2017年9月7日木曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕29

蒜(にら)灸の法
〔ニラのどの部分を使うのか?「蒜」は、ニンニクである。ニラ=ニンニクなのだろうか?〕
蒜(にら)を隔てて灸する法は、其(その)腫毒大(おおい)に痛(いたみ)、あるひは痛(いたま)ず、麻木(マボク/しびれ)するに、先(まづ)湿紙(シツシ/うるおうかみ)を以て、其(その)腫物(しゅもつ)の上を覆(おお)ひ、其(その)乾く処を候(うか)がふ。乃ち是(これ)腫頭(はれかしら)なり。即ち蒜(にら)を片(へん)となし、厚さ三分ばかりにし、腫物(しゅもつ)の上(うえ)に置き、之に灸すること五炷(いつひ)にして、蒜(にら)を更(か)へ数々(しばしば)炷(すゆ)べし。初め灸して疼(いたむ)は、灸して痛(いたま)ざるに至
下八ウラ
る。初(はじめ)灸して痛(いたま)ざるは、灸して痛(いたむ)に至る。此(これ)則ち鬱毒を引(ひく)の法なり。且(かつ)回生の功(こう)あればなり。若し腫(しゅ)色(しょく)白(しろく)して、膿(うみ)を作(なさ)ざれは、日期(ニチキ/ひのかぎり)を問(とわ)ず、宜(よろし)く多(おおく)灸すべし。若(もし)腫物(しゅもつ)大(おおい)なるは、蒜(にら)を搗(つき)ただらし、患(うれうる)ところに鋪(し)き、艾(もぐさ)を置(おき)て灸するなり。
  〔・ただらす:ただらかす。爛れるようにする。ただれさす。〕
〔『醫說』鍼灸22  ●蒜灸癰疽
凡人初覺發背、欲結未結、赤熱腫痛、先以濕紙覆其上、立視候之、其紙先乾處、則是結癰頭也。取大蒜切成片、如當三錢厚薄安其頭上、用大艾炷灸之三壯、即換一片蒜、痛者灸至不痛、不痛者灸至痛時方住、最要早覺早灸爲上、一日二日、十灸十活、三日四日六七活、五六日三四活、過七日不可灸矣。若有十數頭、作一處生者、即用大蒜研成膏、作薄餅鋪頭上、聚艾於蒜餅上燒之、亦能活也。若背上初發、赤腫一片、中間有一粟米大頭子、便用獨頭蒜切去兩頭、取中間半寸厚薄、正安於瘡上、却用艾於蒜上灸二七壯、多至四十九壯。(江寧府紫極觀因掘得石碑載之)
凡そ人の初めて背に發し、結ばんと欲して未だ結ばず、赤熱腫痛を覺ゆれば、先づ濕紙を以て其の上を覆い、立ちどころに之れを視候す。其の紙 先づ乾く處は、則ち是れ結癰の頭なり。大蒜を取り、切りて片と成す。三錢に當たる厚さの如く薄くし、其の頭上に安んず。大艾炷を用いて之れに灸すること三壯にして、即ち一片の蒜を換え、痛む者は痛まざるに至るまで灸し、痛まざる者は痛むに至る時まで灸して方(まさ)に住(や)む。最も要なるは、早く覺え、早く灸するを上と爲す。一日二日ならば、十灸して十活す。三日四日ならば六七活す。五六日ならば三四活す。七日を過ぐれば灸すべからず。若し十數頭有り、一處に生ずるを作す者は、即ち大蒜を用い、研して膏と成し、薄餅を作り、頭上に鋪す。艾を蒜餅の上に聚め之れを燒く。亦た能く活するなり。若し背上に初めて赤腫一片を發し、中間に一粟米大の頭子有らば、便ち獨頭の蒜を用いる。切りて兩頭を去り、中間の半寸の厚薄を取り、正に瘡上に安んず。却て艾を蒜の上に用い、灸すること二七壯、多くは四十九壯に至る。(江寧府の紫極觀に掘りて得たる石碑に因りて之れを載す)〕

0 件のコメント:

コメントを投稿