2012年5月4日金曜日

『醫説』鍼灸 關聯史料集成 24 灸欬逆法

予族中有病霍亂、吐利垂困。忽發欬逆、半日之間、遂至危殆。有一客、云‥有灸刻〔欬〕逆法、凡傷寒及久病〔疾〕得逆、皆爲惡候、投藥、皆不效者、灸之必愈。予遂令灸之、火至肌、欬逆已定。元豐中予爲鄜延經略使、有幕官張平序、病傷寒已困。一日官屬會飲、通判延州陳平裕忽言‥張平序已屬纊、求徃見之。予問‥何遽至此。云‥欬逆甚、氣已不屬。予忽記灸法、試令灸之。未食頃平裕、復來喜笑曰‥一灸遂差。其法乳下一指許、正與乳相直骨間陷中、婦人即屈乳頭度之、乳頭齊處、是穴、艾炷如小豆許、灸三壯、男灸左、女灸右、只一處火到肌即差、若不差、則多不救矣。(良方) 

予が族中に霍亂を病むもの有り。吐利して困するに垂(なんなん)とす。忽ち欬逆を發す。半日の間 遂に危殆に至る。一客有りて云く「欬逆に灸する法有り。凡そ傷寒及び久疾 欬逆を得れば、皆な惡候と爲す。藥を投じて、皆な效かざる者は、之れに灸すれば必ず愈えん」と。予 遂に之れに灸せしむ。火 肌に至り、欬逆 已に定まる。元豐中 予 鄜延の經略使と爲る。幕官に張平序なるもの有り。傷寒を病みて、已に困(くる)しむ。一日 官屬 會して飲む。通判 延州の陳平裕 忽ち言う。「張平序 已に屬纊なり。往きて之れを見んことを求む」と。予 問う。「何遽(なん)すれぞ此に至るや」と。云く「欬逆甚だし。氣 已に屬(つづ)かず」と。予 忽ち灸法を記して試みに之れに灸せしむ。未だ食頃ならずして、平裕復た來たりて喜び笑いて曰く「一たび灸すれば遂に差(い)ゆ」と。其の法 乳下一指許り、正に乳と相直(あた)り、骨間の陷中なり。婦人は即ち乳頭を屈して之れを度(はか)る。乳頭に齊(ひと)しき處 是の穴なり。艾炷は小豆許りの如くす。灸すること三壯。男は左に灸し、女は右に灸す。只だ一處 火 肌に到らば即ち差ゆ。若し差えざれば、則ち救われざること多し。(『良方』)

