2 鍼刺による出血の処理および刺法の禁忌を論ずる
㓨(刺)血不當出,㓨(刺)輒以【指案】,【有】(又) 以【脂肪】寒(塞)之,勿令得囗,【已】。(650)
手指で圧を加えて止血する方法は,『霊枢』邪気蔵府病形に見える。「刺澀者,必中其脈,隨其逆順而久留之,必先按而循之,已發針,疾按其痏,無令其血出,以和其脈」[4]16。「又以脂肪塞之」については,『霊枢』癰疽に見える「豕膏方」もこの類に属する傷のあとの処理法である。「發於腋下赤堅者,名曰米疽。治之以砭石,欲細而長,疏砭之,塗以豕膏,六日已,勿裹之」[4]135。このほか,『五十二病方』諸傷にもまた動物性脂肪を用いた外用による傷の治療処方が多く見られる。たとえば,「令傷毋(無)般(瘢),取彘膏、囗衍並冶,傅之」(14)[19]がある。
短氣,不【㓨】(刺)。(663)
この竹簡は各論部分で,刺法の禁忌が述べられている。早期の鍼刺治法は,虚証には適さなかった。『史記』扁鵲倉公列伝には「形獘者,不當關灸鑱石及飲毒藥也」とある。『素問』奇病論には「所謂無損不足者,身羸瘦,無用鑱石也」[5]94とある。これらは虚証のことを言っていて,からだが痩せ細っていることに着目している。『霊枢』邪気蔵府病形はさらに進んで,脈を診ることで虚実を判断している。「諸小者,陰陽形氣俱不足,勿取以針,而調以甘藥也」 [4]16。『霊枢』終始は明確に「少気証」の診断根拠と治療の原則を提出している。「少氣者,脈口、人迎俱少而不稱尺寸也,如是則陰陽俱不足。補陽則陰竭,瀉陰則陽脫。如是者,可將以甘藥,不愈(「愈」字は『太素』により補う),可飲以至齊」[4]25-26。これは,この竹簡についての詳しい説明,すなわち「伝〔=解釈〕訓詁」であるとみなせる。
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