2010年10月22日金曜日

1-6 鍼灸廣狹神倶集 その2

神倶集後序
鍼灸科之委靡頽廢猶我内科之支
離決裂也靈素以來古今俊傑輩
出不乏其人然而率皆溺於理而矒於
術夫經脉流注孔穴分寸之説雖彼得此
失聚訟紛紜而能懸一膽鏡包羅搜
剔絶長補短纂輯集成則足以長其
正矣��至臨証施行之際古今一轍浮
  58ウラ
華無實皆局於見聞持循講習餖
飣之風不堪其炊也竽齋石先生者
我妻之父也甞有嘆於茲久矣往時
奉 旨教諭鍼科於甲州一時靡肰
嚮風岳父悦曰一洗頽凮必載自甲
焉後又及門諸子所筆記集以上木既
已行于世鍼灸説約是也然其書從二
三子之請以代面命之勞耳不敢欲充
  59オモテ
大家之觀也故又著鍼灸證治要穴診
脉古義等之諸書意欲大布于世公事
冗〃未畢也頃日偶獲雲栖子神具集披
覽一日忽嘆曰嗚呼雲栖子既先得我
心之同圭在側即寫一通退而読之文以
國字俗易通曉對證施術井然有定
規皆可以施諸事實活用無滯其中往〃
有不可觧者訛謬亦多而鍼科書中
  59ウラ
未見如此古而實者也圭甞謂毉經之
最古者莫如素靈難然如素靈千古流
傳玉石混淆王氏譌託一起世莫辨其
紫白終至於塗抹本來面目自是以
降專主二氣五行而辨經絡臓腑之理
位以言疾之情状難經又繼之尤論寸關
尺診候之義倶皆非有是疾而施是術
者也曰素問曰難經其命名之意亦取諸
  60オモテ
徒設難問以辨發其事者可知也故往〃有
鑿於理而乖於術美於文迂於治者
猶坐譚兵讀書御馬至其視機而動應
變而處則方抐圓鑿亦不少矣惟其
神眀變化對活物爲活用者有傷寒
金匱二書而已葢此二書張太守取法於
古籍而試功於當時死生安危變幻於
其頭者筆以録之故竒正神策出没
  60ウラ
無窮但其中救誤之法十居六七正治之法
一經不過三四條此乃所以因病以施方
非編方以待病者也雖或有繫於後人攙
挿者以比素靈難則距今反近法古最
親實可謂醫門之活書也是以其文則質
其事則實而製之竒幻意之妙悟非
其人則難以語焉其他晉唐以來毉書皆
可以爲是數書之註脚也而異於當今
  61オモテ
醫家皆心醉二氣五行之論惟知尊崇
之無能駁正之者一唱羣和勦説雷同
如矮人之觀場莫知悲笑之所自噫就中
明堂一派皇甫氏以降至于輓近薄録
所著厪〃不過數十部至治術稽攷
實當世掃地要皆以鍼刺灸焫爲東
界微事持勝心便舊習無復刻苦砥礪
於斯道者之由嗚呼鍼砭灸焫之術何
  61ウラ
時能白於世矣此乃我岳父之所以長
大息也今是編所載毎一病前証後治
病變術隨之補瀉之方虗實之術無
不精切周到焉今茲岳父公務之餘校
訂完成無復鹽从土之謬因傍附以獨得
之見且篇末補榮衞經絡之説一篇以
命梓葢其志在欲一醒拘泥人之長
眠而使雲栖子名聲再甦於數百歳
  62オモテ
之後歟請世顓針灸者無以其文之不
華與語之不雅舎之能讀此編而明有
應機活用之術終無有浮華膠柱之
弊彼其廢痼卒暴之疾草蘇草核之
所不及者亦因是而有奏功於其間則
扶危救急其嘉惠後學者不廣且大
乎圭之不材雖不足昭揚其功有命不
敢辞刻成之日謹書于卷尾
  62ウラ
文政己卯仲秋望後
    櫟園 石阪宗圭并書


  書き下し文
神倶集後序
鍼灸科の委靡頽廢せる、猶お我が内科の支
離決裂するがごとし。靈素以來、古今の俊傑、輩
出して其の人に乏しからず。然り而して、率(おおむ)ね皆な理に溺れて、
術に矒(くら)し。夫れ經脉流注、孔穴分寸の説、彼れ得て此れ
失い、聚訟紛紜たりと雖も、而して能く一膽鏡を懸けて、包羅搜
剔し、長を絶ち短を補い、纂輯集成せば、則ち以て其の
