2016年9月13日火曜日

恥ずかしながら…

 高校の時の不勉強が祟りました。文語文法の「仮定条件」と「確定条件」というのを、全く知りませんでした。

順接の仮定条件(もし~なら)…未然形+ば
順接の確定条件(~なので)…已然形+ば

例えば、
血氣倶盛、而陰氣多者、其血滑、刺之則射。(『霊枢』血絡論第三十九)
は、「もしこれを刺したら」ということで仮定条件になり、「これをささばすなはち」となりませんか?
所謂少氣善怒者、陽氣不治。陽氣不治、則陽氣不得出…(『素問』脉解篇第四十九
は、「~ならば~、そして~」という論理的な流れの中にあるので確定条件となり、「やうきぢせざればすなはち」となりませんか?
それとも、「則」のときは必ず確定条件なのでしょうか?(僕は違うような気がします。「A則B」とした場合、仮定条件か確定条件かはA自信が仮定か確定かの問題だからです。「則」が表しているのはAとBとの関係です。
もちろん以上のことは、訓読なんかしなければ全く問題のないことなんですが。

質問を整理します。
①以上二つの例文に対する僕の訓読、妥当でしょうか?
②「則」と仮定条件・確定条件との関係、僕の認識で妥当でしょうか?
よろしくお願いいたします。

5 件のコメント:

  1. 乱暴にまとめていうと,つぎのようになります。
    「未然形+ば」「已然形+ば」というのは,日本古文の文法です。漢文訓読もむかしは,「則」字は不読にするなど,いろいろな訓読があったのですが,だんだん仮定・確定の区別なく「レバ則」でよむように収斂されたのです。楽でしょ?意味を考えずに,機械的に読めるのだから。
    たとえば,「もし緊急事態が生じたならば」という仮定の内容をいうときも,「一旦緩急アレバ……」と已然形で表現します。これと一緒です。
    日本の古文の文法にてらせば,おかしいといえますが,漢文訓読とはわけてかんがえたらいかがでしょうか。
    とにかく,漢文訓読では「已然形+バ」で仮定条件をあらわしてもよい,という決まりがある,とでもおぼえてください。
    もちろん,意味の上から考えて,未然形にして,「則ち」につなげて読んでも,なんら問題ないです。
    講談社学術文庫『漢文法基礎』など訓読法の参考書で,「則」字や仮定法の表わし方のところをを読んでみて下さい。

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  2. ありがとうございます。
    白文から訓読するときは、ほぼ自動的に「レバ則」とか「已然形+バ」とかにしてしまってかまわないということですね。
    ただ逆に、昔の文書で添え仮名付きの時は気を付けなければならないようですね、「ズンバ」とか。
    よくわかりました。ありがとうございました。

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  3. 漢文入門 文法-仮定
    http://www.seiwatei.net/kanbun/katei.htm
     順接仮定条件では、前半の述語には「ば」をつけます。もともと日本語では、未然形+「ば」が仮定条件であり、已然形+「ば」が確定条件です。ですから「ば」の前は上例のように未然形にすべきです。ところが漢文訓読の技法が発展した江戸時代には、もうこのような区別がなくなってしまい、已然形+「ば」でも仮定条件を表すようになったので、漢文訓読では已然形+「ば」もけっこう出てきます。現在の高校漢文ではできる限り未然形+「ば」で読むようにしているようですが、すでに已然形+「ば」の読みが定着した故事成語や、非現実の仮定でなく単なる条件を表す場合、また法則・教えなどによくある「~すると必ず…」という恒常条件を表す場合には已然形+「ば」もよく見かけます。

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  4. そもそも白文(原文)レベルでは明確な区別はないようですね。
    基本は已然形、未然形なこともあるよ、ということですね

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  5. 問題にしていることからずれるかも知れませんが、
    魯迅曰:「漢字不滅、中國必亡」。
    「漢字は不滅だけれど」と逆接で考えることもできますが、前後の文や常識から「漢字が滅びなければ」と順接で一般に理解されています。
    順接・逆接を示す文字はありません。読む人が判断するより、ほかありません。
    (接続詞を入れると、4+4というリズムがくずれます。)
    これと同じように、「則」も前後をつないでいるだけで、已然・未然の判断は、文脈(前後の文)=コンテキスト=意味でするほか、ありません。

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