2012年4月14日土曜日

『醫説』鍼灸 關聯史料集成 23 灸瘵疾

女童莊妙真、頃縁二姉〔妹〕坐瘵疾、不起。餘孽亦駸駸見及。偶一趙道人過門、見而言曰‥汝有瘵疾、不治何耶。答曰‥喫了多少藥、弗效。趙笑曰‥吾得一法、治此甚易、當以癸亥夜二更、六神皆聚之時、解去下體衣服於腰上兩傍微陷處、鍼灸家謂之腰眼、直身平立用筆點定、然後上床、合面而臥、毎灼小艾炷七壯、勞蠱〔蟲〕或吐出、或瀉下、即時平安斷根、不發、更不傳染。敬如其教、因此獲全生。(類編)

【倭讀】
女童 莊妙真 頃ころ二姉〔妹〕の瘵疾に坐するに縁りて起きず。餘孽(ゲツ)亦た駸駸として及ぶを見る。偶(たま)たま一趙道人 門を過(よ)ぎる。見て言いて曰く「汝に瘵疾有り。治せざるは何ぞや」と。答えて曰く「多少の藥を喫し了(お)えるも效あらず」と。趙 笑いて曰く「吾 一法を得。此を治すること甚だ易し。當に癸亥の夜二更 六神皆な聚まるの時を以て、下體の衣服を腰上の兩傍の微(かす)かに陷する處〔鍼灸家 之れを腰眼と謂う〕に於いて解き去るべし。身を直くし平立し、筆を用いて點定す。然る後に床に上り、面を合して臥す。毎(おの)おの小艾炷を灼すこと七壯。勞蠱〔蟲〕 或いは吐出し、或いは瀉下せん。即時に平安して根を斷たば、發せず、更に傳染せず」と。敬して其の教えの如くす。此れに因りて生を全うするを獲たり。(『類編』)

 【注釋】
○瘵:肺結核。如:「癆瘵」。 ①病名。指一種類似結核的傳染性疾病。《證治要訣·虛損門》:“傳尸勞,骨肉相傳,甚至滅門。此其五臟中皆有勞蟲,古名曰瘵疾,難以醫之。”詳見傳尸條。 ②指虛勞重證。《雜病源流犀燭·虛損癆瘵源流》:“五臟之氣,有一損傷,積久成癆,甚而為瘵。/『丹溪心法』卷二癆瘵十七「其證、臓中有蟲喫心肺間、名曰瘵疾、難以醫治」。 『漢方用語大辞典』労瘵「病名。伝染性の慢性の消耗性疾病をいう。肺結核に類する。肺癆、癆瘵ともいう。」労瘵九虫「伏虫、蚘虫、寸白虫、肉虫、肺虫、胃虫、弱虫(また膈虫ともいう)、赤虫、蟯虫を九虫という。これらは人体臓腑の間に寄生して人の臓腑の血髄を蝕み、久しくして癆瘵に変化する。虫は九竅膚腠より他人に伝わる、すなわちこれを癆虫という。」勞蠱は、癆蟲と同じものであろう。『中国漢方医語辞典』は、癆蟲(結核菌)という。
○女童:小女孩。
○莊妙真:
○頃:近。如:「頃年以來」。ころ(おい)。
○縁:因由,因為。
○二:次序排第二的。二人の。
○坐:因為;由於 [because]。
○不起:不起身。久病不癒。
○餘孽:殘留的壞分子或惡勢力。[remaining evil element;hated relics] 殘余的壞人或隱患。/孽:災禍。櫱の異体字。わざわい。
○駸駸:馬跑得很快的樣子。比喻時間過得很快。形容事物日趨進步強大。
○見及:
○趙:(1)戰國時七雄之一。約統有今河北省南部及山西省北部一帶。/姓。
○道人:修道或得道的人。
○過門:經過門口。
○何:為什麼。
○耶:表示疑問語氣。相當於「呢」、「嗎」。
○喫:飲、食。同「吃」。
○了:完畢、結束。
○多少:很多、許多。若干。指數量。
○弗:不。
○效:徵驗。
○甚:很、非常。
○易:簡單﹑不困難。
○當:應該。值、正值。
○癸亥:みずのとい。
○二更:指晚上九時至十一時。又稱二鼓。/更:夜の時間を計る単位。一晩を五更に分ける。一更は約二時間。/日の入りから日の出までを五等分して、その第一の時間帯を初更(一更)といい、第二の時間帯を二更という。
○六神:六宗之神。指日、月、星、水旱、四時、寒暑之神。古稱人之心、肺、肝、腎、脾、膽六臟的神。各有其神主宰,稱為六神。/道人(道士)のことばなので、『黄庭内景經』にいう心·肺·肝·腎·脾·膽の六臓神であろう。
○聚:集合、會合。
○下體:軀體的下部。多指男女的陰部。
○腰眼:腰的後部,從頸下大椎骨數到第十九節的部位。だいたい、第四、第五腰椎棘突起間の陽關(腰)穴の外方、三寸ぐらい。鬼眼ともいう。
○直身:伸直的身躯。
○平立:
○點:使液體滴下。指定。
○定:固定、使固定。使確定、不更改。
○然後:承接連詞。表示某事接在前句所述事情之後。
○上床:登上床鋪。
○合面:合仆,面朝下。对面。
○臥:躺下﹑倒下。橫置﹑橫陳。
○毎:各個。常、往往。
○灼:炙﹑燒。
○艾炷:中醫上指用艾絨搓成的長條。供針灸治病用。
○勞蠱〔蟲〕:癆瘵(肺癆、癆病)を引き起こす虫か。
○即時:立刻、馬上。
○平安:平穩而沒有危險。
○斷根:斷絕根部。
○發:生長、產生。興起。
○傳染:疾病由一個體侵入另一個體。
○敬:尊重。
○教:訓誨、誘導。
○因此:因而、所以。
○獲:取得、得到。
○全生:保全生命。
○類編:未詳。

2 件のコメント:

  1. 「不起」は、病に臥せって、ついに起きなかった、死んでしまった、だろう。
    つまり、このごろ二人の姉は瘵疾にかかって死んでしまい、その病の残余が荘妙真自身にもいよいよ及んできた。

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  2. ……即時平安、斷根不發、更不傳染。

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