武田杏雨書屋所蔵所藏(杏六四八三)
臨床実践鍼灸流儀書集成3所収
一妙鍼流十四經絡序
宮田氏先生拾有五年而志于鍼道習妙鍼流
於松澤氏淨室一家骨髓傳々秘密至末期之
一句悉令傳授先生之於妙鍼流無雙矣松澤
氏門流凡數百人撰器量免之第子漸限於三
人至嫡子羪室於門下免之第子一人父子教
鍼中凡四人也然印可免之相傳先生而已矣
假令雖末第勵識妙鍼流眞九牛之一毛蒼海
一粟耳
【訓み下し】
一妙鍼流十四經絡の序
宮田氏先生、拾有五年にして、鍼道に志す。妙鍼流を松澤氏淨室に習う。一家の骨髓傳々の秘密、末(まつ)期(ご)の一句に至るまで、悉く先生の妙鍼流を傳授せしめ、雙(なら)ぶもの無し。松澤氏門流、凡そ數百人。器量を撰(えら)み、免(ゆる)しの第子漸く三人を限(くぎ)り、嫡子羪室、門下に至って、免しの第子一人父子、鍼中を凡そ四人に教うるなり。然れども印可免しの相傳、先生のみ。假令(たとい)末第 妙鍼流を勵(はげ)み識(し)ると雖も、眞(まこと)に九牛の一毛、蒼海の一粟のみ。
【注釋】
一妙鍼流十四經絡序
○宮田氏:宮田友閑。 ○先生 ○拾有五年而志于鍼道:『論語』為政第二「吾十有五而志于學、三十而立」。 ○習妙鍼流於 ○松澤氏淨室一家 ○骨髓:精華・核心の比喩。 ○傳々:ずっと伝えられてきた。 ○秘密至 ○末期:最後。 ○之一句悉令傳授先生之於妙鍼流無雙矣松澤氏門流凡數百人撰器量免之 ○第子:「弟子」におなじ。 ○漸:しだいに。 ○限於三人至嫡子 ○羪:「養」の異体字。 ○室於門下免之第子一人父子教 ○鍼中: ○凡四人也然印可免之相傳先生而已矣假令雖 ○末第:末等。低い地位。謙遜語。 ○勵識妙鍼流眞 ○九牛之一毛:多数ある牛の一本の毛。多数ある中の極少の部分。 ○蒼海一粟:滄海一粟。蘇軾『前赤壁賦』から。大海原に浮かぶ一粒の粟(あわ)。微小なもののたとえ。ほんの少しのもの。 ○耳:~にすぎない。
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