卷下・十九オモテ(763頁)
(24)秘結[ヒケツ]
【注釋】
◉『病名彙解』秘結:「大便の通ぜざることなり。○『玉案』に云,〈秘は氣の閉なり。結は糞の結するなり。氣閉(とづ)るときは,腸胃を攻擊して魄門に瘀塞し,下んと欲して下らず,努力[イキヅミ]して以てこれを伸(のぶ)といへども,通暢になやみ,甚しきときは肛下るものあるに至る。糞結するときは,乾澁して硬く多くは轉失氣して小腹結痛し,下んと欲して下らず,甚しきときは肛門燥結して,瀝血[シタタルチ]するものあるに至る〉」。
身熱煩渇大便不通痛者熱結也
【訓み下し】
身(み)熱し煩渇し,大便通ぜざる者は,熱結なり。
【注釋】
○熱結:病證名。指熱邪聚結而出現的病變。如熱結於胃腸,則出現腹滿實痛、大便燥結、甚則潮熱譫語、舌紅苔黃、脈沉實等症。若邪熱搏結於血分,則出現蓄血證,症見少腹急結或硬滿、譫語或發狂、善忘、便溏黑等。『溫病條辨』:「熱結旁流,非氣之不通,不用枳朴,獨取芒硝入陰以解熱結」。『傷寒論』辨太陽病脈證並治:「太陽病不解,熱結膀胱,其人如狂,血自下,下者愈」。
◉『萬病回春』卷4・大便閉:「身熱煩渴,大便不通者,是熱閉也」。
○病而不通者虗閉也
【訓み下し】
○病んで通ぜざる者は,虛閉なり。
【注釋】
◉『萬病回春』卷4・大便閉:「久病人虛,大便不通者,是虛閉也」。
○因汗多大便不通者津液枯竭而閉也
【訓み下し】
○汗に因って多く大便通ぜざる者は,津液 枯竭して閉づるなり。
【注釋】
◉『萬病回春』卷4・大便閉:「因汗出多,大便不通者,津液枯竭而閉也」。
○風證而不通者風閉也
【訓み下し】
○風證 通ぜざる者は,風閉なり。
【注釋】
◉『萬病回春』卷4・大便閉:「風證大便不通者,是風閉也」。
○老人不通者氣血枯燥而閉也
【訓み下し】
○老人 通ぜざる者は,氣血 枯燥して閉づるなり。
【注釋】
◉『萬病回春』卷4・大便閉:「老人大便不通者,是氣血枯燥而閉也」。
卷下・十九ウラ(764頁)
○多食辛熱之物不通實熱也
【訓み下し】
○多く辛熱の物を食らい,通ぜざるものは,實熱なり。
【注釋】
★上文に合わせれば「不通」は「不通者」とすべきであろう。
◉『萬病回春』卷4・大便閉:「多食辛熱之物,大便不通者,實熱也」。
○大便不通承山[兌腨腸下分肉陷中]照海[足內踝下]大冲[足大指本節後二寸]淺刺
【訓み下し】
○大便 通ぜず,承山(じょうざん)・[兌腨腸(こむら)の下(しも),分肉の陷中]・照海[足の內踝の下]・大冲[足の大指の本節(ふし)の後(しりえ)二寸]淺く刺す。
【注釋】
○大冲:太衝。
◉『鍼灸聚英』雜病歌・腸痔大便:「大便不通治太谿,承山照海太衝宜」。
○大便不通灸中脘百壯最功速
【訓み下し】
○大便 通ぜざるに,中脘を灸す,百壯,最も功 速やかなり。
【注釋】
★出典未詳。
◉『備急千金要方』卷30・心腹第2:「大小便病 中窌 石門 承山 太衝 中管 大鍾 大谿 承筋 主大便難」。
○脾胃不化而閉滑肉門[水分傍相去各三寸]天樞[夾臍中各二寸]深刺
【訓み下し】
○脾胃 化せずして閉づるは,滑肉門[水分の傍ら相い去ること各三寸]・天樞[臍の中を夾(さしはさ)む各二寸]深く刺す。
【注釋】
★出典未詳。
◉『備急千金要方』卷30・心腹第2:「不能食病 天樞 厲兌 內庭 主食不化……」。
◉『鍼灸重宝記』針灸諸病の治例・秘結 だいべんつうぜず:「針:天樞・滑肉門・石門・陰交・承山」。
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