2014年1月25日土曜日

文選李漸菴公祖夫人患產後血厥

「公の祖父の夫人が,お産したんですか?」

唐辺睦さま,拙文をお読みいただき,ありがとうございます。
おじいさんの配偶者は,おばあさんであるから,出産はむずかしいのでは,という質問でしょうか。

結論として,おじいさんの配偶者が出産したと理解しました。
明代は,一夫多妻であり,10代や20代の後妻をめとった可能性もありますし。

「公祖」には「巡撫、按察司、道台、知府」 などの地方の長官を呼ぶ際にももちいられるようですが,
ここではやはり冒頭にある「文選」が役職地位をあらわしているのでしょう。

「文選の地位にある李漸菴さんの祖父の夫人が,産後のひだちが悪かった」と解釈しました。

ほかの読みかたは思いつきませんでした。
もし他の可能性があれば,ご教示ください。

2 件のコメント:

  1. 中醫古籍・歷代名著選 http://www.theqi.com/cmed/oldbook/oldbook_top.html の『鍼灸大成』の医案では,あっさりと「文選李漸菴夫人」になってます。ただ,これの底本に何を用いたのかは書いて無いような。かなりあやしげ。

    他に公祖という字が用いられた患者は,浙撫郭黃蓋公祖(これも上のWEBでは祖字を欠く),これは黄さんの祖父でも問題ない。公夫人というのは2例ばかり有るが,某公の奥方で問題ない。で,公祖夫人というのはやっぱり戸惑う。それはまあ,多妻の中に若いのがいたって可笑しくはないが,夫人はやっぱり奥方であって,改めて十代か二十代をめとって正妻にしたんかねえ。まあ,充分有り得るだろうが。
    菉竹子もいうように,公祖は巡撫、按察司、道台、知府」などの地方の長官を呼ぶ際に用いることが有るならば,前に官名,中に姓と号,後に尊称ではだめかねえ。文選の官にある李漸菴さんの奥方が……。

    返信削除
  2. 後の方に,「給事楊後山公祖乃郞患疳疾」というのが有る。
    「乃郞」は,『漢語大詞典』に「旧時称人家的児子」と載る。医案の中にも「此子形羸」とあるから,その解釈でいい。してみると「給事の役についている楊後山さんの息子が疳疾を患った」のはずである。いくらなんでも,楊後山の祖父の息子が云々とは言わないだろう。

    返信削除