2022年1月4日火曜日

黄龍祥 『鍼灸甲乙経』の構成 00 

  「中医薬文化」2008年第5期

  

    摘要:『鍼灸甲乙経』を文字と構造の二つの面から深く考察することを通じ,例を挙げて『鍼灸甲乙経』の文字・構造・腧穴・表面解剖・腧穴症治などの面での特色を分析検討し,細部・全体・論理推理などの多くの角度から『鍼灸甲乙経』の含んでいる意味を発掘することには,一定の啓発的意義がある。


  キーワード:鍼灸甲乙経;文字;構造;腧穴

 

 『鍼灸甲乙経』が世に問われてから1,800年来,数え切れないほどの碩学大学者が研究に取り組んできた。長期にわたり,人々はひたすら拡大鏡や顕微鏡を用いて観察し,この大樹の一葉一葉,一つ一つの筋目を研究してきたが,異なる距離,異なる角度からこの大樹そのものを考え,土と根,幹と枝を研究した人はいなかったので,全体からその本質を見極めることができなかった。薬王と呼ばれた孫真人はこの木を見て歎息を漏らし,盛唐の医書に通暁していた王燾もこの木には躓いた。

 『甲乙経』には鍼灸診療システムを構築する各部品はすべて揃っているが,統一的なモデルで組み立てられていないため,今日でも人々はそれ見つけられず茫然としている。

 長い間,『甲乙経』に苦しめられていた人々は,どうしようもなく一つ一つ質問を発した。

・『甲乙経』には5対の同名の穴があって,全部で39回現われるが,ずっと昔から知る人がいない。誰か慧眼で見分けられるひとはいますか?

・『甲乙経』に述べられている取穴の技法の多くは,いままで読み解いた人がいない。誰かその謎を解き明かせますか?

・『甲乙経』で同じ区域にあるのに,腧穴の位置を定める尺寸に大きな違いがあるが,誰か理由を知っていますか?

・『甲乙経』は非常に長い間転写を重ねてきて,多くの錯簡と脱文を生じているが,誰かその破綻を見抜けますか?

・『甲乙経』巻七から巻十二までの病証条文は,処方か,腧穴か?誰か是非を判断決定できますか?

・『甲乙経』が後世の医書に引用された時,往々にして出典が示されないが,誰か一目で〔『甲乙経』からだと〕由来を知ることができますか?

 この一つ一つの問題は極めて困難で,解釈することすらできないさそうである。だが意外にも『甲乙経』の正門を開ける鍵が門前の一番目立つところにずっとぶら下がっていたとは,思ってもみませんでした。あなたがしなければならないのは,「平身低頭する」思考習慣から顔を上げ,立ち上がって,手を伸ばすことだけ。幾重もの密室を開くためのパスワードもこの巻の中に隠されていますが,必要なのは表面の向こう側を見通す慧眼だけです。

 この読書案内は,単に門を開けて,門の中にあなたを連れて入るのではなく,門を開ける考え方と門の中に入るコツを教えます。それからその幾重もの門を開け,その関門を突破して,あちこちの美しい風景を楽しめるかどうかは,あなた次第です。


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