2017年8月15日火曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕16

十三 頭痛(づつう)門
△凡(およそ)頭痛を治(ぢ)せんと欲(ほつ)せば、手足の諸(しょ)陽経を刺(さす)べし。針(はり)は気を引(ひく)に功(こう)あればなり。譬(たとえ)ば湯(ゆ)の沸(わく)を止(とど)むるは、釜下(かまのした)の薪(たきぎ)を抽(ひく)がごとく。然れども痰厥(たんのぼせ)の頭痛のごときは、気を引(ひく)ことあたはず。必ず頭部の穴(けつ)に灸すべし。即ち能(よく)痊(いゆ)るものなり。何(いか)んとなれば、艾(もぐさ)の性(せい)は熱するものゆゑ、之(これ)に灸するときは、其(その)熱をして発散せしむなり。或(あるい)は寒(かん)ずるものに灸を施すときは、其(その)寒(かん)をして温め和(か)すればなり。又(また)諸(しょ)陽経を瀉せんと欲(ほっ)する則(とき)は、先(まづ)百会の穴(けつ)に針(はり)して、必ず諸(しょ)陽
十六ウラ~十九
の熱気を引(ひき)て下(くだる)に行〔イカ〕しむものなり。譬(たとえ)ば硯滴(みづいれ)の上孔(うわあな)を開(ひらく)がごとし。然(しかれ)ども熱極めて、気を下(くだ)すこと能(あたわ)ざるものあり。即ち三稜針を以て其〔ソノ〕頭部の血絡(ケツラク/ちすぢ)を刺して血(ち)を棄(すつ)ること、糞(ふん)のごとくすれば、神効(しんこう)あり。
〔硯滴:すずりの水入れ。水差し。通常、そそぎ穴と空気穴(上孔)の二穴あり。〕
△頭痛、其〔ソノ〕因〔ヨッorヨリ〕て来するところ多端(タタン/はしおおく)なれば、一一挙(あげ)て諭(さと)しがたし。大抵は、承満・梁門・関門を幾(いく)たびも針(はり)し瀉して、効(こう)あり。唯(たた)其(その)頭痛するところの経を考(かんが)へ、前後左右に随(したが)ふて、手足の経穴を刺(さす)べし。

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