2010年10月25日月曜日

3-1 鍼灸合類

3-1『鍼灸合類』
     京都大学医学図書館富士川文庫所蔵『鍼灸合類』(シ・四九八)
     オリエント出版社『臨床鍼灸古典全書』3所収

  (鍼灸合類跋)
夫上古治病多用灸刺補之瀉之
以驅去其所苦矣爲其書也内經
以下百家之典不可勝計焉雖然
中間寢廢不講殊前賢之書淵乎
如望洋且孔穴分寸之差紛然而
無歸一之論矣予竊有憂焉間攟
二十六ウラ
摭於曩昔之遺録所以宜于今者
而輯之以爲二卷該曲几之備焉
一日或來求梓之更不獲辭而任
其言也誠其固陋鄙見豈及前人
之萬一乎然今分證附穴而欲便
于倉卒也庶幾博洽之君子改証
  二十七オモテ
之幸也
萬治二季龍集己亥冬十月日雒
洋散人書于四味堂中


  書き下し
夫(そ)れ上古の治病は、多く灸刺を用いて、之を補し之を瀉し、
以て其の苦しむ所を驅去す。其の書爲(た)るや、内經
以下、百家の典、勝(あ)げて計う可からず。然ると雖も、
中間寢廢して講ぜず。殊に前賢の書、淵乎として
望洋の如し。且つ孔穴分寸の差、紛然として
歸一の論無し。予竊(ひそ)かに憂い有り。間ま
二十六ウラ
曩昔の遺録を攟摭す。今に宜しき所以の者は
之を輯して、以て二卷と爲す。該曲几(ほとん)ど之れ備わる。
一日、或るひと來たりて之を梓にせんことを求む。更に辭するを獲ずして、
其の言に任(まか)すなり。誠に其の固陋鄙見、豈に前人
の萬の一に及ばんや。然れども今ま證に分かち、穴を附して、
倉卒にも便ならんと欲するなり。庶幾(こいねが)わくは、博洽の君子、証を改めば、
  二十七オモテ
之れ幸いならん。
萬治二季龍集己亥、冬十月の日、雒
洋散人、四味堂中に書す。

  【注】
○刺:原文は「剌」の字。 ○驅去:駆逐、除去。 ○内經:『黄帝内経』(『素問』と『霊枢』)。 ○百家:多数、各種の流派、人々。 ○典:典籍。書物。 ○寢廢:停止する。廃棄する。/「寢」、原文、ウ冠ではなく、「穴冠」につくる。 ○前賢:前代のすぐれた人。 ○淵乎:奥深いさま。『莊子』天道「淵乎其不可測也」。『莊子』知北遊「淵淵乎其不可測也」。 ○望洋:望羊。望陽。茫然。どうしていいか分からないさま。 ○差:区別。ちがい。 ○紛然:乱雑なさま。 ○歸一:一致。統一。規矩。 ○攟:「捃」の異体字。拾い取る。採集する。
二十六ウラ
○摭:採集する。 ○曩昔:以前。むかし。 ○遺録:のこされた記録。 ○該曲几之備:該(ひろく/ことごとく)曲(つまびらかに/ゆきとどいて)几(=幾、ほとんど)備わった? ○梓:印刷出版する。 ○更:いよいよ。ついに。 ○辭:ことわる。辞退する。 ○固陋:見聞が浅薄である。 ○鄙見:自己の見解を謙遜していう。 ○萬一:万分の一。きわめて微少なことの形容。 ○便:便利。 ○倉卒:急なとき。 ○博洽:学識のひろい。「洽」、原文は「二水(ン)」に「合」。 ○証:依拠。病証。
  二十七オモテ
○萬治二季龍集己亥:「龍集」は歳次。万治二(一六五九)年。 ○雒洋散人: ○四味堂:

0 件のコメント:

コメントを投稿