2017年8月4日金曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕07

四 中暑門 あつさにあたる 附り 霍乱 上(かみ)吐き下(しも)くだる
△凡(およそ)中暑の疾(やまい)汗(あせ)し下(くだす)べからず。但(ただ)熱を解(げ)し小便を利するを肝要とす。或〔アルイ〕は其(その)甚(はなは)だしきは、即ち死せんとす。忽(たちま)ち口禁じて語言(ものゆう)こと能(あた)はず。身体(シンタイ/からだ)反張(ハンチョウ/そりかえり)して四肢(てあし)動(うごか)ざるなり。此〔コノ〕時、芭豆(ばづ)も腹中に内(いるる)ことを得ず。瓜蔕(かてい)も咽(のど)に下(くだら)ざれは、倶(とも)に効(こう)なし。豈(あ)に艾火(きゅう)の尊(たっとき)ことを知らんや。急に両乳(りょうにゅう)の上(うえ)に灸すること七壮(ひ)、妙効あり。而(しこう)して後(のち)、其(その)【脉】虚微なれば、附子剤を施(ほどこす)べし。若(も)し弦芤なれば、桂枝・白朮(びゃくじゅつ)・猪苓(ちょれい)・沢瀉の類(るい)にて胃中を暖め、小便を利すべし。自然(しぜん)に身に熱(ねつ)しも
〔附り:つけたり。附録。〕
七オモテ
口の乾(かわき)も咽(のんど)の渇(かわき)も、小便の赤く渋り、大便の瀉(くだる)も止〔ヤミ/トマリ〕て治するなり。
○中暑霍乱にて、上(かみ)吐せず、下(しも)瀉せず、悶乱(モンラン/もだえみだれ)はなはだしく、胸腹(むねはら)大〔オオイ〕に疼(いた)んで苦楚(くるしみ)忍びがたきには、合谷・太冲(たいちゅう)・神闕に七壮(ななひ)づつ火を下(くだ)して、忽(たちま)ち差(いゆ)ること妙。
〔太冲:太衝におなじ。「たいちう」と「たいせう」のふりがなが混在する。〕
○又方、臍(へそ)の上(うえ)三寸に三壮(みひ)。三焦兪・合谷・太冲(たいちゅう)等(とう)に針して後(のち)、関衝に三稜針を入(いる)ること一部、血を出(いだ)せば立(たち)どころに差(いゆ)。
○転筋といふて筋(すち)動き攣(ひき)急(つり)、あるひは疼(いた)み、神(しん)にこたへ、或は上(かみ)吐(と)し下(しも)瀉(くだ)りて霍乱するには、先(まづ)急に委中・関衝を刺して血を出(いだ)すべし。しからざれは、転筋 腹に入(いり)て、心(しん)を衝(つき)、遂(つい)に死にいたるものなり。医忽(ゆるがせ)におもふべからす。
〔筋:原文は「筯」に見えるが、ふりがなに従って改めた。〕
七ウラ
○霍乱すべて心満(むねみち)て腹痛(はらいた)み、食を吐き腸鳴(ちょうなる)ものなり。中脘・内関・関衝より皆血を出(いだ)して効を奏(と)る。
○暴(にわか)に大便泄瀉(みずくだり)するには、間使の穴に灸すること七壮(ななひ)。若(も)し愈(いえ)ざれは、更に炷(すゆ)べし。
○霍乱にて已(すで)に死し、少(すこし)にても若(もし)暖(あたたま)りあるものは、承山を治(ぢ)すべし。此(この)承山の穴所(けつしょ)は、脚(あし)の腨腸(せんちょう)の中央に当(あたり)て分肉の間(あい)だ、脚跟(きびす)を去(さる)こと七寸にあり。是(これ)を起死(きし)の穴と名(なづ)けて、死人を起(いか)すの妙穴所(みょうけつしょ)なり。これに灸すること七壮(ななひ)。忽(たちま)ち蘇(いき)ること神(しん)のごとし。
○又方、塩(しお)を臍(へそ)の中(うち)に填(うづ)めて、其〔ソノ〕上に灸すること二十一壮(ひ)。および気海の穴に百壮(ひ)。奇効あり。

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