2017年9月21日木曜日

仮名読十四経治方 〔翻字〕43

二十 四花の穴法
第二穴は、先(まづ)患人(びょうにん)を平身(まつすぐ)に正(ただ)しく立(たた)し、蝋縄(もとゆい)を以て、男は左り女は右の足の大(おお)拇(ゆ)指(び)の端(はし)に縄の頭(はし)を当(あて)て、足の掌(うら)に循(まわ)し、後(うしろ)に向(むか)はしめ、膝の膕(かがま)りの所、大(おお)横紋(よこすじ)に至りて截(きり)断(たち)、偖(さて)患人(びょうにん)の髪を解き、両辺(りょうほう)へ分(わけ)、平身(ますぐ)に正(ただ)しく坐せしめ、彼(かの)足を量りし縄を鼻の尖(とがり)の上(うえ)にあて、指にて按(おさ)へしめ、縄を引(ひき)て上(うえ)に向(むか)ひ
〔・第二穴:『鍼灸経験方』によれば「第一の二穴」の誤り。〕
下十四オモテ
頭(かしら)の正(まん)中(なか)、皮に循(そ)ふて脳後に至り、肉に付(つい)て垂れ下(くだ)し、背骨(せぼね)の正(まん)中(なか)に当て、縄の端(はし)の竭(つくる)処に記(しる)しを附(つ)け、卻(さ)て、病者の口を微(すこ)しく合(あい)さしめ、短き蝋縄(もとゆい)を以て口の左(ひだり)の角(かと)より上(うえ)へ唇の吻(ふち)に循(そう)て鼻の根に至り、斜(ななめ)に下(くだ)し、口の角(かど)に至るなり。
★〔顔面の絵あり。原本参照〕是(かく)の如くなして、截(きり)断(たち)、此(この)縄(なわ)を展(の)べ、中(ちゅう)を摺(お)り、墨(すみ)にて記(しる)し、先(さき)に記(き)したる背中の骨の上(うえ)に圧(お)し当て、墨(すみ)と記(すみ)とを合(あわ)せ、横に左右へ𤄃(ひら)き、平(たいら)かにして、高下(こうげ)もなく縄の両頭(りょうはし)の竭(つくる)ところ、墨にて記(しる)すべし。〔穴/灸〕(きゅうけつ)なり。
〔・「穴偏に灸」という字は、撰者が『鍼灸経験方』にある「灸穴」ということばから作った文字のようである。〕
〔『鍼灸經驗方』四花穴・治勞瘵症:「第一次二穴、先令患人平身正立、取一細蠟繩、勿令展縮、以繩頭於男左女右足大拇指端、比齊循足掌向後、至曲䐐大橫紋截斷、令患人解髮分兩邊、要見頭縫至腦後、又令患人平身正坐、將先比繩子一頭、於鼻尖上按定、引繩向上、循頭縫、至腦後、貼肉垂下、當脊骨正中、繩頭盡處、以墨點記之(是非灸穴。○或婦人纏足不明者、當於右肓穴、點定、以繩頭按其穴上、伸手引繩向下、至手中指盡處、截斷而用。男子之足不明者、亦佳)。卻令患人微合口、以短繩一頭、自口左角按定、鉤起繩子、向上至鼻根斜下、至口右角作△、此樣截斷、將此繩展、令摺中、墨記將繩墨點、壓於脊骨上先點處、而橫布左右取平、勿令高下、繩兩頭盡處、以墨圈記(此則灸穴) 」。〕
第次(だいじ)の二穴は、病人を平身(ますぐ)に正(ただ)しく座せしめ、両肩を脱(ぬが)
下十四ウラ
し、蝋縄(もとゆい)を以て項(うなじ)を繞(まと)はし、前に向(むか)ひて、双(ふた)筋(すじ)にし、垂(たれ)下(くだ)し、鳩尾の尖りと斉(ひと)しくなし、即ち双(なら)べ截(き)る。是(この)縄の中心(まんなか)を喉(のど)の結骨(けつこつ)の上(うえ)に着(つけ)て、縄の両頭(りょうはし)を引(ひき)て後(うしろ)へ向へ、背骨(せこつ)の正中(まんなか)に当(あた)て、縄の端(はし)の尽(つく)るところ、墨にて記(しる)す。卻(さ)て病者をして口を合(あわ)さしめ、短かき蝋縄(もとゆい)を以て横に口の両吻(りょうはし)を一文字(いちもんじ)の如く截(きり)取る。中(なか)より摺(お)り、墨にて記(しる)し、背骨(せほね)の上(うえ)の前(まえ)に点する所に推(おし)あてて、前(まえ)のことく横に両端(りょうはし)の尽(つくる)ところに墨にて記(しる)す。是(これ)四穴を共に同時に灸各々七壮より十五壮に至り、百壮にいたる。或(あるい)は百五十壮。神効あり。
〔・当(あた)て:「当(あて)て」の誤りであろう。/・是(これ)四穴:「是(この)四穴」の誤りか。〕
下十五オモテ
灸瘡(きゅうそう)初(はじめ)て発(おこ)るときを候(うかが)ふて、後の法に依(より)て又二穴に灸すへし。
〔『鍼灸經驗方』四花穴・治勞瘵症:「二次二穴、令患人平身正坐、稍縮肩膊、取一蠟繩、繞項向前雙垂、與鳩尾尖齊(鳩尾是心弊骨也。人無心弊骨者、從胸前岐骨下、量取一寸、是鳩尾穴也)、即雙截斷、將其繩之中心、着於喉嚨結骨上、引繩兩端向後、會於脊骨正中、繩頭盡處、以墨記之(是則非灸穴也)。卻令患人合口、以短蠟繩、橫量口兩吻、如一字樣截斷、中摺墨記、壓於脊骨上先點處、如前橫布、繩子兩頭盡處、以墨記之(上是四花穴之橫二穴也)。以上第二次點穴、通共四穴、同時灸各七壯、至二七壯、至百壯、或一百五十壯、為妙。候灸瘡初發時、依後法、又灸二穴」。〕
」。〕
第三の二穴は、第次の口を量る一文字の縄を中(なか)より摺(お)り、墨にて記(しる)し、第次の背骨(せぼね)の上(うえ)へ正中(まんなか)に推(おし)あてて、上下に𤄃(ひら)き、縄の端(は)し上下尽(つく)るところ、墨にて記(しる)す。是(これ)四花の穴より灸すること各々百壮。第三ともに六穴也(なり)。日輪(にちりん)の火(ひ)を取(とり)て、是(これ)に灸すること奇効あり。尤(はなはだ)妙とす。百日の中(うち)、飲食房労を慎み身を静かなる処に置(おき)て心を安(やす)んじ、三十日の後(のち)尚(なお)いまだ愈(いえ)ざるを覚(おぼう)ときは、復(また)初(はじめ)の灸穴に再(ふたたび)灸す。
〔『鍼灸經驗方』四花穴・治勞瘵症:「三次二穴、以第二次量口吻如一字樣短繩、中摺之墨記、壓於第二次脊點上正中、上下直放、繩頭上下盡處、以墨點記之(此四花穴之上下二穴也)。已上第三次點穴、謂之四花穴也。灸兩穴各百壯、三次共六穴、取火日灸之、百日內慎飲食房勞、安心靜處、將息一月後、仍覺未瘥、復於初灸穴上再灸」。〕

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