2017年8月13日日曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕14

十一 疝気門
△疝に種々(じゅしゅ)あれども、大抵寒熱の二種に差(わけ)て治(ぢ)すべし。
〔じゅしゅ:濁点の位置をあやまっている?「しゅじゅ」か?〕
○疝気忽(たちま)ち逆(のぼ)りて、大(おおい)に心腹(しんふく)を急(い)痛(た)め、悶(もだえ)苦(くるし)んで、呼吸(いき)通(とお)りがたきの急なるには、足の左右の甲根(つめのね)に、三稜針を入〔イル〕るること一部。血(ち)を取(とる)べし。大冲(たいしょう)・内太冲(ないたいしょう)に三壮(ひ)づつ、独陰に
十四ウラ
五壮(いつひ)。神効(しんこう)あり。
〔『鍼灸經驗方』陰疝・疝氣上衝、心腹急痛、呼吸不通:「太冲・內太冲・期門、三壯。獨陰、五壯。甲根鍼一分、灸三壯。內太冲、甲根穴、在於別穴中。鍼灸神效」。『鍼灸經驗方』別穴・內大衝:「在足太冲穴對內傍、隔大筋、陷中。舉足取之。主治疝氣上衝、呼吸不通。鍼(一分)灸(三壯。極妙)」。〕
○疝毒伏々然(ふくふくせん)として動気を発し、上脘よりして鳩尾に逆(のぼ)り、遂に胸(むね)を突(つい)て気(いき)促(だわ)しく、将(まさ)に死せんとするには、急に麪粉(メンフン/そうめんのこ)、水(みつ)に𩜍(ね)り、餅のごとくなし、臍(へそ)の四畔(ぐるり)に置き、炒塩(いりしお)を衠(かた)め、厚さ五部ばかりになし、灸すること百壮(ひ)より二百に至る。艾炷(もぐさ)の大(おおき)さ、小(ちいさ)き棗(なつめ)の核(たね)ほどに作るべし。微(すこ)し温(あた)たまるを以て度(と)とすべし。
〔・𩜍:おそらく「練」の異体字。・衠: 『康煕字典』「眞也,正也,不雜也」。意味からして、「填」「闐」(充塞、充滿)などの異体字か。〕
○陰頭(イントウ/へのこさき)痛(つう)には、太敦(たいとん)・太冲(たいしょう)・腎兪(じんゆ)・陰交(いんこう)に灸す。
〔『鍼灸經驗方』陰疝・陰頭痛:「太敦、太冲、腎兪、陰交」。〕
○陰戸(インコ/ぼぼ)痛(つう)には、曲泉・気衝を治(ぢ)すべし。陰(いり)腫(はれ)て挺(テイ/さね)出(シュツ)せば、曲泉・気衝・陰蹻・崑崙・太敦(たいとん)等(とう)に灸二十一壮(ひ)づつ。妙効(みょうこう)あり。
〔『鍼灸經驗方』陰疝・陰腫挺出:「曲泉・大敦・氣衝・獨陰・陰蹻・崑崙」。 /『諸病源候論』婦人雜病諸候:陰挺出下脫候:「胞絡傷損,子臟虛冷,氣下衝,則令陰挺出,謂之下脱。亦有因産而用力偃氣而陰下脫者。診其少陰脈浮動,浮則爲虛,動則為悸,故脫也」。子宮下垂・子宮脱。陰蹻は、おそらく交信の別名。
・「いり」は、「いれ」に見える(「り」の元の字「利」と「れ」の元の字「礼」からなるカナは似ている)が、意味が取れる「いり」と翻字した。いり(引っ込んだ奥の所)は、陰部を指すと解した。〕
△疝の病(やまい)、十(じゅう)に七八は寒(かん)に属す。烏頭(うづ)・附子(ぶし)・桂支(けいし)・羗活(きょうかつ)の類(るい)、能(よく)治(ぢ)す。針灸(しんきゅう)は、其(その)間(あいだ)に突出して効(こう)を奏(と)る。

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