正に長ずるに足らん。獨り臨証施行の際に至りては、古今一轍、浮
  58ウラ
華に實無く、皆な見聞に局して、持循講習し、餖
飣の風、其の炊に堪えざるなり。竽齋石先生は、
我が妻の父なり。嘗て茲(ここ)に嘆有ること久し。往時
旨を奉じて、鍼科を甲州に教諭す。一時靡然として
風に嚮(む)かう。岳父悦びて曰く、頽風を一洗するは、必ず甲自り載す、と。
後に又た及門の諸子、筆記する所、集して以て木に上(のぼ)す。既(す)
已(で)に世に行う。鍼灸説約、是れなり。然れども其の書、二
三子の請に從い、以て面命の勞に代うるのみ。敢えて
  59オモテ
大家の觀に充てんと欲せざるなり。故に又た鍼灸證治要穴、診
脉古義等の諸書を著し、意、大いに世に布せんと欲す。公事
冗冗として未だ畢(お)わらざるなり。頃日偶たま雲栖子神具集を獲て、披
覽すること一日、忽ち嘆じて曰く、嗚呼(ああ)、雲栖子、既に先に我が
心の同を得たり。圭、側に在り、即(ただち)ちに一通を寫し、退きて之を読む。文は
國字を以てし、俗にして通曉し易し。對證施術、井然と定
規有り。皆な以て諸(これ)を事實に施す可く、活用して滯り無し。其の中に往々にして
解す可からざる者有り。訛謬も亦た多し。而れども鍼科書中、
  59ウラ
未だ此くの如く古にして實なる者を見ざるなり。圭嘗て謂(おも)えらく、毉經の
最古なる者は、素靈難に如(し)くは莫し。然れども素靈の如きは、千古流
傳して、玉石混淆す。王氏の譌託、一たび起こり、世は其の
紫白を辨ずる莫し。終(つ)いに本來の面目を塗抹するに至る。是れ自り以
降、專ら二氣五行を主として、經絡臓腑の理
位を辨し、以て疾の情状を言う。難經も又た之を繼ぎ、尤も寸關
尺診候の義を論ず。倶に皆な是の疾有りて是の術を施す
者に非ざるなり。素問と曰い、難經と曰う。其の命名の意も亦た諸(これ)を
  60オモテ
徒らに難問を設け、以て其の事を辨發するに取る者、知る可きなり。故に往々にして
理に鑿して術に乖(そむ)き、文に美にして、治に迂なる者有り。
猶お坐して兵を譚し、書を讀みて馬を御するがごとし。其の機を視て動き、
變に應じて處するに至れば、則ち方枘圓鑿も、亦た少なからず。惟だ其の
神明變化、活物に對し活用を爲す者は、傷寒
金匱二書有るのみ。蓋し此の二書は、張太守、法を
古籍に取りて、功を當時に試み、死生安危、
其の頭に變幻する者、筆し以て之を録す。故に奇正神策、出没すること
  60ウラ
窮り無し。但だ其の中の救誤の法、十に六七居し、正治の法は、
一經に三四條に過ぎず。此れ乃ち病に因りて以て方を施し、
方を編みて以て病を待つ者に非ざる所以(ゆえん)なり。或いは後人の攙挿に繫がる者
有ると雖も、以て素靈難に比すれば、則ち今を距たること反って近く、古に法(のっと)ること、
最も親し。實に醫門の活書と謂っつ可し。是(ここ)を以て其の文則ち質、
其の事則ち實なり。而して製の奇幻、意の妙悟は、
其の人に非ざれば、則ち以て語し難し。其の他晉唐以來の醫書、皆な
以て是の數書の註脚と爲す可し。而るに異(あや)しむ、當今
  61オモテ
の醫家、皆な二氣五行の論に心醉して、惟(た)だ之を尊崇するを知りて、
能く之を駁正する者無し。一唱群和し、勦説雷同すること、
矮人の場を觀するが如し。悲笑の自る所を知る莫し。噫(ああ)、中ん就(づ)く
明堂一派、皇甫氏以降、輓近は薄録に至り、
