2010年12月9日木曜日

13-2 主治針法

13-2 主治針法
     京都大学医学図書館富士川文庫所蔵『主治針法』(シ・80)
     オリエント出版社『臨床鍼灸古典全書』13所収

主治鍼法之序
夫醫之治病猶人之治水水
之行于天地猶血氣之行于
人身也或為四氣七情所干
則經脉流注交際之處或塞
或壅或溢焉皆害ヲナシ病
トナルニ至氣血之凝滯取
其和平主治者鍼法耳而鍼
ヲ刺テ病シルシ速ナル經
穴圖章訓釋而以便準量取
  ウラ
穴目之曰主治鍼法ワケテ
為三卷雖一言半句私ノ言
アラズ皆醫學入門十四經
發揮鍼灸聚英其外諸家之
説トツテヌキガキシテ門
弟子シメス懷中秘而他見
スルコトナカレト云尒
 旹
延寶五丁巳歳孟夏良辰


  【書き下し】
主治(じ)鍼法の序
夫れ醫の病を治(じ)すること猶お人の水を治むるがごとし。水の
天地を行くことは、猶お血氣の
人身を行くがごとし。或いは四氣七情の為に、干(おか)さるる
ときんば、經脉流注交際の處、或いは塞がり、
或いは壅ぎ、或いは溢る。皆な害をなし、病
となるに至る。氣血の凝滯、
其の和平(かへい)を取る。主治は、鍼法のみ。而して鍼
を刺して病にしるし。速(すみや)かなる經
穴圖章、訓釋(きんせき)して以て準量して
  ウラ
穴を取るに便りす。之を目(なづ)けて、主治鍼法を曰う。わ(分)けて
三卷と為す。一言半句と雖も、私(わたくし)の言(ことば)に
あらず。皆な醫學入門、十四經
發揮、鍼灸聚英、其の外諸家(しよけ)の
説をと(取)って、ぬ(抜)きが(書)きして、門
弟子(ていし)にしめ(示)す。懷中に秘して他見
することなかれと尒(しか)云(いう)。
 旹
延寶五丁巳歳孟夏良辰

  【注釋】
○シルシ:顕著である。効果がある。 ○尒:「爾」の異体字。 ○旹:「時」の異体字。 ○延寶五丁巳歳:一六七七年。 ○孟夏:夏季の第一月。旧暦四月。 ○良辰:吉日。

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