○欬逆:咳嗽。說文解字:「欬,逆氣也。」段玉裁˙注:「含吸之欲其下,而气乃逆上是曰欬。」
○予:我。同「余」。
○族:親屬。
○霍亂:病名。由霍亂弧菌引起的急性傳染病,特徵為厲害的腹瀉﹑嘔吐﹑脫水﹑休克及尿毒症,嚴重者可能致命。亦稱為「虎列拉」﹑「虎疫」。/古代中醫上泛指有上吐下瀉等症狀的疾病為「霍亂」。/『諸病源候論』卷二十二*霍亂候、卷八*傷寒(病)後霍亂候などを参照。俗に「はきくだし」という。
○吐:使東西從口中出來。嘔吐。
○利:痢。下痢。病名。一種由細菌或阿米巴原蟲所感染的腸道炎症。患者有強烈的腹瀉及腹絞痛,解便頻繁且稀薄,嚴重時便中有血,並伴隨著電解質和水分的流失,而導致嚴重虛脫。亦稱為「痢疾」。
○垂:及、將要。 動作や事態が間近に現れる。いまにも~しそうである。 
○困:艱難痛苦。窮苦。疲倦、疲乏。「形疲神困」。「困」 「くるしむ」とも訓むが、ここでは「困窮」「きわまる」の意であろう。
○忽:突然。
○發:開始、啟動。
○遂:就、於是。
○危殆:危險、不安全。
○傷寒:中醫上指外感熱病的總稱;亦指受了風寒而引起的病。
○久病:[prolonged illness] 長期患病。
○惡候:預後不良的症候。
○投藥:投下藥物。[prescribe medicine] 給以藥物服用。
○效:功用。徵驗。
○遂:就;於是 [then, there upon]。多用於書面語。
○肌:皮膚。肉。
○定:使平靜、使穩固。鎮靜,安穩(多指情緒)。
○元豐:年号。1078~1085年。
○予:我。同「余」。沈括(1031--1095)、元豐三年(1080年),為抵禦西夏,改知延州(今陜西省延安一帶),兼任鄜延路經略安撫使。
○爲:是。
○鄜(フ)延:北宋慶歷元年(1041)分陜西路沿邊地置鄜延路經略安撫使。治延州(後升延安府,治今延安市)。統延州、鄜州、丹州、坊州、保安軍等四州一軍,後增置銀州、綏德軍。轄境約今陜西宜君、黃龍、宜川以北,吳堡、大理河、白於山以南地區。熙寧後北境擴大到橫山。/鄜州と延州をふくんだ地域が鄜延路という行政区画であったのであろう。詳細は未調査。宋代の州は、現代の市程度の広さ。『宋史』本紀卷十六に「(元豐五年)冬十月辛亥、洛口、廣武大河溢。甲寅、知延州沈括以措置乖方、責授均州團練副使、隨州安置;鄜延路副都總管曲珍以城陷敗走、降授皇城使。」とある。
○經略使:軍事長官。唐貞觀二年(628)始設於周邊重要地區,後多以節度使兼任。/宋代自仁宗時對西夏用兵,始命陜西沿邊大將皆兼經略。皇祐間,廣源(今越南廣淵)人儂智高騷攏邊界,令知廣、桂州並帶經略安撫使,自此以後,西南二邊常帶經略使,....../宋代、一路(行政区画の名、現代の「省」に相当する)の兵民の事を掌る。 「元豐中 予 鄜(フ)*延の經略使爲(た)りしとき、」とした方が、わかりやすいか。
○幕官:即幕僚(幕府中的僚屬)。古代地方軍政長官衙署中參謀、書記、顧問之類,後泛指官署中的輔助人員。/古稱將帥幕府中的參謀、記室之類的僚屬,後亦泛稱地方軍政官衙署中協助辦理文案、刑名、錢谷等公務的人員。/官僚の私設秘書。
○張平序:
○困:疲乏。困窮(艱難窘迫;生活困苦貧窮);困篤(病重垂危)。
○一日: [one day]∶有一天。
○官屬:所屬的官吏。主要官員的屬吏。/属吏。下級の官吏。
○會飲:一塊喝酒。聚飲。
○通判:宋初,為制衡各地權勢過大的藩鎮,乃派朝臣通判府、州的軍事,和地方主官共同管理政事或職掌兵民獄訟,但實際上亦負有考察知府或知州忠貞程度的任務。/在知府下掌管糧運、家田、水利和訴訟等事項。/州の副長官。
○延州:西魏廢帝三年(554)改東夏州置,治所在徧城郡廣武縣(今陜西延安市東北甘谷驛鎮附近)。轄...天寶元年(742)又改為延安郡,乾元元年(758)復為延州。北宋慶歷七年(1047)移治今延安市,元祐四年(1089)升為延安府。
○陳平裕:
○屬纊:人臨終前,將棉絮置其口鼻附近,以觀察其氣息的有無。死にかかった人の口に纊(新しい綿)をあてて、呼吸の有無をみることをいう。ここでは、虫の息のこと。/屬:附著、歸於。如:「附屬」。ツク。付ける、近づける。
○何遽:亦作“ 何渠 ”。亦作“ 何詎 ”。 如何,怎麽。意味は「何」とおなじ。/遽:急忙、迫促。忽然、突然。
○至此:[to this extent]∶達到這種情形。
○屬:
○記:將事物印象留在腦海中。ここでは、思い出す、か。
○食頃:吃一頓飯的功夫(時間)。形容時間很短。
○復:返、還。「往復」。
○遂:就、於是。竟然 [to one's surprise]。意外にも。あろうことか。
○差:病癒。通「瘥」。
○許:表示約略估計的數量。
○相直:相对。
○屈:彎曲。
○度:測量。
○齊:平整、整齊。
○艾炷:中醫上指用艾絨搓成的長條。供針灸治病用。
○小豆:赤豆,赤小豆。
○許:表示約略估計的數量。
○肌:皮膚。肉。
○差:病癒。通「瘥」。
○若:如果、假如,表示假設。
○良方:宋、沈括(1031—1095)による『(沈氏)良方』か。あるいは、のちに沈括の『良方』に後人が蘇軾の医薬雑説を附益した『蘇沈良方』によるか。

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