13-2 主治針法 著者未詳
京大富士川文庫所蔵(シ/八〇)
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00003001
三巻本。以下の序は,巻之下の末尾に綴じられている。
主治鍼法之序
夫醫之治病猶人之治水水
之行于天地猶血氣之行于
人身也或為四氣七情所干
則經脉流注交際之處或塞
或壅或溢焉皆害ヲナシ病
トナルニ至氣血之凝滯取
其和平主治者鍼法耳而鍼
ヲ刺テ病シルシ速ナル經
穴圖章訓釋而以便準量取
ウラ
穴目之曰主治鍼法ワケテ
為三卷雖一言半句私ノ言
アラズ皆醫學入門十四經
發揮鍼灸聚英其外諸家之
説トツテヌキガキシテ門
弟子シメス懷中秘而他見
スルコトナカレト云尒
旹
延寶五丁巳歳孟夏良辰
【訓み下し】
主(シユ)治(ジ)鍼(シン)法(ハウ)の序(シヨ)
夫れ醫の病を治(ジ)すること猶お人の水を治むるがごとし。水の天地を行くことは、猶お血氣の人身を行くがごとし。或いは四氣七情の為に、干(ヲカ)さるるときんば、經脉流注交際の處、或いは塞がり、或いは壅ぎ、或いは溢る。皆な害をなし、病となるに至る。氣血の凝滯、其の和平(クワヘイ)を取る。主治は、鍼法のみ。而して鍼を刺して病にしる(著)し。速(スミヤ)かなる經穴圖章、訓釋(キンセキ)して以て準量して
ウラ
穴を取るに便りす。之を目(ナツ)けて、主治鍼法を曰う。わ(分)けて三卷と為(す)。一言半句と雖も、私(ワタクシ)の言(コトバ)にあらず。皆な醫學入門、十四經發揮、鍼灸聚英、其の外諸家(シヨケ)の説をと(取)って、ぬ(抜)きが(書)きして、門弟子(テイシ)にしめ(示)す。懷中に秘して他見することなかれと爾(シカ)云(イフ)。
旹
延寶五丁巳歳 孟夏良辰
【注釋】
○シルシ‥顕著である。効果がある。 ○醫學入門‥明・李梃撰。 ○十四經發揮‥元・滑壽撰。 ○鍼灸聚英‥明・高武撰。 ○尒‥「爾」の異体。 ○旹‥「時」の異体。 ○延寶五丁巳歳‥一六七七年。 ○孟夏‥夏季のはじめの月。旧暦四月。 ○良辰‥吉日。
主(シユ)治(ジ)鍼(シン)法(ハウ)の序(シヨ)
夫れ醫の病を治(ジ)すること猶お人の水を治むるがごとし。
【意訳】医者が病を治療することは,人が治水するのと同じようなものである。
水の天地を行くことは、猶お血氣の人身を行くがごとし。
【意訳】水が天地をめぐることは,血気が人体をめぐるのと同じようなものである。
或いは四氣七情の為に、干(ヲカ)さるるときんば、經脉流注交際の處、或いは塞がり、或いは壅ぎ、或いは溢る。
【意訳】(春夏秋冬の)温・熱・冷・寒に代表される外因や,喜・怒・憂・思・悲・恐・驚などの感情に代表される内因によって人体がおかされると,経脈が流れて交わるところが,塞がったり,遮られたり,あふれたりする。
皆な害をなし、病となるに至る。
【意訳】いずれの場合でも,障害が生じて,発病することになる。
氣血の凝滯、其の和平(クワヘイ)を取る。
【意訳】気血の凝りとどこおったものは,調和平安を求める。
主治は、鍼法のみ。
【意訳】治療をつかさどるのは,鍼法だけである。
而して鍼を刺して病にしる(著)し。
【意訳】鍼を刺して病に効果が顕著である。
速(スミヤ)かなる經穴圖章、訓釋(キンセキ)して以て準量して穴を取るに便りす。
【意訳】時間がかからない経穴に関する図示・説明で位置を計測することによって,取穴の便宜をはかった。
之を目(ナツ)けて、主治鍼法を曰う。
【意訳】書名を『主治鍼法』と名付けた。
わ(分)けて三卷と為(す)。
【意訳】上中下の三巻に分けた。
一言半句と雖も、私(ワタクシ)の言(コトバ)にあらず。
【意訳】片言隻句であっても,個人的な見解を入れたところはない。
皆な醫學入門、十四經發揮、鍼灸聚英、其の外諸家(シヨケ)の説をと(取)って、ぬ(抜)きが(書)きして、門弟子(テイシ)にしめ(示)す。
【意訳】すべては,『医学入門』『十四経発揮』『鍼灸聚英』,その他,多くの鍼灸家の説を採用して,必要な部分を抜き出し,弟子たちに示したものである。
懷中に秘して他見することなかれと爾(シカ)云(イフ)。
【意訳】ふところの中にしまって,決して他人には見せてはいけない。
旹
【意訳】これを記した時は,
延寶五丁巳歳 孟夏良辰
【意訳】延宝五年(1677) 四月吉日
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