2016年10月31日月曜日

卓廉士先生の『素問』標本病伝論(65)講義 その6

「先病而後生寒者.治其本」――『霊枢』邪気蔵府病形(04):「大腸病者.腸中切痛.而鳴濯濯.冬曰重感于寒.即泄.当臍而痛.不能久立.与胃同候.取巨虚上廉」〔【現代語訳】大腸の病の時は、腸の中が切り刻まれるように痛み、じゃぶじゃぶと腹鳴りがします。冬に繰りかえし寒を受けますと、下痢をおこして臍のところが痛みます。そのために長く立っていることができず、うずくまってしまいます。その他、胃の病のときの症状と同様な点があります。この場合は、足の陽明胃経にある大腸の合穴の上巨虚を取穴いたします〕。「先病而後泄者.治其本」の治療方法もこれとおなじである。

「先熱而後生病者.治其本」〔この文についての解説なし〕

「先熱而後生中満者.治其標」――『霊枢』寒熱病(21):「陽逆頭痛.胸満不得息.取之人迎」〔「逆」。『霊枢』作「迎」。『太素』『甲乙経』作「逆」。【現代語訳】陽邪が陽経脈を逆上すると、頭が痛み、胸の中がいっぱいになって息苦しくなる。このときは人迎穴に取穴するとよい〕。陽気が上逆すると、頭痛発熱し、それにつづいて胸中が脹れ、呼吸困難となる。このときは衛気が胸膺頸部にあつまり、順に反して逆と為る〔『素問』四気調神大論(02)〕情勢があるので、標部である人迎穴を取って胸頸部の積気をゆるめる。他の例:『霊枢』熱病(23):「熱病先身濇.煩而熱.煩悗.乾唇口嗌.取之皮.以第一鍼」〔「煩」、『霊枢』作「倚」。『甲乙経』作「煩」。【現代語訳】熱病でまず身体がすっきりせず、無力感がある上に熱があり、煩悶し、口唇、喉が乾くなどしたら、脈に治療を施すべきである。九鍼中の第一鍼(鑱〔ざん〕鍼)を用い、(熱病を治療する五十九腧穴から穴位を選び治療する)/「穴位」は「穴道」とおなじで「ツボ(腧穴)」の意。「位」は、「位置・場所」の意ではない〕。熱病では先に身体にとどこおり、すっきりしない感じがあり、つづいて煩熱・煩悶する。頭が大きく尖端がとがった鑱鍼を使って、標部に位置する腧穴を刺す。あるいは胸腹頭面部にあらわれた瘀血を浅く刺して陽気を瀉す。

「先病而後泄者.治其本」〔前文を参照〕

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