2024年4月8日月曜日

鍼灸溯洄集 72 卷下(19)溺濁

   卷下・十五ウラ(756頁)

 (19)溺濁[デキダク]

濁有赤濁有白濁漩脚澄下凝如膏糊小便如米

泔者如粉糊者如赤膿者皆熱內傷又腎經虗損

而成濁也

  【訓み下し】

濁(だく)に赤(しゃく)濁有り,白(びゃく)濁有り,漩脚澄下して,凝って膏糊の如く,小便 米泔の如き者,粉糊の如き者,赤(しゃく)膿の如き者,皆な內傷 熱し,又た腎經 虛損して濁を成す。

  【注釋】

 ○濁:濁,病名。濁病的簡稱。①指小便渾濁。②指精濁。③指小便渾濁與精濁。 ○赤濁:①以小便渾濁色赤為主要症状的疾患。②溺孔常流挾血濁物的疾患,屬精濁。 ○白濁:①小便渾濁色白。②溺孔常流白色濁物而小便自清的疾患。又稱精濁。

 ○漩:流水旋轉。 ○澄:水靜止而清澈。使沉澱、清澈。 ○膏:肥肉、油脂。 ○米泔:淘米水。米をといだ水。 ○粉:細末。

 ◉『指南』病名彙考・濁證:「小便の濁(にごる)こと也。赤白膏の異(こと)あり。本文に詳なれば之を略す」。

 ◉『病名彙解』赤濁:「小便にうすにごりたる血をすること也。白濁(びゃくだく)と合せみるべし。男女ともに同じ。……」。  https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100232367/328?ln=ja

 ◉『病名彙解』白濁:「男子小便,米泔汁[シロミヅ]の如くなる物をすることなり。女子の白帶と同證なり」。

 ◉『萬病回春』卷4・濁證:「濁者,小便去濁也。有赤濁、有白濁,其狀漩面如油光彩不定,漩脚澄下凝如膏糊,小便如米泔者,如粉糊者,如赤膿者,皆是濕熱內傷,又腎經虛損而成濁也」。


  卷下・十六オモテ(757頁)

○赤濁心虗有熱也

  【訓み下し】

○赤(しゃく)濁は,心虛 熱有り。

  【注釋】

 ◉『萬病回春』卷4・濁證:「赤濁者,心虛有熱也」。


○白濁者腎虗有寒也

  【訓み下し】

○白(びゃく)濁は,腎虛 寒有り。

  【注釋】

 ◉『萬病回春』卷4・濁證:「白濁者,腎虛有寒也」。


○小便濁失精腎俞[十四推下去脊中各二寸]灸

  【訓み下し】

○小便濁り,失精,腎の俞[十四推の下,脊中を去る各二寸]灸す。

  【注釋】

 ◉『鍼灸聚英』腎俞:「主……溺血,小便濁,失(明刊本作「出」)精夢泄……」。


○淋瀝赤白濁然谷[足內踝前起大骨下]氣海[臍下一寸五分]深刺

  【訓み下し】

○淋瀝,赤白(しゃくびゃく)濁(だく),然谷[足の內踝の前,大骨の下〔に〕起こる]氣海[臍の下一寸五分]深く刺す。

  【注釋】

 ★「大骨の下〔に〕起こる」は,卷中(14)欬嗽,(20)心痛などにおける訓「起こる〔=隆起する〕大骨の下の陷中」の方が適切であろう。

 ◉『鍼灸聚英』然谷:「主……淋瀝白濁……」。

 ◉『鍼灸聚英』百證賦:「針三陰於氣海,專司白濁久遺精」。


○白濁關元[臍下三寸]三隂交[踝上三寸]三里[膝下三寸]深刺治法凢淋可考

  【訓み下し】

○白(びゃく)濁,關元[臍の下三寸]・三隂交[踝上三寸]・三里[膝下三寸]深く刺す。治法,凡(すべ)て淋と考う可し。

  【注釋】

 ○凢:「凡」の異体字。

 ◉『鍼灸聚英』雜病歌・疝:「遺精白濁腎俞燒,關元穴與三陰交」。

 ◉『神應經』陰疝小便部:「遺精白濁:腎俞 關元 三陰交」。

 ★三里の出典,未詳。

 ◉『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例・溺濁(できだく)・いばりにごる:「白濁は氣に屬す。……腎俞・氣海・關元・脾俞・三里・三陰交」。

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