2017年9月24日日曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕46

廿三 婦人門
婦人多くは血病なり。経水(けいすい)期(ご)なくして来(きたる)ものは、血(けつ)虚して熱あるものなり。経水来(きたら)んとするに痛(いたみ)を作(なす)ものは、血(けつ)実して気の滞るなり。
○婦人月水(がつすい)調はず、或(あるい)は小産の後(のち)帯下(タイゲ/しらち)腹痛、口乾き発熱(ほつねつ)し大腸(だいちょう)調はず、時々(よりより)血(ち)を下し、久しく懐(はら)孕(ま)ざるには、石門に七壮より百壮に至

下二十ウラ
る。曲泉に三十壮。奇効あり。
〔・小産:流産。〕
○女子(にょし)十五六歳にして経水(けいすい)行(ゆか)ず、日夜寒熱往来し、手足痺れ、食進(すすま)ず、頭痛、心(むね)悪(あし)く嘔吐(オウド/えづきはき)し、腹中塊(かい)ありて否(つか)へ痛(いたむ)には、天枢に百壮、章門・大腸兪(だいちょうゆ)・曲泉・曲池、臍(へそ)に対する背骨(せほね)の上(うえ)に二十一壮灸す。即効あり。
○陰挺(いんでい)の出(いづ)るには、照海・太敦(だいとん)・太谿・陰蹻・曲骨・曲泉に三壮。
〔・陰蹻:照海があるので、陰蹻脈の郄穴である交信穴の別名であろう。〕
○血塊ありて月事(つきのもの)調はざるには、関元・間使・陰蹻・天枢、皆針して奇効あり。
○臍下(ほそのした)に冷疝ありて時々(ときとき)痛(いたむ)には、気海・独陰・陰交・太冲(たいしょう)に灸すること百壮より二百壮。
○赤白(しゃくびゃく)の帯下(たいげ)には、曲骨に七壮。太冲(たいしょう)・関元・復溜・三陰交・天枢に一百壮灸す。
○月経(つきのもの)の通ぜざる
下二十一オモテ
には、合谷・陰交・血海・気衝に針すべし。
○血淋には、丹田に七壮より一百壮に至る。
〔・血淋:淋證以尿血或尿中俠血為主要症候者。 《諸病源候論·淋病諸候》:“血淋者,是熱淋之甚者,則尿血,謂之血淋。”〕
○淋瀝(リンレキ/しょうべんしただり)には、照海・曲泉・小腸兪(しょうちょうゆ)、皆針して神効あり。
○悪血(おけつ)にて腹痛するには、石門に十四壮より百壮に至る。陰都、巨闕(きょけつ)を挟(さしはさ)むこと一寸五ア〔=部=ぶ=分〕にして、下(しも)の二寸に直(なお)る。灸三壮、針を禁ずべし。一度針せば身を終(おわる)まで子なし。四満は臍(へそ)の傍(かたわら)を挟(さしはさ)むこと五分にあり、下(しも)の二寸直(なお)る。灸三壮、神効あり。
〔『鍼灸經驗方』婦人・胞中惡血痛:「石門二七壯至百壯。陰都挾巨闕一寸五分、直下二寸。三壯。禁鍼、鍼之、終身無子。四滿、在挾臍傍五分、直下二寸、三壯」。〕
〔・黄龍祥『中国鍼灸史図鑑』第貳編「明堂与経絡」の結語は、腹部穴の正中線から各経までの距離について、「現存する鍼灸文献や鍼灸図には,腹部穴の正中線から各経までの距離には,以下の五種類がある」として、
①腎経は半寸,胃経は一寸半,脾経は三寸半。
②上腹部の腎経と胃経は各一寸半,下腹部の腎経と胃経は各一寸。脾経は四寸半。
③腎経・胃経・脾経,各一寸半。
④上腹部では各一寸半。下腹部では腎経は五分,胃経は二寸,脾経は四寸半。
⑤上腹部では腎経は半寸,胃経は二寸。下腹部では腎経は一寸半,胃経は二寸。
をあげている。このうち、④にあたるものとしては、韓国にある銅人形をあげるのみで、書籍の存在はあげられていない。『鍼灸經驗方』は、ここで、腎経で上腹部にある陰都を正中線から一寸五分、下腹部にある四満を正中線から五分とするので、④の例に合致する。〕
○乳癰には騎竹馬の穴(けつ)に灸して妙効。
○乳(ちち)の汁なきには亶中に七壮より五十壮に至る。妙とす。是(この)穴処は針を禁ず。
○陰中乾き痛(いたみ)て陰陽を合(ごう)すること能はざるには、曲骨に五十壮、奇効あり。
〔・陰陽を合する:性交する。〕
下二十一ウラ
○小便より血交(まじ)り出(いづ)るには、膈兪(かくゆ)に針すること三分、留むこと七呼(なないき)、灸三壮。
○月事(つきのもの)断(たえ)ざれは、陰蹻に三壮。陰交に百壮。

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