王遂煉石 安期置金 王遂は石を煉り 安期は金を置く (王遂・淳于意・扁鵲・安期)
史記王遂少習經方爲齊王侍醫然性孱
弱常多微疾遂自煉五石服之淳于意診
之告曰中熱不溲者可服石石之藥精悍
公服之不得溲亟勿服當發癰疽遂曰扁
鵲云隂石以治隂病陽石以治陽病夫藥
石者有隂陽水火之劑故中熱即爲隂石
柔劑中寒即爲陽石剛劑治之意曰公所
論逺矣扁鵲雖言若是然必當審診處意
告之後百餘日果疽發死
【訓み下し】003-1
『史記』:王遂,少(わか)くして經方を習い,齊王の侍醫と爲る。然れども性 孱弱にして,常に微疾多し。遂 自ら五石を煉って之を服す。淳于意 之を診て,告げて曰わく,「中に熱あって溲せざる者は,〔五〕石を服す可〔からず〕。石の藥は精悍,公 之を服せば,溲するを得ず。亟(すみ)やかに服する勿かれ。當に癰疽を發すべし」。遂曰わく,「扁鵲云う,陰石は以て陰病を治し,陽石は以て陽病を治す。夫れ藥石なる者に,陰陽水火の劑有り。故に中に熱あれば,即ち陰石柔劑を爲(つく)り,中に寒あれば,即ち陽石剛劑を爲(つく)って之を治す,と」。意曰わく,「公の論ずる所は遠し。扁鵲 言うこと是(か)くの若(ごと)しと雖も,然れども必ず當に診る處を審らかにすべし」。意 之を告ぐるの後(のち)百餘日にして,果して疽 發して死す。
【注釋】003-1
○史記:書名。漢朝司馬遷撰。一百三十卷。起自黃帝,訖漢武帝,分為本紀十二、表十、書八、世家三十、列傳七十。為二十四史之一,為中國第一部紀傳體的史書。南朝宋裴駰作集解,唐司馬貞作索隱,張守節作正義。/扁鵲倉公列傳を参照。 ○王遂:A+醫學百科:漢代醫生。履貫欠詳。嘗任齊王侍御醫。因體孱弱而自煉「五石」之藥服食,後因中毒發疽而死。名醫淳于意嘗勸其停服未果,事見《史記.倉公傳》。/『史記』扁鵲倉公列傳にいう「齊王侍醫遂」は「齊王の侍醫である遂」であって,「齊の王という姓である侍醫の遂」ではなかろう。そうすると,『史記』には姓は書かれていないと思われるが,『中醫大辭典』(1995),『中醫名詞術語精華辭典』(1996),『中醫文獻學辭典』(2000)などには「王遂」として項目立てされている。これは本書や『醫說』にしたがっているのか。 ○少:年幼的、年輕的。 ○經方:中醫上稱漢代之前的臨床著作為「經方」,稱漢以後醫家所定的方劑為「時方」。通常指張機《傷寒論》、《金匱要略》中所記載的方劑。/中醫上指記載藥劑治療的書。 ○齊王:劉則(?-前165年),漢朝宗室,西漢齊文王,齊哀王劉襄之子。其祖父齊悼惠王劉肥是漢高帝劉邦的庶長子。前179年,其父齊哀王劉襄死後,劉則襲位,在位十四年。 ○性:人或物自然具有的本質、本能。 ○孱弱:瘦弱;衰弱。 ○微疾:小病;輕微的疾病。 ○煉:用火久熬,炮製藥石。 ○五石:指五種石料。後被道教用以煉丹。【五石散】即寒食散。又稱五石更生散或單稱散。 配劑中有紫石英、白石英、赤石脂、鍾乳石、硫黃等五石,故名。相傳其方始於漢代,盛行於魏晉。 ○淳于意:漢臨淄人,生卒年不詳。仕齊為太倉長,世稱為「太倉公」或「倉公」。精通醫術,神於治病,並能論斷死生。文帝時,因故獲罪,當處肉刑,其女緹縈上書,願以身入官為婢,代父贖罪,文帝悲其孝心,因廢肉刑。 ○中熱:內熱。扁鵲倉公列傳:「中熱,故溺赤也」。 ○溲:屎、尿。排泄。 ○可服石:『史記』作「不可服五石」。 ○精悍:精明強悍。精強勇猛。形容藥性猛烈。 ○亟:緊急、急切。 ○癰疽:常見的毒瘡。多由於血液運行不良,毒質淤積而生。大而淺的為癰,深的為疽,多長在脖子、背部或臀部等地方。也作「雍雎」。 ○逺:「遠」の異体字。時間、空間的距離大。與「近」相對。深奧 [deep;profound]。 ○果:確實、的確。果然,當真 [really]。
○『史記』扁鵲倉公列傳:齊王侍醫遂病,自練五石服之。臣意往過之,遂謂意曰:「不肖有病,幸診遂也。」臣意即診之,告曰:「公病中熱。論曰『中熱不溲者,不可服五石』。石之為藥精悍,公服之不得數溲,亟勿服。色將發臃。」遂曰:「扁鵲曰『陰石以治陰病,陽石以治陽病』。夫藥石者有陰陽水火之齊,故中熱,即為陰石柔齊治之;中寒,即為陽石剛齊治之。」臣意曰:「公所論遠矣。扁鵲雖言若是,然必審診,起度量,立規矩,稱權衡,合色脈表裏有餘不足順逆之法,參其人動靜與息相應,乃可以論。論曰『陽疾處內,陰形應外者,不加悍藥及鑱石』。夫悍藥入中,則邪氣辟矣,而宛氣愈深。診法曰『二陰應外,一陽接內者,不可以剛藥』。剛藥入則動陽,陰病益衰,陽病益箸,邪氣流行,為重困於俞,忿發為疽。」意告之後百餘日,果為疽發乳上,入缺盆,死。此謂論之大體也,必有經紀。拙工有一不習,文理陰陽失矣。
○『醫說』卷一・三皇歷代名醫・王遂:「王遂,不知何郡人。少習經方,工於理療,以藝業精博,為齊王侍醫」。
宋版『史記』(黄善夫刊本) 第七十四冊
https://khirin-a.rekihaku.ac.jp/sohanshiki/h-172-74
『扁鵲倉公列伝割解』
