2016年10月30日日曜日

卓廉士先生の『素問』標本病伝論(65)講義 その5

「先寒而後生病者.治其本」――『霊枢』五邪(20):「邪在肝.則両脇中痛.寒中.悪血在内.行善掣節.時脚腫.取之行間.以引脇下.補三里.以温胃中.取血脈以散悪血.取耳間青脈.以去其掣」〔【現代語訳】病邪が肝を侵すと、両脇の中が痛み、寒気が中に滞り、瘀血が体内に留まり、歩くときにいつも関節がひきつれて痛み、また時に脚が腫れることがある。治療は、行間穴に取り、脇肋のあたりに留滞した気を引いて下行させる。同時に足三里穴に取って胃中を温め、また瘀血のある絡脈を刺して悪血〔おけつ〕を散らす。さらに耳の後の青絡脈の上にある手の三焦経の瘛脈〔けいみゃく〕穴に取り、ひきつれる痛みを除く〕。先に寒気が肝脈に停滞することにより、悪血が内をふさぎ、気血がめぐらない。その後で肝経が通過する場所に抽掣〔抽搐。ひきつり、硬直〕腫痛を生ずる。この証は病が肝脈にあるとしても、実際は陽気の不振による。陰病は陽を治すべきであり、本部にある足三里穴を取って陽気をおぎない、陰翳〔陰寒の気〕を消す〔『素問』至真要大論(74):「熱之而寒者取之陽」。王注:「言益火之源,以消陰翳」〕。陽明は「両陽合明」(至真要大論)で、気盛血実であるので、陽気を補益することができる。

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