2021年6月21日月曜日

解讀『醫家千字文註』001

 醫家千字文註

                                                    散位正五位下惟宗時俊撰  

    ○散位:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説:令制で,位階をもちながら官職についていない者の称呼。「さんに」とも読み,散官ともいう。もと散位寮,のち式部省の所管で,臨時の諸使,諸役のために出勤した。また,三位以上で摂関,大臣,大・中納言,参議のいずれにも就任していない者をいうこともある。



001 清濁剖判形質冲融(東韻・平) 一オモテ

                          6 https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100253551/viewer/6

清濁剖判、形質冲融。

    (千金方曰、清濁剖判、上下攸分、 大素經曰、清陽為天、濁陰為地、 揚上善曰:清氣是陽在上、濁氣為陰在下、 魏氏方曰:人受天地冲融之氣以生、 素問新校正曰、夫有形者生於無形、故有大易、有大初、有大始、有大素、大易者未見氣也、大初者氣之始也、大始者形之始也、大素者質之始也、)

    

    【訓み下し】

清濁剖判、形質冲融。(清濁は剖判し、形質は冲融す。)

『千金方』に曰わく、「清濁 剖判し、上下 分かつ攸(ところ)」。

『大素經』に曰わく、「清陽は天為(た)り、濁陰は地為り」と。楊上善曰わく、「清氣は是れ陽 上に在り。濁氣は陰為(た)り 下に在り」。

『魏氏方』に曰わく、「人は天地冲融の氣を受けて以て生ず」。

『素問』新校正に曰わく、「夫れ有形は無形より生ず。故に大易有り、大初有り、大始有り、大素有り。大易は未だ氣を見ざるなり、大初は氣の始めなり、大始は形の始めなり、大素は質の始めなり」。

    

    【注釋】

○『千金方』曰:『備急千金要方』(孫思邈)序:「夫清濁剖判,上下攸分,三才肇基,五行俶落,萬物淳朴,無得而稱」。 ○剖判: 開闢;分開。分析剖辨。 ○攸:處所、地方。 ○『大素經』曰:『黄帝内經太素』卷三・陰陽大論:「清陽為天,濁陰為地」。/古代においては「大」と「太」の区別は明確でない。 ○揚上善曰:『黄帝内經太素』卷三・陰陽大論:「清氣在下,則生飧洩。濁氣在上,則生䐜脹」。楊上善注:「清氣是陽,在上。濁氣為陰,在下。今濁陰既虛,清陽下幷,以其陽盛,所以飧洩也。清陽既虛,濁陰上昇,以其陰盛,所以䐜脹……」。/楊上善は『黄帝内経太素』の撰者。隋から唐初のひと。手篇(扌)と木篇は、手書き、ことに行書・草書では区別されないことが少なくない。また漢代に揚雄がいたように、「揚」姓もある。 ○魏氏方曰:宋・魏峴『魏氏家藏方』自序:「人受天地冲融之氣以生,莫不予之以上焉者之壽」。 ○冲融:沖和,恬適。充溢瀰漫貌。 ○『素問』新校正曰:『重廣補注黃帝内經素問』卷一・新校正云:「按『乾鑿度』云:夫有形者,生於無形,故有太易,有太初,有太始,有太素。太易者,未見氣也。太初者,氣之始也。太始者,形之始也。太素者,質之始也。氣形質具,而痾瘵由是萌生」。なお『列子』天瑞にも同様の文が見える。 ○大易:太易。古代指原始混沌的狀態。 ○大初:天地元氣之始。天地未分之前的混沌元氣。 ○大始:天地成形之始。古代指天地開闢、萬物開始形成的時代。《列子.天瑞》:「太始者,形之始也。」張湛注:「陰陽既判,則品物〔=萬物〕流形也。」 ○大素:物質的起始。謂最原始的物質。 

0 件のコメント:

コメントを投稿