 【意訳】ただ,その直行する経を(各経脈ごと五行の色に)色分けして,腧穴の部位を見やすくしただけである。

其の絡脉交經交會ノ如キハ、滑氏十四經發揮ニ審らか也、熟覧スベシ

 【意訳】その絡脈が次の経脈に連絡するところや,経脈と経脈が交わる部位のようなものについては,滑寿の『十四経発揮』に詳しいので,熟読すべきである。

0 件のコメント:

コメントを投稿