2017年8月17日木曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕18

十五 腹脇(ふくきょう)門
△夫(それ)脇腹(わきはら)の痛(いたみ)患(うれう)るや、種々(しゅじゅ)あり。実(じつ)痛(いたむ)のものは、腹(はら)硬満(コウマン/かたく)にして、按(お)して疼(いたむ)ぞ。死血(しけつ)は、脇下(きょうか)に引き痛(いた)む。声(こえ)なせば痰(たん)、乍(たちま)ち痛(いた)み乍(たちま)ち止〔ヤム〕は熱、綿々(めんめん)として増減なきは寒なり。宿食(しゅくしょく)は大(おおい)に腹痛(ふくつう)すれども、瀉して後(のち)に痛(いた)み減(げん)ず。虫(むし)積(しゃく)は痛(いたみ)
二十二オモテ
甚(はなはだ)しといへども、食するときは則(すなわち)止(や)む。飢(うゆる)ときは痛む。左(ひだり)の脇(わき)に塊(かたまり)ありて、痛(いた)む処(ところ)を移(うつさ)ざるは死血、右(み)脇(ぎ)は塊(かたまり)あるとも多くは食積(しょくしゃく)なり。治法(ちほう)は一概(いちがい)しかたしといへども、一二を載(のす)ぞ。
○胃脘痛(いたむ)には、肝兪(かんのゆ)・脾兪(ひのゆ)・下(しも)三里・胸兪(きょうのゆ)・太冲(たいしょう)・独陰、両乳(りょうち)の下(した)各々(おのおの)一寸に灸二十一壮(ひ)。
〔『鍼灸經驗方』腹脇:胃脘痛:「肝兪・脾兪・下三里・膈兪・大冲・獨陰・兩乳下各一寸、灸二十壯」。したがって、「胸兪」は「膈兪」の誤り。灸壮については、偶数である『鍼灸経験方』の方に、問題があるか。〕
○冷物(れいぶつ)と熱物(ねつぶつ)と調和(チョウワ/ととのわず)せずして、臍(へそ)を遶(めぐ)り、疼(いたみ)絞(しぶ)るには、天枢に一百壮。気海に二十一壮。即効(そくこう)あり。
〔『鍼灸經驗方』腹脇:冷熱不調繞臍攻注疼痛:「氣海、三七壯。天樞、百壯。大腸兪、三壯。大谿、三壯」。「ととのわず」は「調和せず」の訓と理解するのだろう。「しぶる」は「しぼる」のあやまりか。〕
○腹(はら)大(おおい)に脹(は)り堅くして身悶(みもだえ)し、臍(へそ)及び小肚(こばら)筋(すぢ)ばり堅きは、水分・中極に各々(おのおの)百壮(ひ)。腎兪(じんのゆ)に年の壮。太冲(たいしょう)・三陰交・中脘等(とう)に毫鍼(コウシン/ほそきはり)すべし。
〔『鍼灸經驗方』腹脇:腹脹堅小腹亦堅:「水分・中極、各百壯。三焦兪・膈兪、各三壯。腎兪以年壯。大谿・大冲・三陰交・脾兪・中脘、針」。〕
○腹脇(ふくきょう)手足(てあし)脊(せなか)、諸処(しょしょ)へ流注(リュウチュウ/ながれそそぐ)して、其(その)痛(いたみ)刺(さす)がごとく、忍(しのぶ)べからざるあり。皆(みな)瘀血の清血(せいけつ)に誘引(さそわれ)て
二十二ウラ
流れ注ぎ、暫く所(ところ)を定(さだめ)て、輙(すなわ)ち移り更(かわ)るなり。宜しく三稜針を用(もちい)て、其(その)痛む所々(ところところ)に随(したがい)て刺(さす)こと四五穴。血(ち)を取(とり)捨(すつ)ること糞(ふん)のごとくすべし。神効あり。
〔『鍼灸經驗方』腹脇:腹脇及諸處流注刺痛不可忍:「用體長缸、而缸口以手三指容入、乃能毒也。隨其痛、每一處以三稜針刺四五穴、幷入缸口內、付缸灸七次、隨痛隨針、亦付缸灸累次、神效」。〕

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