2024年1月31日水曜日

鍼灸溯洄集 06  (2)診肺

   一ウラ(630頁)

(2)診肺     

刺禁論曰鬲肓之上內有父母者心肺之謂也故

胷者肺之候○左右膈下膚潤舉按有力者肺氣

  二オモテ

充實之候○輕摩胷上腠理枯竭而不蜜者肺虗

之候○左右之膈下柔虗随手陷者胃氣下陷肺

氣之大虗之候大卛其人短息


  【訓み下し】

  診肺(しんばい)

刺禁論に曰わく,「鬲肓の上(かみ),內に父母有り」とは,心肺(しんばい)の謂なり。故(かるがゆえ)に胸は肺(はい)の候(うかが)い。○左右の膈下,膚(はだえ)潤い,舉按 力有るは,肺氣 充實の候(うかが)い。○輕く胸上を摩(さす)り,腠理 枯れ竭(かわ)きて蜜[密]せざるは,肺虛の候(うかが)い。○左右の膈下,柔虛,手に隨って陷る者は胃の氣 下陷,肺氣の大虛の候(うかが)い。大率(おおむね)其の人 短息す。


      【注釋】

     ○肓:原文の添え仮名「モウ」。 ○之上內有父母:『素問』刺禁論(52):「肝生於左,肺藏於右,心部於表,腎治於裏,脾為之使,胃為之巿。鬲肓之上,中有父母(王冰注:鬲肓之上,氣海居中,氣者生之原,生者命之主,故氣海爲人之父母也。/新校正云:按楊上善云:「心下鬲上爲肓,心爲陽父也,肺爲陰母也,肺主於氣,心主於血,共營衞於身,故爲父母。」)……」。 ○心肺:05の「診腹」(シンブク)と同様に,添え仮名は「シンバイ」だが,「しんぱい」と読むか。以下,濁音,半濁音の問題は触れない。 ○枯竭:乾枯涸竭。 ○蜜:「密」の意であろう。不稀疏的。如:「稠密」。 ○下陷:向下陷落。一般是指氣虛下陷而言。【中氣下陷】病證名。簡稱下陷。多指脾氣虛以致組織弛緩不收、臟器鬆弛導致脫垂一類病證。脾居中焦,其氣主升,若飲食勞倦傷脾,或久病損脾,皆可致脾陽虛陷,升提失司。多見於脫肛、久瀉、子宮脫垂及小兒囟陷等。治宜補中益氣、昇陽舉陷。 ○卛:「率」の異体字。おおむね。概(おおむ)ね。大概。 ○短息:息切れ。呼吸が浅い。短気。

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