2016年11月1日火曜日

卓廉士先生の『素問』標本病伝論(65)講義 その7

「先泄而後生他病者.治其本.必且調之.乃治其他病」――『霊枢』四時気(19):「飧泄.補三陰之上.補陰陵泉.皆久留之.熱行乃止」〔【現代語訳】脾気の虚寒によって起った飧泄〔そんせつ〕病では、三陰交・陰陵泉を取穴し、補法を用い、患者が鍼下に熱感を覚えるまで、しばらく置鍼します〕。飧泄は一種の慢性腹瀉であり、つねに瀉痢腹痛をともない、食物が未消化のまま排泄される。またさらに多くの症状、たとえば少気懶言〔気が衰えて話す気力もない〕、面黄肌痩、脱肛、子宮下垂などをかねる。足太陰脾経で本部に位置する腧穴の陰陵泉を取るべきで、泄瀉が止まって気が恢復したのちに、さらに気血をととのえて、兼症〔主証につぐ病症〕を治療する。

「先病而後生中満者.治其標」――『霊枢』癲狂(22):「厥逆.腹脹満.腸鳴.胸満不得息.取之下胸二脇.欬而動手者.与背腧.以手按之立快者.是也」〔厥逆病で腹が脹り、腸が鳴り、胸中煩悶して呼吸困難となる症状があらわれたら、治療には両腋下の脇骨部にあり、咳をすると脈が手にふれる腧穴と、また背を手で按じてみて病人が気持ちよいと感じたところを取るのがよい。そこが刺すべき背の兪穴の穴位である〕。先に陽が虚して胃腸の気脹があり、つづいて胸満喘息、呼吸困難、気が胸膺部にあつまるなどを症状を生ずる。衛気は本来なら「胸腹に散ずる」べきなのに、いま散じないでかえってあつまっている。その症状は急であり、標部である背兪を急いで取って治療すべきである。背部腧穴および肺胃と関連する胃兪・脾兪・肺兪・風門・身柱などは、みな肺胃の気がそそぐ場所であり、病気になるとこれらの腧穴は敏感になり、そのところをおすと、つねに酸・脹・疼痛などが感じられる。衛気の街が体幹において「前後に相応ずる」という生理システムがあり、鍼刺によってよりよい治療効果をおさめることができることを示している。〔『霊枢』衛気(52):「胸気有街、腹有気街、頭有気街、脛有気街。故気在頭者、止之于脳。気在胸者、止之于膺与背兪。気在腹者、止之于背兪与衝脈于臍左右之動脈者。気在脛者、止之于気街与承山踝上以下」。〕

「先中満而後煩心者.治其本.人有客気.有同気.」〔解説なし〕

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