2017年8月30日水曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕22

十九 咽喉(インコウ/のど)門
二十八ウラ
△夫(それ)咽(いん)は物(もの)を嚥(のみ)、喉(こう)は気を候(うか)がふ。気喉・穀咽とは是也(これなり)。若し熱府の寒冷なる則(とき)は、咽門(のど)破れて声嘶(かる)るなり。
〔清 陳修園『醫學實在易』卷四 傷寒條 附引三條:「咽者、咽也,喉者、候也。咽接三脘以通胃,故以之咽物;喉通五臟以系肺,故以之候氣。氣喉,穀咽,皎然明白。《千金》謂︰喉嚨主通利水穀之道,咽門主通臟腑津液神氣,誤也。 喉以納氣,故曰喉主天氣,咽以納食,故曰咽主地氣」。
『備急千金要方』卷十二膽腑方・咽門論第三:「若臟熱則咽門閉而氣塞、若腑寒則咽門破而聲嘶」。
・「熱府」難解。風門(BL12)穴の別名ではなかろう。『備急千金要方』によれば、脱文あるを疑う。〕
○咽(の)喉(ど)腫(はれ)ずして、熱塞(ネツソク/ねつしふさぐ)し、呑(のみ)飲(もの)鼻(はな)より還(かえ)り出(いづ)るには、然谷・合谷、幷(ならび)に久しく針(はり)を留(とど)めて、即ち瀉(しゃす)べし。
〔『鍼灸經驗方』咽喉・咽喉不腫而熱塞吞飲從鼻還出:「久不愈、然谷・合谷、并久留針、即瀉」。〕
○喉(のど)腫(はれ)て胸(むね)脇(わき)の下(した)、支(ささえ)満(みつ)るには、中渚・絶骨・内関・合谷・神門・尺沢、皆(みな)倶(とも)に針(はり)して効(こう)あり。
〔・胸脇支滿:病證名。指胸及脅肋部支撐(つっぱる/ささえる)脹滿。《素問·繆刺論》:“邪客於足少陰之絡,令人卒心痛,暴脹,胸脇支滿” 。
〔『鍼灸經驗方』咽喉・喉痛胸脇支滿:「尺澤・太谿・神門・合谷・內關・中渚・絕骨」。〕
○単蛾(タンガ/かたじろ)には、天窓の穴(けつ)。頸(うなじ)の大筋(おおすじ)の前(まえ)、曲頰(まかりぼう)の端(は)し、陥(くぼか)なる中(なか)なり。針(はり)を以(もっ)て湥〔深〕く患(うれ)ふあたりの喉(のど)の内(うち)に刺(さす)こと一二寸ばかりに至る。暫(しばらく)して即ち出す。神効あり。
〔『鍼灸經驗方』咽喉・單蛾:「天窗穴在頸大筋前曲頰端一陷中。以針深刺患邊一二寸許、至喉內當處、而後即出。旋使病人吞涎無碍神效」。
・單蛾:病證名。見《儒門事親》。《景岳全書》卷二十八:「喉蛾腫於一邊者為單蛾,此其形必圓突如珠」。詳乳蛾條。
・乳蛾:喉蛾。扁桃体炎。以咽喉兩側喉核(即顎扁桃體)紅腫疼痛,形似乳頭,狀如蠶蛾為主要症狀的喉病。發生於一側的稱單乳蛾,雙側的稱雙乳蛾。乳蛾多由外感風熱,侵襲於肺,上逆搏結於喉核;或平素過食辛辣炙煿之品,脾胃蘊熱,熱毒上攻喉核;或溫熱病後餘邪未清,藏府虛損,虛火上炎等引起。
・「かたじろ」:乳蛾では、時に白っぽい点があらわれるので、漢字で書けば「片白」であろう。 〕
○双(ソウ/りょう)蛾(が)には、天窓・尺沢・神門・下(しも)三里・太谿、幷(なら)びに針(はり)すべし。少商及び大(おお)拇(ゆび)の爪の甲(こう)の後(うしろ)根(ね)に
二十九オモテ
三稜針を刺(さす)こと三次(みたび)。若し病(やまい)急ならば、一日(いちじつ)に再び針(はり)す。大(おおい)に妙(みょう)。
〔『鍼灸經驗方』咽喉・雙蛾:「天窗・尺澤・神門・下三里・大谿、并針。少商及大拇指爪甲後根、排刺三針。○如病急、一日再針。神效」。〕
○一切の実火にて咽(のど)腫れ痛(いたむ)ときは、其(その)疼(いたむ)処(ところ)に針(はり)して幾(いく)たびも瀉(しゃ)すべし。
○喉痺腫(はれ)疼(いたみ)て言(もの)語(いう)ことならざるには、三稜針にて挑(かか)げ破り、血(ち)を出(いだ)すべし。腫(はるれ)は破り、痛(いた)まは針(はり)して数々(しばしば)血(ち)を取(とる)べし。

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