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100348276/3?ln=ja
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/300054847/8?ln=ja
『扁鵲倉公伝彙攷』 2巻『攷異』1巻『備参』1巻
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100404947/7?ln=ja
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100404948/1?ln=ja
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100404949/2?ln=ja
識典古籍*******************************************************
《史記》:王遂,少習經方,爲齊王侍醫,然性孱弱,常多微疾,遂自煉五石服之。
【AI譯文】
《史记》记载:王遂,年少时学习医经和医方,担任齐王的侍医,然而他身体虚弱,常常有许多小病,于是自己炼制五石散服用。
【AI 1】『史記』によると、王遂は若い頃に医学の経典や治療法を学び、斉王の侍医を務めていました。しかし彼自身は体が弱く、しばしば様々な病にかかっていました。そこで彼は自ら「五石散」を調合し、服用したと伝えられています。
【AI 2】『史記』にはこう記されています:王遂は、若いころに医学の経典や処方を学び、斉王の侍医を務めた。しかし彼自身は体が虚弱で、よく小さな病気にかかっていたため、自ら五石散を調合して服用していた。
淳于意診之,告曰:“中熱不溲者,可服石。
【AI譯文】
淳于意诊断后,告诉他说:“体内发热又排不出尿的人,可以服用石药。
【AI 1】淳于意は診断を終えた後、彼にこう伝えました。「体内に熱がこもり、排尿できない者は、石薬を服用するとよい。」
【AI 2】淳于意は診察の後、彼にこう告げました:「体内に熱がこもり、なおかつ尿が出にくい者には、石薬(鉱石系の薬)を服用させることができます。」
石之藥精悍,公服之不得溲,亟勿服,當發癰疽。”
【AI譯文】
金石类药物药力峻猛,您服用后小便不通畅,赶紧别再服用了,否则会引发痈疽病。
【AI 1】金石類の薬は薬効が強く激しいため、服用後に排尿がスムーズでなくなることがあります。すぐに服用を中止しないと、痈疽(化膿性の炎症)が引き起こされる可能性があります。
【AI 2】金石類の薬は薬効が非常に強烈です。服用後に小便が出にくくなったのなら、すぐに服用をやめなさい。さもないと、癰疽(ようそ)※を引き起こす恐れがあります。
※癰疽:膿がたまる皮膚の炎症性疾患(おできや腫れもののこと)。
遂曰:“扁鵲云‘陰石以治陰病,陽石以治陽病。’
【AI譯文】
医遂说:“扁鹊说‘阴石用来治疗阴性疾病,阳石用来治疗阳性疾病。’
【AI 1】医遂は言いました。「扁鵲は、“陰石は陰性の病気の治療に用いられ、陽石は陽性の病気の治療に用いられる”と言っていた。」
【AI 2】医遂はこう言いました:「扁鵲は『陰石は陰性の病を治療するために用い、陽石は陽性の病を治療するために用いる』と言っている。」
夫藥石者有陰陽水火之劑,故中熱,即爲陰石柔劑;中寒,即爲陽石剛劑治之。”
【AI譯文】
药物有阴阳水火之类的药剂,所以患内热(病)的,就用阴石类的柔剂(来治疗);患内寒(病)的,就用阳石类的刚剂(来治疗)。
【AI 1】薬には陰陽や水火といった分類があり、内熱の病には陰石系の柔和な薬を用い、内寒の病には陽石系の剛強な薬を用いて治療する。
【AI 2】薬には、陰陽や水火といった性質のある薬剤があります。内熱の病を患っている場合には、陰石系の柔らかい薬を用いて治療し、内寒の病を患っている場合には、陽石系の強い薬を用いて治療します。
意曰:“公所論遠矣,扁鵲雖言若是,然必當審診處。”
【AI譯文】
淳于意说:“您的议论太深远了,扁鹊虽然这样说,然而必须要审慎地诊断,确定病情。”
【AI 1】淳于意は言いました。「あなたの議論は非常に深遠ですね。扁鵲は確かにそのように述べていますが、しかし病を診断する際は慎重であるべきであり、正確に病状を判断することが重要です。」
【AI 2】淳于意はこう言いました:「あなたのご意見は確かに深遠ですが、扁鵲がそう言っていたとしても、やはり慎重に診察し、病状をしっかりと見極めることが必要です。」
意告之後百餘日,果疽發死。
【AI譯文】
淳于意告诉他之后过了一百多天,王遂果然疽发而死。
【AI 1】淳于意が彼に忠告した後、百日余りが過ぎ、王遂は果たして疽を発症し、命を落とした。
【AI 2】淳于意が彼に忠告した後、百日あまりが過ぎて、王遂は果たして疽が発して亡くなった。
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