2017年9月23日土曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕45

廿二 五癇門
△夫(それ)急驚風は風(かぜ)に因(よつ)て作(おこ)る。或(あるひ)は禽獣雞犬の声(こえ)を聞(きき)て作(おこ)る。口(くち)涎(よだ)れを生じ、一身搐搦(チクデキ/ひきつり)し、身口(しんこう)皆熱し、其(その)発(おこ)るや暴烈(ホウレツ/にわかはげし)し、惺(さめ)て後(のち)、旧(もと)のごとし。
下十九オモテ
慢驚風は大病(たいびょう)の余(あまり)、或(あるい)は大(たい)吐(ト/はく)の余に発するものなり。内(うち)大(おおい)に虚乏(きょほう)し、其(その)身口鼻(しんくひ)の気出(いつ)れとも、皆冷(ひえ)、時々(おりおり)瘈瘲(けいちゅう)す。或(あるひ)は昏睡(コンスイ/よくねいり)して睛(ひとみ)を露(あハらす)の類(たぐ)ひなり。
〔・あハらす:「あらハす(あらわす)」の誤りであろう。〕
右(みぎ)急慢驚の両症ともに気絶するものは、先(まつ)大衝の脉を胗(みる)に、絶(たえ)ざるものは必(かならず)治(ち)すべきなり。
○其(その)治方(ちほう)には百会に三壮(ひ)灸す。或(あるい)は両乳(りょうち)の頭(かしら)に五壮、背(せなか)の第(たい)二椎(すい)と五椎とに灸七壮(ひ)。或(あるい)は臍(へそ)の中(うち)に百壮(ひ)。神効あり。
〔・椎:繰り返しになるが、原文は「推」。〕
△医多くは大炷(だいちゅう)を以て灸壮(きゅうかず)を多くせず、僅(わづか)に十四五壮(ひ)にして止(やむ)。曰く不治(ふぢ)なりとす。歎すべし。予(よ)往々是(この)症(やまい)に遘(あう)ことに、先(まつ)太衝の脉を胗(しん)して未(いまだ)絶(たえ)ざるものは、肝兪(かんのゆ)・鬼眼(きかん)・神庭・百会
下十九オモテ
等(とう)に灸し、後(のち)に神闕に灸す。五十壮(ひ)より百壮(ひ)二百壮にいたりて輒(すな)はち効を奏することあり。
△案(あんず)るに、火気(かき)神(しん)に徹せずんは験(しるし)なし。神(しん)を補ふに火気を以てす。火気能(よく)生(せい)を回(かえ)す。神(しん)また火気を得て盛(さかん)なり。効(こう)あるかな。艾火(がいか)の神(しん)を殷(さかん)にし、病(やまい)を減ず。孟軻の曰く、三年の病に七年(しちねん)の艾(もぐさ)を用ゆ、と。若(もし)之(これ)に拠(よら)ば、よく治(ぢ)せざるもの疾(やま)ひならん乎(か)。
〔『孟子』離婁上:「今之欲王者,猶七年之病求三年之艾也」。覚え違いか、意図的な改変か。〕
  馬癇には、金門・神門・臍中に三壮(ひ)。
  羊癇には、大椎(たいずい)に三壮、第九椎(たいぐずい)の下(しも)に三壮。
  牛癇には、鳩尾に五壮、三陰交・大椎を治(ぢ)す。
下二十オモテ
  雞癇には、百会・間使・絶骨・申脈七壮。
  犬癇には、労宮・申脈に各(おのおの)一壮づつ。
  猪癇には、太淵・巨闕・絶骨に三壮。
  食癇には、鳩尾の上五分に三壮、三陰交。
〔『千金要方』卷五上・候癇法・灸法:「馬癇之為病,張口搖頭,馬鴻(鳴?)欲反折,灸項風府・臍中二壯,病在腹中,燒馬蹄末,服之良。
牛癇之為病,日(目?)正直視腹脹,灸鳩尾骨及大椎各二壯,燒牛蹄末,服之良。
羊癇之為病,喜揚日(目?)吐舌,灸大椎上三壯。
猪癇之為病,喜吐沫,灸完骨兩傍各一寸七壯。
犬癇之為病,手屈拳攣,灸兩手心一壯,灸足大陽一壯,灸肋戸一壯。(肋戸は未詳)
雞癇之為病,搖頭反折,喜驚自搖,灸足諸陽各三壯。/右六畜癇證候。」〕

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