著す所厪厪として、數十部に過ぎず。治術の稽攷に至れば、
實に當世地を掃う。要するに皆な鍼刺灸焫を以て、末
界の微事と爲す。勝心を持し、舊習を便とし、復た
斯道に刻苦砥礪する者無きに之れ由る。嗚呼(ああ)、鍼砭灸焫の術、何(いづ)れの
  61ウラ
時か能く世に白からん。此れ乃ち我が岳父の長
大息する所以なり。今ま是の編の載する所、一病毎に、証を前にし治を後にし、
病變じ、術之れに隨う。補瀉の方、虚實の術、
精切周到せざる無し。今茲、岳父公務の餘、校
訂完(まつた)く成り、復た鹽(しお)の土に从うの謬無し。因りて傍ら附するに獨得
の見を以てし、且つ篇末に榮衞經絡の説一篇を補い、以て
梓に命ず。蓋し其の志は、一たび拘泥する人の長
眠を醒(さ)まして、雲栖子の名聲をして、再び數百歳
  62オモテ
の後に甦らせしめんと欲するに在るか。請う、世、針灸に顓なる者、其の文の不
華、語の不雅とを以て、之を舎(す)つる無かれ。能く此の編を讀みて、
應機活用の術有るを明らかにせば、終(つ)いに浮華膠柱の
弊有る無し。彼れ其の廢痼卒暴の疾(やま)い、草蘇草核の
及ばざる所の者も、亦た是れに因りて功を其の間に奏する有らば、則ち
扶危救急、其の後學に嘉惠すること、廣く且つ大ならず
や。圭の不材、其の功を昭揚するに足らずと雖も、命有り、
敢えて辭せず。刻成るの日、謹みて卷尾に書す。
  62ウラ
文政己卯仲秋望後
    櫟園 石阪宗圭并びに書


 【注】
○委靡:なえおとろえる。振るわなくなる。 ○頽廢:おとろえる。頽廃する。 ○支離決裂:支離滅裂。 ○靈素:『霊枢』『素問』。 ○俊傑:才智の衆に抜きんでたひと。 ○輩出:続けざまに出る。 ○然而:逆接の接続詞。 ○聚訟:多数の人が論争し、意見がまとまらないこと。 ○紛紜:盛んに乱れるさま。 ○膽鏡:秦の咸陽宮に所蔵されていたという伝説の鏡。ひとの五臓六腑を照らし見ることができ、そのひとの心の正邪を知るのに用いられたという。 ○包羅:あらゆるものを包み込む。 ○搜剔:探し出して(欠点を)えぐり出す。 ○��:「蜀+犬」。「獨」の異体字。B領域。 ○一轍:同じ。変化がない。 ○浮華:表面的な栄華。
  58ウラ
○局:拘束される。限局される。 ○見聞:目で見、耳で聞いたもの。経験。 ○持循:遵行する。追従する。 ○講習:講授研習する。 ○餖飣:飣餖。食べきれないほど並べられた食物。むやみに意味のないことばが並んだ文章の比喩。 ○炊:判読に自信なし。火を燃やして煮炊きする。 ○竽齋石先生:石坂宗哲。竽齋は号。 ○甞:「嘗」の異体字。 ○往時:むかし。 ○奉旨:幕命をうけたまわる。『臨床鍼灸古典全書』第十六巻の篠原解説を参照。小川春興『本朝鍼灸医人伝』「寛政八年十二月二十二日幕府の命を奉じて甲府に赴き、甲府医学所の勤番医師となり、自ら難経を講ず、岩下宗悦、川俣文哲、土橋甫輔、土橋宗魯、石氏宗榮等来たり、教を乞ふ者二百八十余人、寛政十二年四月七日、幕府の命により再び江戸に帰りて其職に任ず」。 ○甲州:甲斐国。甲府藩。 ○靡肰嚮風:「肰」は「然」の異体字。「靡然郷風」「靡然向風」。さかんに学び、追従するのが一種の雰囲気となること。「靡然」は、草木が風になびいて倒れるさま。 ○岳父:妻の父親。 ○頽凮:「凮」は「風」の異体字。頽敗の風気。 ○載自甲:「甲(州)から始まる」の意か。 ○及門:弟子となる。仕官する。 ○上木:上梓。版木にほる。出版する。 ○既已:すでに終えている。 ○鍼灸説約:かつて甲府医学所における講義を土橋甫輔(どばしもとすけ)と川俣文哲(かわまたふみあき)が筆録したもの。文化九(一八一二)年刊行。『鍼灸典籍大系』『鍼灸典籍集成』に影印収録。(『日本漢方典籍辞典』) ○二三子:門人各位。 ○請:判読に自信なし。要請。請求。 ○面命:面と向かって直に教える。面命耳提。対面して懇切丁寧に教え諭すこと。
  59オモテ
○大家:著明な専門家。 ○觀:観賞。 ○鍼灸證治要穴:『本朝医家著述目録』に「証治要穴(原作「証治要訣」)」が見えるというが、未詳。 ○診脉古義:『本朝医家著述目録』に一巻。『古診脈説』(明治二十年刊行。『鍼灸全書』第三十六巻所収)の原型となった書か。 ○公事:公務。 ○冗冗:煩多にして雑多なさま。 ○頃日:近ごろ。 ○披覽:観賞。閲覧。 ○心之同:一致した見方。/同心。知己。志が同じく道に合するもの。 ○國字:非漢文。 ○俗:通俗。 ○對證施術:証に対して施術する。 ○井然:整っているさま。 ○定規:一定不変の原則。 ○事實:実際の事柄。ここでは病。 ○觧:「解」の異体字。 ○訛謬:あやまり。
  59ウラ
○甞:「嘗」の異体字。 ○謂:考える。評論する。 ○毉:「醫」の異体字。 ○經:経典。特殊な価値を有し、典範として尊崇される著作。 ○千古流傳:傳播極為久遠。はるか昔から伝播している。 ○玉石混淆:玉と石は、よいものと悪いもののたとえ。それが混じり合って、区別しがたいこと。 ○王氏:唐の王冰。 ○譌託:いつわり仮託する。王冰が全元起本を編集し、旧蔵の巻(運気七篇)を加えた。 ○紫白:「紫」は、雑色として嫌われた。『論語』陽貨:「惡紫之奪朱也(紫の朱を奪うを惡む)」。「白」は西方金の色。ここでは、よいものと悪いもののたとえであろう。 ○塗抹:ぬりつぶす。 ○本來面目:事物の元々のありさま。 ○二氣:陰気と陽気。 ○五行:木火土金水。 ○理位:生理病理と病の位置(所在)か。 
  60オモテ
○譚:「談」に同じ。 ○方抐圓鑿:翻字は原文に従ったが、意味からすれば「抐」は「枘」、手偏ではなく、木偏。「圓」は「圜」に通ず。「方枘圜鑿」は、矛盾して、互いに相い容れないさま。『楚辭』宋玉『九辯』:「圜鑿而方枘兮、吾固知其鉏鋙而難入。」「枘」は、木の接合部分につけた突起。「方枘」は四角い突起。「鑿」はほぞ穴。「圜鑿」は丸いほぞ穴。 ○神眀:「眀」は、「明」の異体字(初文)。神明は、物事が変化するメカニズムや動力か。『素問』気交変大論(69)「善言化言變者、通神明之理」。 ○傷寒金匱二書:『傷寒論』と『金匱要略』。 ○葢:「蓋」の異体字。 ○張太守:張仲景。長沙の太守であったとされる。 ○當時:「時」、原文は「日+之」につくる。異体字。 ○其頭:「其」字、判読に自信なし。 ○竒正:「竒」は「奇」の異体字。「奇正」は、兵法の用語。『孫子兵法』兵勢:「戰勢不過奇正、奇正之變、不可勝窮也。奇正相生、如循環之無端、孰能窮之哉。」 ○神策:非常に優れた策略。『鬼谷子』實意法螣蛇:「心安靜則神策生、慮深遠則計謀成。神策生則志不可亂、計謀成則功不可間。」 
  60ウラ
○攙挿:混合。王叔和などが張仲景の原書に手を加えたことをいう。 ○法古:「法」字、判読に自信なし。 ○質:質朴。 ○實:堅実。浮ついたところがない。 ○製:造作。法式。 ○竒幻:夢幻のように非常に素晴らしい。 ○妙悟:尋常をこえた理解。
