2010年12月17日金曜日

15-4 『鍼灸便覧』序

15-4『鍼灸便覧』序
     京都大学医学図書館富士川文庫所蔵『鍼灸便覧』(シ・532)
     オリエント出版社『臨床鍼灸古典全書』15所収
  一部、判読に自信なし。

  オモテ
鍼灸便覽序
有文于天。有理于地、有兪穴于人也。其物
雖異。其理則一矣。觀天文。而知災祥
禍福之所起。案地理。而識隘夷燥濕之
所在者。則將若審人之兪穴。而療五臓
之所患。四支之所病也。是人之尤所急。而
  ウラ
所以不可不知也。此篇雖簡。稽古銘
今。盡精窮微。略而不粗。詳而不繁。實
可謂鍼灸之龜鏡矣。刻已成。而需序
於余。遂題一言。書卷端爾
寛政十一年五月  東皐嚴


  【訓み下し】
  オモテ
鍼灸便覽序
文、天に有り、理、地に有り、兪穴、人に有り。其の物
異なると雖も、其の理は則ち一なり。天文を觀て、
災祥禍福の起こる所を知り、地理を案じて、隘夷燥濕の
在る所を識(し)る者は、則ち將に人の兪穴を審らかにして、五臓の患う所、
四支の病む所を療するが若(ごと)くせんとするなり。是れ、人の尤も急とする所、而して
  ウラ
知らざるべからざる所以なり。此の篇、簡と雖も、古(いにしえ)を稽(かんが)え
今に銘じ、精を盡くし微を窮(きわ)め、略にして粗ならず、詳にして繁ならず、實に
鍼灸の龜鏡と謂うべし。刻已に成り、而して序を余に需(もと)む。
遂に一言を題して、卷端に書するのみ
寛政十一年五月  東皐嚴  

  【注釋】
○隘:険しい。 ○夷:平らか。 ○急:重視する。 ○銘:忘れないように心に深く刻む。 ○龜鏡:亀鑑。模範。手本。 ○寛政十一年:一七九九年。 ○東皐嚴:未詳。
 書末に鈴木文強の「鍼灸便覧」という文があるが、これは『兪穴便覧』にある「兪穴便覧自叙」の「兪穴」を「鍼灸」に代え、「自叙」を削ったもので、同文。

 ※『兪穴便覧』と『鍼灸便覧』は、異名同書、外題換本。『兪穴』が先で、『鍼灸』が「兪穴」字を「鍼灸」に埋木したものか。
本文、『兪穴』十一葉表「五穴量法之圖(大字) 滑氏十四經曰」。『鍼灸』は、十一葉表に上記の文字なく、十一葉裏に「五穴量法之圖」とある。

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