2025年7月22日火曜日

『歷代名醫蒙求』046-2

    名醫録何伯通池州銅陵人有女數歳項

    生癧子三十箇名醫治之不差有草澤醫

    人陳遂云此小娘子定是多要喫隔宿物

    夜閒老䑕見食物蓋推揭不起乃沿椀噐 

    走思此食物淚落椀噐中若人食之害瘰

    

    癧或曰乆病漏損人須斑猫等醫治之即

    愈可䑕懼猫也      

    

  【訓み下し】046-2

    『名醫錄』:何伯通,池州銅陵の人なり。女(むすめ)有り,數歲にして項に癧子を生ずること三十箇,名醫 之を治すも差(い)えず。草澤の醫人陳遂有り,云う,「此の小娘子 定めて是れ多く要(かなら)ず隔宿の物を喫(くら)えり。夜閒 老(いえ)鼠 食い物を見るも,蓋(ふた)推し揭げて起(もちだ)せず。乃ち椀器に沿って走る。此の食い物を思い,淚 椀器の中に落つ。若し人 之を食らわば,瘰癧に害されん」。或るひと曰わく,「久しき病は人を漏損す。斑猫等を須(もち)いて之を醫治せば,即ち愈(い)可(え)ん。鼠は猫を懼るればなり」。


  【注釋】046-2

 ○名醫録:008を参照。 ○池州:唐置。尋廢。後復置。改曰秋浦郡。尋復曰池州。宋曰池州池陽郡。元爲池州路。明曰池州府。清因之。民國廢府。故治卽今安徽貴池縣。 ○銅陵:南朝宋置龍潭縣。隋改爲銅陵。以界内有銅山也。宋省。故治在今廣東陽春縣北八十里。⦿漢陵陽春穀二縣地。三國呉春穀縣地。梁爲南陵縣地。唐末分南陵縣置義安縣。尋廢。五代南唐置銅陵縣。清屬安徽池州府。民國初屬安徽蕪湖道。 ○女:女兒。 ○歳:「歲」の異体字。 ○癧子:瘰癧。古代稱頸項間的淋巴結核症為「瘰癧」。患部會出現緩慢的化膿性膿疱與瘻管。 ○差:病癒。通「瘥」。 ○草澤:低窪積水野草叢生的地帶。荒野、窮僻之地。亦指鄉野民間。/亦指荒郊。草野;民間。/草澤醫:江湖醫生。 ○小娘子:少女的通稱。用以稱他人之女;亦以稱己女 ○定:必然。 ○隔宿:相隔一夜。【隔宿糧】第二天吃的糧食〔次の日に食べる食糧〕,存糧。 ○物:ここでは,前日の残り物か。 ○閒:「間」の異体字。 ○老䑕:鼠的通稱。一般指家鼠而言。/䑕:「鼠」の異体字。 ○蓋:有覆蓋功能的東西。 ○推:用力往前或往外移動物體。除去。 ○揭:舉、高舉。 ○不起:不肯起來;不能起來。用在動詞後面,表示力量夠不上。/起:取出。 ○椀:「碗」の異体字。盛飲食的器皿。 ○噐:「器」の異体字。用具的總稱。 ○瘰癧:病名。古代稱頸項間的淋巴結核症為「瘰癧」。患部會出現緩慢的化膿性膿疱與瘻管。 ○乆:「久」の異体字。 ○漏損:指某种物质或能量的损失或流失。 ○須:用。 ○斑猫:斑貓。斑蝥的別名。虎甲蟲的別名。昆蟲名,有黑色硬殼,腿細長,鞘翅上有黃黑色斑紋,能飛,可入藥。明代大醫學家李時珍在《本草綱目》巨著中稱斑蝥性味辛、寒有大毒,有主治寒熱、鬼疰盅毒、鼠瘺、瘡疽、蝕死肌、破石癃、血積、傷人肌、治疥癬、墮胎、治瘰癧、通利水道、療淋疾、傅惡瘡瘺爛、治疝、解癤毒,治狂犬病等功效。/猫:「貓」の異体字。 ○可:病癒、痊癒。《董西廂》卷五:「鍼灸沒靈驗,醫療難痊可。」           


識典古籍*******************************************************

《名醫錄》:何伯通,池州銅陵人。有女數歲,項生癧子三十箇,名醫治之不差。

    【AI譯文】

《名医录》记载:何伯通,池州铜陵人。有个才几岁的小女孩,脖子上长了三十个瘰疬,有名的医生治疗她都没有治愈。

    【AI 1】『名医録』によれば、何伯通は池州銅陵の出身である。あるとき、まだ幼い少女の首に三十もの瘰疬(リンパ腺の病変)ができ、有名な医師たちが治療を試みたものの、誰も治すことができなかった。

    【AI 2】『名医録』によると、何伯通(かはくつう)は池州の銅陵の出身である。ある年若い少女がいたが、年はほんの数歳で、首に三十個もの瘰疬(るいれき:リンパ節の腫れ、結核性の病変)ができてしまっていた。名のある医者たちが治療を試みたものの、誰も治すことができなかった。

有草澤醫人陳遂云:“此小娘子定是多要喫隔宿物,夜閒老鼠見食物,蓋推揭不起,乃沿椀器走,思此食物淚落椀器中,若人食之害瘰癧。

    【AI譯文】

有个民间医生陈遂说:“这个小娘子肯定是吃了很多隔夜的食物,夜间老鼠看到食物,因为推揭(装食物的东西)不动,就沿着碗具(装食物的器具)走,想到这些食物就落泪到碗具中,人要是吃了(这样的食物)就会得瘰疬病。”

    【AI 1】そのとき、民間医師の陳遂がこう言った。「この少女は間違いなく大量の隔夜の食べ物を摂取したに違いない。夜間、鼠が食べ物を見つけても容器の蓋を開けられず、器の縁を歩きながら、その食物を目にして涙を落とす。その涙が器の中に入り、それを人が食べると瘰疬の病を患うことになるのだ。」

    【AI 2】すると、陳遂(ちんすい)という民間医師がこう言った。「この小娘子(むすめ)は、きっと夜に残った料理をたくさん食べたに違いない。夜、ネズミが食べ物を見つけると、蓋が開かないので器の縁を歩き回る。その際、食べ物に触れて感動して涙をこぼし、それが器の中に落ちる。その涙混じりの食べ物を人が食べると、瘰疬という病気になるのだ。」

或曰久病漏損人,須斑猫等醫治之即愈,可鼠懼猫也。

    【AI譯文】

有人说,长期生病会使人亏虚,必须用斑蝥等药物来治疗才能痊愈,可是老鼠害怕猫啊。(注:斑猫即斑蝥,一种昆虫类中药)。

    【AI 1】また、ある者は「長期間病に伏せっていると体力が消耗する。斑蝥(昆虫の一種)などの薬を使うことで治癒できる。しかし、鼠は猫を恐れるものだ」と述べた。(注:斑蝥とは斑猫とも呼ばれ、古代の薬用昆虫の一種である。)

    【AI 2】また、ある者はこう言った。「長く病気が続けば、体が虚弱になり、斑蝥(はんぼう:カミキリモドキという毒性のある昆虫の乾燥粉末)などの強い薬を用いなければ完治しない。」しかし、ネズミは猫を恐れる――つまり、「斑蝥(斑猫)」は猫に由来する名を持ち、ネズミにとっての天敵だ、という比喩も込められていた(※注:斑猫=斑蝥は、中薬として使われる昆虫の一種)。

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