1 循行
大陽脈:簡一「大陽脈,起足小指外廉,循外踝後,以上膝」。
『霊枢』経脈の「膀胱足太陽之脈……出外踝之後,循京骨,至小指外側」[5]と膝以下の循行が一致する。ただし方向は反対である。これと比べて『脈書』17は「鉅陽之脈,繫於踵外踝中」 [6]で,『陰陽乙』1は「踵外踝婁中」に作り[7],『足臂』1は「出外踝婁中」[8]に作る。足の小指には起こらず,外踝であって,かなり差が大きい。
少陽脈:簡三「少陽脈,起小指之次,循外踝前廉」。
『霊枢』経脈の「膽足少陽之脈……下出外踝之前,循足跗上,出小指次指之端」[5]と外踝以下の循行と一致するが,方向が反対である。『脈書』20は「少陽之脈,繫於外踝之前廉」 [6]に作り,『足臂』5は「出於踝前,枝於骨間」[8]に作る。
陽明脈:簡四の上端は破損しているが,残っている文は「上□貫乳,夾喉,回口,屬鼻」である。
『霊枢』経脈の「胃足陽明之脈,起於鼻之交頞中……還出挾口環唇,下交承漿,却循頤後下廉,出大迎……其支者,從大迎前下人迎,循喉嚨,入缺盆……其直者,從缺盆下乳內廉」[5]と対比してみると,乳・喉・口・鼻という鍵となる循行部位が高度に一致する。しかし『脈書』23は,「陽明之脈……上穿乳,穿頰,出目外廉,環顏」[6]であり,喉と鼻への言及がない。『足臂』10は,「足陽明脈……上出乳內廉,出嗌,挾口以上,之鼻」[8]であり,乳・口・鼻が含まれるが,「出嗌」は「夾喉」とはやはり循行が異なるし,具体的な用語にも違いがある。
臂鉅陰/少陰脈:簡九の残余の文は「臂內陰兩骨之間」に見える。
按ずるに,「臂內陰兩骨之間」を循行する者には,臂大陰と臂少陰の二つの脈がある。『陰陽甲』33は,「臂鉅陰脈:在於手掌中,出內陰兩骨之間,上骨下廉,筋之上」であり,『陰陽甲』36は,「臂少陰脈:起於臂兩骨之間,之下骨上廉,筋之下」[8]である。下文が欠損しているため,どちらであるか詳らかではない。
臂陽明脈:簡一一「臂陽明脈起手大指與次指」。
『脈書』31は「齒脈,起於次指與大指上」[6]。『足臂』は「出中指間」[8]。『霊枢』経脈は「大腸手陽明之脈,起於大指次指之端」[5]。按ずるに『霊枢』には「與」字がない。そうするとこの脈の起点は「大指」と「次指」という二本の指から「大指の次指」(すなわち示指)という一本の指に変じたことになる。
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