2011年11月16日水曜日

『醫説』鍼灸 關聯史料集成 4 鍼蒭愈鬼 その5

『南史』卷五十七 列傳第四十七/范雲傳:
武帝九錫之出,雲忽中疾,居二日半,召醫徐文伯視之。文伯曰:「緩之一月乃復,欲速即時愈,政恐二年不復可救。」雲曰:「朝聞夕死,而況二年。」 文伯乃下火而壯焉,【校勘:文伯乃下火而壯焉。「壯」各本作「牀」,據太平御覽七二三、七三八引改。按針灸以艾柱為壯。】重衣以覆之。有頃,汗流於背即起。【校勘:汗流於背即起。「背」各本作「此」。按「此」為「背」之爛文,太平御覽七三八引作「背」,今據改。】二年果卒。

【訓讀】
武帝九錫の出,雲忽ち疾に中(あ)たり,居ること二日半,醫の徐文伯を召して之を視しむ。文伯曰く:「之を緩にすれば一月にして乃ち復し,速くせんことを欲すれば即時に愈さん。政(た)だ恐らくは二年にして復た救う可からず。」雲曰く:「朝(あした)に聞かば夕べに死す,と。而して況んや二年をや。」 文伯乃ち火を下して壯し,衣を重ねて以て之を覆う。頃(ころ)有り,汗 背に流れて即ち起つ。二年にして果して卒す。

【注釋】
○武帝:梁の蕭衍。464年~549年。 ○九錫之出:天子が大臣を厚遇して下賜した車馬、衣服、樂器、朱戶、納陛、虎賁、弓矢﹑鈇鉞﹑秬鬯の九種類の品を九錫という。王莽が漢王朝の政権を簒奪する際,まず九錫をもとめた故事から,魏晉六朝の大臣が政權を奪取するときに九錫文を皇帝から賜り,帝位をゆずりうける前觸れとした。/武帝が即位してから。 ○雲:451年~503年。范雲。字は彦龍。沈約らとともに蕭衍をたすけた。 ○中疾:病む。 ○居:經過する。 ○緩:ゆるやかに治療する。 ○復:恢復する。 ○不復:二度とは~しない。 ○朝聞夕死:『論語』里仁:「子曰:朝聞道,夕死可矣。」 ○下火而壯焉:校勘記事に從い,「壯」を灸をすえる,と解した。「火をさかんに燃やして」の意味かも知れない。 ○有頃:やがて。久しからずして。 ○卒:死亡する。

以上で,徐文伯を終える。

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