2016年9月23日金曜日

黄龍祥著『経脉理論還原与重構大綱』 第13章 十二経脈の道筋――「直」「支」「別」「絡」の規則

 第2節 術語と定義
 1.胸中・膻中・心主・心包・心包絡・手厥陰・心主手厥陰心包絡之脈
 手厥陰経に対応する内臓の概念と術語は、非常に複雑な変遷過程をへている。経別篇では「胸中」に作り、営気篇では「膻中」に作り、経脈篇の手少陽の別では「心主」に作り、手少陽経脈と手厥陰絡脈と足少陰絡では「心包」に作り、経水篇も同じく「心包」に作り、邪客篇は「心之包絡」に作る。経脈篇にあるその他の十一経脈の命名方式に準ずれば、手厥陰脈のフルネームは「心包手厥陰之脈」とすべきである。しかしながら、「心包」と「心主」はまた、異なる時期の手厥陰脈が対応する内臓名であり、「絡脈」「経筋」「経別」「皮部」「標本」「経水」などはみな「手心主」あるいは「心主」に作る。経脈篇は手厥陰経では「手厥陰」に作るとはいえ、手太陰と手少陰経の循行するところではやはり「心主」に作る。「手厥陰脈」の名は伝世本『霊枢』では遅い時期にできた経脈篇にしか見えず、後出の『難経』や『黄帝明堂経』にすら見えない。このように「手厥陰」の三字は後代の人が加えた注文にかかるとすべきで、結果として「心主手厥陰心包絡之脈」という滅多にない非常に奇異な経脈名称となった。このような後代の人が加えた注文が混じって正文となった例はひとり経脈篇のみではなく、『鍼灸甲乙経』巻三にも見え、明抄本はもとは「手心主及臂凡一十六穴第二十五」に作るが、通行本では「手厥陰心主及臂凡一十六穴第二十五」に改められている。
 2.脈と経脈
 経脈篇の篇名は「経脈」に作る。これは経数の脈を指し、集合概念に属す。そのため「十二経脈」という。まとめて「経脈」というのはよいが、具体的なそれぞれの脈を、たとえば「手太陰経脈」とか「手陽明経脈」などと称することはできない。後代の人はこの慣例を理解できていないので、しばしば混用している。
 3.「其直者」と「其支者」
 「其の直なる者」は経脈が循行する主幹をあらわしている。「其の支なる者」は経脈の分枝をあらわしている。「支」と「別」の意味は同じである。しかし、経別篇では「別」に、「別れて六府に走る分枝」という特別な意味を付与している。

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