医学古典文献の公開状況
1、現状
『鍼灸医学典籍大系』(23巻・31冊、昭和53年、出版科学総合研究所)、
『臨床鍼灸古典全書』(69巻・341冊、昭和63年、オリエント出版社)、
この古典シリーズもので、実際どれだけの文献がWeb公開されているのか調べてみました。
『鍼灸医学典籍大系』では、以下31冊ありますが1冊(五極灸法)を除き、すべてインターネットで文献を見ることができるという結果が出ました。
〈『鍼灸医学典籍大系』の内容〉
○素問 富士川文庫(京都)
○霊枢 富士川文庫(京都)
○黄帝鍼灸甲乙経 皇甫謐 富士川文庫(京都)
○黄帝明堂灸経 西方子 研医会図書館
○鍼灸資生経 王執中 富士川文庫(京都)
○銅人腧穴鍼灸図経 王惟一 宮内庁書陵部
○難経本義 滑寿 研医会図書館
○十四経発揮 滑寿 国文学研究資料館
○鍼灸聚英発揮 高武 富士川文庫(京都)
○神応経 陳会撰・劉瑾重校 国文学研究資料館
○鍼灸集要 曲直瀬道三 富士川文庫(京都)
○鍼灸指南集 曲直瀬道三 富士川文庫(京都)
○鍼道秘訣集 御園夢分斎 富士川文庫(京都)
○鍼灸極秘伝 木村太仲 国会
○療治之大概集 杉山和一 国会
○選鍼三要集 杉山和一 国会
○医学節要集 杉山和一 国会
○鍼灸説約 石坂宗哲 富士川文庫(慶応)
○鍼灸知要一言 石坂宗哲 富士川文庫(京都)
○鍼灸抜萃大成 岡本一抱 富士川文庫(慶応)と早稲田
○阿是要穴 岡本一抱 富士川文庫(京都)
○経穴密語集 岡本一抱 富士川文庫(京都)
○鍼灸則 菅沼周桂 富士川文庫(慶応)
○鍼灸重宝記 本郷正豊 北海道大学
○五極灸法 後藤艮山 未公開 *参考1
○名家灸選 和気惟亨 富士川文庫(京都)
○鍼灸要法 岩田利斎 国会
○経穴彙解 原南陽著 神戸大学 静岡県立中央図書館
○経穴籑要 小阪元祐 野中烏犀圓
○千金方 孫思邈 富士川文庫(京都)
○医心方 丹波康頼 国文学研究資料館
*参考1
京大・富士川のライブラリーに同書ではないが内容をうかがえる部分がある。『遺教一解』(後藤艮山)の「五極灸訣」。同じく『痘瘡新論』(後藤艮山)の「五極秘灸」。
『臨床鍼灸古典全書』では341冊中203冊公開(内169冊は富士川文庫)、
参考までに漢方系ですが、こちらも調べてみました。
『和刻漢籍医書集成』(エンタプライズ、1988)では68冊中57冊公開、
『近世漢方医学書集成』(名著出版、1979~84)116冊中89冊公開されています。
全体的に7割は電子文献として見られる世界になってきました。
この調査では特殊な貴重書(写本など)がいくつもあるので7割程度ですが、基本的な医学書であれば、ほぼ100%閲覧可能です。
ただし、文献の解題はありませんから、それは本を読むときの羅針盤、航海図が無い状態で航海するのと同じです。
ですから専門的に読もうと思ったら解題の付いた書籍の購入をおすすめします。
参考までに『和刻漢籍医書集成』(小曽戸洋、真柳誠・解説)では真柳先生は自身の解題部分をネット公開していますので、そちらを閲覧するといいと思います。
*真柳先生のホームページ
http://square.umin.ac.jp/mayanagi/paper03/wakoku.html
2、問題点と改善策
Webで古典文献が公開されはじめてうれしい限りですが、「目次項目」とその「ページ」表記が無いことは、本は探せても利用しづらい面がまだあります。
この点に関しては国文献の「タグ付け作業」が継続中ですから、少し改善されると思います。
なお個人的に「目次項目」と「ページ」をExcelでまとめています。
目次項目から「中風」「傷寒」「腰痛」などの病証をオートフィルター機能で抽出し、見たい文献にマウスでクリックすると該当の公開画像Webページを開くという夢のようなExcelファイルです。
公開しますのでダウンロードしてみてください。大げさですが100倍使いやすくなります。拙速で未完成バージョンですが、それなりに役に立ちます。
「公開資料2」
アドレス:
すでにダウンロードされた方へ
「rinsyosinkyu.xlsx」ファイルの一部リンクに誤りがあり修正してあります。
再度、このファイルだけダウンロード願います。(2019/11/18)
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