2010年11月25日木曜日

10-2 經穴古今省略

10-2 經穴古今省略
     京都大学医学図書館富士川文庫所蔵『經穴古今省略』(ケ-11)
     オリエント出版社『臨床鍼灸古典全書』10所収

經穴古今省略序
此書北渚先生所著也雖有隧兪通考之在採索尤
多難臆誦矣故集口授之語充一軸一名經穴口義
蓋彼家最秘書名妄不語又藏之靈蘭可焉

読み下し
經穴古今省略序
此の書北渚先生著す所なり。『隧兪通考』の在る有りと雖も、採索尤も
多く、臆誦し難し。故に口授の語を集めて、一軸に充つ。一名、經穴口義。
蓋し彼の家の最も秘する書にして、名は妄りに語らず、又た之を靈蘭に藏して可なり。

【注釋】
○北渚先生:堀元厚(1686~1754)。元厚は山城国山科の人で、名は貞忠(さだただ)、号は北渚(ほくしょ)。味岡三伯(あじおかさんぱく)・小川朔庵(おがわさくあん)に学び、医名を馳せた。小曽戸洋『漢方典籍辞典』 ○隧兪通考:オリエント出版社『臨床鍼灸古典全書』9所収。全6巻。延享元(1744)年の掘正修(ほりまさなが)序、同年の自序、翌同2年の掘景山(ほりけいざん)(名正超[まさたつ])跋がある。衢昌栢(くしょうはく)(甫山[ほざん])との共著とされる。饗庭東庵(あえばとうあん)の『黄帝秘伝経脈発揮(こうていひでんけいみゃくはっき)』を基本資料に、諸説と自説を加えて成ったもの。巻1は総攷、巻2~4は正経八脈、巻5は奇経八脈、巻6は奇兪類集。元厚の経穴学に対する力量を示す書で、後世の日本経穴書に大きな影響を及ぼした。小曽戸洋『漢方典籍辞典』 ○臆誦:記憶し諳誦する。 ○軸:卷軸を数える単位。 ○靈蘭:黄帝の蔵書室の名。『素問』霊蘭秘典論:「黄帝乃擇吉日良兆、而藏靈蘭之室、以傳保焉」。

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