  61オモテ
○駁正:あやまりを正す。 ○一唱羣和:「羣」は「群」の異体字。一人が提唱すると、多くのひとが附和する。一倡百和。 ○勦説:他人の言論を剽窃する。 ○雷同:雷が鳴ると、あらゆるものが同時に響く。あることに多くのひとが附和して同じことをいう。 ○矮人之觀場:背たけの低い人が、芝居を見るとき、自分の前にいる人にさえぎられてよく見えないのに、前の人のいうことをそのまま受け入れて批評する。自分の見識や判断力がなく、付和雷同することのたとえ。矮子看戯。 ○悲笑:誹笑。人のことを悪くいって笑うこと。そしり笑い。 ○所自:由来。みなもと。 ○就中:その中で。 ○明堂一派:経穴学派。鍼灸家。 ○皇甫氏:皇甫謐(二一四~二八二)。『鍼灸甲乙経』の編者とされる。 ○輓近:晩近。現代にもっとも近い時代。 ○薄録:記録が少ない。 ○厪:廑。「僅」に通ず。わずかばかり。 ○稽攷:「攷」は「考」の異体字。考察。考証。 ○當世:今世。現代。 ○掃地:すっかり廃れてしまう。跡形もない。 ○焫:「爇」に同じ。燃焼。 ○末界:人類に対する動物界。『春秋左氏伝』僖公四年「唯是風馬牛不相及也」。杜預 注:「牛馬風逸、蓋末界之微事。」 ○微事:小さな、つまらないこと。 ○勝心:勝ちたいと思う心。 ○舊習:過去の習慣。 ○刻苦:心身を苦しめるほど、はげしく努力すること。非常に努力すること。 ○砥礪:錬磨。 ○斯道:医道。 ○嗚呼:感嘆詞。 
  61ウラ
○白:明白。明らかになる。 ○大息:太息。大声で嘆く。『楚辭』屈原『離騷』:「長太息以掩涕兮、哀民生之多艱。」 ○虗:「虚」の異体字。 ○精切:精確で適切。 ○周到:すみずみまで行きとどいていて欠けるところがない。 ○今茲:今年。 ○鹽从土之謬:「鹽」に対して、土偏の「塩」は俗字。 ○命:原文は「人」の下に「丙」の異体字。 ○梓:出版。 ○葢:「蓋」の異体字。 ○長眠:長き眠り。長逝、死亡の意もあり。 ○甦:「蘇」の異体字。
  62オモテ
○顓:蒙昧。暗い。 ○不華:華がない。 ○不雅:雅でない。「不華」「不雅」、文章が典雅でなく、修飾のことばも華々しくない。 ○舎:「捨」に通ず。 ○應機:タイミングを熟知している。 ○浮華:うわべだけはでやかで、実質がない。 ○膠柱:頑固で融通が利かない。 ○彼其:代名詞。その。 ○廢:障碍のある。衰えそこなわれた。 ○痼:根深い難治の。 ○卒暴:緊急の。にわかで激しい。 ○草蘇草核:湯液。『素問』移精変気論(13):「中古之治病、至而治之、湯液十日……治以草蘇、草荄之枝」。王注:「草蘇、謂藥煎也。草荄、謂草根也。枝、謂莖也。」 ○扶危救急:危ういときに助け、突然襲ってきた病気やけがなどを助け救う。 ○嘉惠:恩をほどこす。 ○後學:後進の学習者。 ○不材:不才(才能が凡庸で役に立たない)。自分を謙遜していう。 ○昭揚:宣揚。発揚。 ○有命:岳父、宗哲からの命令があり。
  62ウラ
○文政己卯:文政二年(一八一九)。 ○仲秋:旧暦八月。 ○望後:望日(十五日)のあと。十六日か。 ○櫟園:石阪宗圭の号。宗哲の娘婿。『人参攷』を著す。

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