2016年10月9日日曜日

黄龍祥説に対する批判・支持

・山田慶児先生が『太素』は『素問』や『霊枢』より古い形態をとどめているという,どう考えても勇み足としか思えない説をかつて出されました。学会の方たちは,京都大学の教授の権威をおそれたのか,それを否定する論文を書いた人はいませんでしたが,それに真っ向から反論したのは島田隆司先生でした。
・どこの馬の骨ともわからない鍼灸師から論文を受け取って,岩波書店も困惑したようです。結局,反論は岩波書店の雑誌には掲載されませんでした。無視されたわけです。
・こういう昔話を思い出したのは,わたくしが中医薬大学の論文誌をまったく読んでいないからかもしれませんが,黄龍祥氏が提唱する「経脈穴」なる概念について,発表以来十年以上たつのに,それを批判する論文もそれを肯定する文章も,読んだ記憶がないからです。
・どなたか,黄龍祥「経脈穴」に言及した書籍・論文をご存知でしたら,ご教示下さい。
・最近は様相がかわってきましたが,かつては白川静先生の「字源研究」に言及する学者はほとんどいませんでした。無視されたといっていいでしょう。一般読者からは支持された。鍼灸師が書いた文章にはよく引用されていました。
・白川説を批判しようとすると,その思想体系を相手にしなければならない。非常に厄介です。敬して(いるかは別にして)遠ざける。それと事情は異なるのかも知れませんが,同調しようとすると,自分の先生を批判することになりかねないし,批判しようとすると,これも大仕事になるし,トップの研究所の偉い方だし,共産党員だし……ということで,中国ではやられていないのでしょうか。
・黄先生,今度は『黄帝内経』の中から扁鵲医籍の「遺物」をたくさん抽出して来ました。黄先生の勢い留まるところを知らず,です。
・大陸からの反論は期待薄です。

・ということで,李建民先生の新しい論文には,黄龍祥「扁鵲医学」に言及するところがありますので,一部紹介したいとおもいます。

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