2021年11月26日金曜日

長友千代治先生の御著書に導かれて,つづき

 『(増補/改正)難波丸綱目』(『日本国花万葉記』巻5の4・摂津)延享五刊(1748) 

お茶の水女子大学図書館蔵(291TT71/343/5(1)‐(4))

諸師芸術之部に,以下のような職業が見える。

https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100260241/viewer/157


医学者として,石原道徳,向井道順,都賀六蔵の3名。

本草者として,山田正因,木村兼葭堂の2名。

後者は有名な,木村蒹葭堂(1736年~1802年)。

https://www.osaka21.or.jp/web_magazine/osaka100/018.html


医学講師として,『金匱要略存皮』の撰者である高宮環中。

医師,たくさん。

以下,同産後方・同小児方・小児癇療・目医師・外科・鍼医師(11名)・口中医師・乳医師・導引医師(5名)・灸師・骨継・汐薬湯治・産婆(ひとりだけ)。


鍼医師に「(中野村)一本針吉右衛門」が見える。


・針中野の地名の由来となった「中野鍼」

http://728net.wpblog.jp/nakano-hari/

には,「平安時代から続くと伝えられている鍼灸院です。弘法大師が道中、この地の中野家に宿泊し、そのお礼として同家に、鍼灸のツボを示す木像と金鍼を贈ったことが始まりだとされています。」とある。


導引医師は,あんまとは,異なるのだろう。

灸師については,姓名だけでなく,町名+何丁目のみだったり,寺院名(無量寺)だったりして,最後には「此外所々に有」。


楽器の演奏者のあいだに,検校・勾当がある。

https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100260241/viewer/163

・検校:室町時代以降、盲人に与えられた最高の官名。専用の頭巾・衣服・杖などの所持が許された。建業。

・勾当:盲人の官名の一。検校(けんぎょう)・別当の下位、座頭の上位。

「あんま」の項目はないようだ。


https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100260241/viewer/164

丸散煉煎薬之分

https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100260241/viewer/174

入歯師

諸職人商人所附 いろは分

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以下,『日本国花万葉記』の山城(京都)編。

    早稲田大学蔵書『国花万葉記』 巻第1-14 / 菊本賀保 [著]

     請求記号 Call No. ル03 03671

    角書付書名:日本国花万葉記 巻第1之下,2之下の巻頭書名:日本国花山城名所諸羽二重 元禄10年刊の改正補刻 巻第6の奥記に「天保十年己亥十月改正」とあり

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ru03/ru03_03671/ru03_03671_0001/ru03_03671_0001.pdf

の京洛諸師諸芸には,

医師(42/76),

小児医師,産前産後医師,目医師,口中医師,外科,針師(43/76)

医書講説(44/76):味岡三伯・浅井周伯・松下見林・井原道悦。

経胳按摩(46/76),耳垢取(唐人也),検校,四度勾当。


「針師」とは,江戸時代においては一般に鍼道具製造業者のことだが,この並びにあるということは,治療家も,国によってはこう呼ばれていたのだろうか。他の諸国も見てみる必要があろう。

「経胳按摩」が独立して項目立てされている。

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この「医書講説」者と重複する記載としては,以下のものがある。

『(元禄)大平記』元禄一五刊

(立教大学池袋図書館 乱歩文庫デジタル 52071145~52071152)

巻7「○今の学者を指折てみる」に,

https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100289245/viewer/142

「医学には,浅井周伯,岡本為竹,小川朔庵,松下見林,これらは百人の中にて十人,十人勝(すぐつ)て五人,三人と指折(ゆびおり)する人々なり。」

とある。

『(元禄)大平記』巻5「○初学の為によい事をいふ」では,

https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100289245/viewer/99

「さてかな抄のときやうは,手近く一すぢに,岡本為竹の述べられし,『大成論』,『格致論』の諺解のごとく,さらさらときこへやすきやうにあみ候はば,初学のまよひもあるまじく候。」

と,他の「諺解詳解など,山のごとくに候へども,是みな義理をみるには益なし」と対比して,優れていることが述べられている。

『格致論』の諺解は,『格致余論諺解』のこと。


岡本一抱については,以下を参照。

  浅田宗伯『皇国名医伝』(後編)上巻

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100229685/viewer/53

    『万病回春病因指南』序(9/255左)

https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00000349


長友千代治『近世上方作家・書肆研究』(94頁)に,岡本為竹著作年表あり。


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